Windows インフラ管理者入門

ウインドウズ インフラ カンリシャ ニュウモン

Windows インフラ管理者入門の表紙
OS
著者:
胡田昌彦(エビスダ, マサヒコ)
出版社:
カットシステム
出版日:
2014年03月
ISBN:
9784877833367
在庫:
在庫あり
4(3 件 / 楽天ブックス)

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言及数
583位

技書の森解説

Windows で組まれた社内システムを任されたとき、最初に必要になるのは個々の管理画面の場所よりも、ネットワーク、認証、ストレージ、バックアップがどうつながっているかの見取り図です。『Windows インフラ管理者入門』 (胡田昌彦 著、カットシステム、2014 年 3 月 10 日 初版第 1 刷発行) は、その見取り図を全 13 章で描く単著の入門書です。版元の紹介文によると、著者の経験から現場ですぐに必要になることと理解するまでに苦労したことを抜き出してまとめたもので、機能の紹介や操作方法の説明よりも、現場で躓くポイントと技術を理解するためのコツに重点を置いています。版元は「長年戦っていける技術力の基礎を獲得したいシステム管理者」に向けた本と案内しています。

エディション選択から Active Directory までの前半 6 章

第 1 章はエディションの選択とインストールで、カーネルの違い、ドライブとパーティションの分割方法、クライアントアクセスライセンス (CAL) とその設定、Volume Activation 2.0 までを扱います。第 2 章で OSI 参照モデルと TCP/IP を物理層からアプリケーション層まで層ごとにたどり、NAT にも節を割いたあと、第 3 章で Windows ファイアウォール、NetBIOS 名とホスト名とコンピューター名の違い、マルチホーム構成時の注意といった Windows 固有のネットワークの事情に入ります。第 4 章は「インターネットに繋がらない」という問い合わせを基本、プロキシ、WinHTTP、VPN の 4 つの場面に分けて切り分ける章です。第 5 章の Active Directory では、アカウントデータベースの一元管理、パーティションとレプリケーションスコープ、グループポリシー、LDAP フィルターを取り上げ、第 6 章のクライアント管理でドメイン参加、ユーザープロファイル、sysprep の意味へ続きます。

ストレージ、バックアップ、仮想化、運用で問われる理屈

後半は第 7 章のストレージ (ディスクの種類、RAID、SAN、NAS)、第 8 章のバックアップ、第 9 章の仮想化と Hyper-V、第 10 章の運用、第 11 章の PowerShell、第 12 章のクラウド、第 13 章の必携ツールとコマンドという並びです。節題には「バックアップからリストアしても戻らない」「データベースはバックアップをしないとディスクがあふれる」「コピー & ペーストとカット & ペーストでは NTFS アクセス許可が異なる」のように、手順書には載りにくい失敗の形がそのまま掲げられています。たとえば NTFS のアクセス許可と共有のアクセス許可は別々に評価され、ネットワーク越しの実効権限は両者の重なりで決まります。コピーでは新しいファイルが作られて貼り付け先のフォルダーの許可を継承し、同じボリューム内の移動では元の許可が残るため、同じ操作に見えても結果が変わります。バックアップの整合性も同じ種類の話で、操作を覚えるより仕組みを知っているかどうかで障害時の判断が分かれます。PowerShell の章にオブジェクト指向を扱う節があるのも、テキストを流すシェルとの違いを押さえないと応用が利かないからだと読めます。

2014 年 3 月刊の技術環境と、クラウドの章の位置づけ

本書は 2014 年 3 月時点の環境を前提にしています。第 1 章に「Windows XP のサポート期限切れについて」という節があり、第 3 章では Internet Explorer のゾーンとシングルサインオンを扱っている点からも、刊行時期の色ははっきりしています。最終盤の第 12 章はクラウドを取り上げ、クラウドとは何か、クラウドは使えるのか、インフラ管理者の仕事はなくなるのか、クラウド時代に向けて何をしておくべきかという 4 つの節で、管理者の役割がどう変わるかを論じています。画面の配置や製品のエディション構成は刊行後に変わっていますが、TCP/IP のプロトコルの階層、認証の一元管理、権限の評価順序、バックアップの整合性といった土台は、オンプレミスでも クラウド でも同じ形で問われます。版ごとの操作手順は公式ドキュメントで確かめ、理屈の側を本書で固めるという使い分けが向いています。

情報システム部門の新任者に向く理由と、合わない目的

Windows のサーバーとクライアントを一人で、あるいは少人数で面倒を見ることになった人には、障害の問い合わせを受けたときにどこから疑えばよいかの順序が手に入ります。ネットワークの章で層ごとの考え方を固め、Active Directory とクライアント管理の章で認証とドメインの関係をつかみ、運用の章で日々の作業の勘所を拾う、という読み方ができます。インフラ本の全体の選び方は インフラ / クラウド本ガイド にまとめています。一方で、特定バージョンの Windows Server の構築手順を画面つきで追いたい人や、Microsoft の資格試験の出題範囲に沿って学びたい人には、目的に合わせた手順書や試験対策書のほうが近道です。現場でなぜそうなるのかを説明できる管理者になりたい人にとって、本書は基礎を一通り押さえ直せる一冊です。

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