AIは人間を殺さない、飼い殺すの表紙

AI は人間を殺さない、飼い殺す(エーアイハニンゲンヲコロサナイ カイコロス)

全体主義という心地よい檻

その他
著者:
適菜収(テキナオサム)
出版社:
ベストセラーズ
出版日:
2026年05月01日頃
ISBN:
9784584126226
シリーズ:
ベスト新書
在庫:
在庫あり
0

なぜ注目されているか

総合1109 26 ランクダウン

書籍紹介

近未来に「 AI と人間」の世界で起こりうるディストピアとは何か? どんな過程を経てやってくるのか? 著者が AI 体験を哲学する過程で、思いがけぬ形で得た驚くべき衝撃の事実とは?「これは敗北の記録であるーー戦いにすらならなかったという意味で」。深い知見と明晰な思考をもって綴られる「人類滅亡を予言した」衝撃の書。

<編集より>
本書は、著者・適菜収氏の代表作になると思われる一冊ゆえに、担当編集者として力強く推薦します。社会批評またはエッセイとしても非常に面白く、飽きせずにテンポ良く読み進めることができます。著者の「 AI 体験」と「 AI を哲学する思考」が、これ以上なく分かりやすく、明快に文章構成されています。やはり真骨頂は、著者独特のアイロニーと文体に思わず笑ってしまうほどのユーモアとペーソスがふんだんに詰まっているところ。そして本書の白眉は、著者が執筆しながら受けた衝撃の体験が、そのまま読者の読書体験として提示されていることです。まさに、これまでのどんな著者の AI 論にも見られなかった独自の観点と思想に、読者は膝を打ち、ただただ唸らざるを得ないでしょう。

■はじめに 人間はすでに負けている

■第一章 平準化という名の暴力

剥製にされる文化
リズムの屠殺

要約で人間は秒速でバカになる

誤読という暴力

サンマには骨がある

気晴らしという牢獄

わかりやすいことはたいてい嘘

理性信仰の末路

コピペ職人の「オリジナリティ」

著作権ロンダリング装置

文体という顔貌

■第二章 「心地よい檻」という全体主義

監視資本主義
デジタル・カルトの誕生

「あなたへのおすすめ」という屈辱

パノプティコンと内なる看守

バカの勝利

「本物」の不在

■第三章 家畜による家畜のための民主主義

買われる「民意」
繁盛するエセ保守市場

政治は娯楽になった

市場化する民主主義

投票という錯覚

平等を欲しがる人々

■第四章 身体という砦

最短距離が奪うもの
快適さは毒である

映画『マトリックス』の世界線

日本人は豚になる

崩壊する教育現場

快適さは人間を壊す

■第五章 人間の終焉

自由意志は必要か
バカと AI の共犯関係

Gemini との対話

焼き芋を捨てさせられる

正しさに従った日

■第六章 敗北の系譜学

人間はなぜ等価になったのか
Gemini が絶賛する和食屋

問いという罠

飼い殺しの完成

■補遺

■おわりに バベルの図書館

技書の森解説

AI の活用術や開発手法を説く本が書店にあふれる一方で、本書はまったく逆の方向を向いています。副題は「全体主義という心地よい檻」。著者の適菜収氏が自ら AI に触れ、その体験を哲学する過程で行き着いた結論を、「これは敗北の記録である」という一文に凝縮した社会批評の新書です。しかも、戦いにすらならなかったという意味での敗北だと著者は言い添えます。ベストセラーズのベスト新書から 2026 年 5 月に刊行されました。

議論は技術の性能論ではなく、人間の側で何が壊れていくかに向かいます。要約文化が文体という「顔貌」を削り取ること、「あなたへのおすすめ」に象徴されるレコメンドと監視資本主義が自発的な服従を生むこと。そうした平準化の力学を、著者は民主主義の市場化や教育現場の崩壊にまで接続し、抵抗の拠点として「身体」を置きます。終盤には Gemini との対話をめぐる章もあり、抽象論ではなく実体験に根ざしたアイロニーとユーモアが批評の推進力になっています。

プログラミング機械学習の知識はいっさい前提とされない読み物で、読みやすさは新書そのものです。むしろ AI を日常的に使い込むエンジニアほど、自分の仕事や思考習慣が名指しで批評される居心地の悪さを味わうことになるでしょう。同意するにせよ反論を組み立てるにせよ、技術書の外側から AI を見る視座を一度通過しておく価値はあります。

関連記事

関連用語

共有:Xはてブ