ピアリング戦記 日本のインターネットを繋ぐ技術者たち

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ピアリング戦記 日本のインターネットを繋ぐ技術者たちの表紙
ネットワーク
著者:
小川晃通(オガワアキミチ)
出版社:
ラムダノート
出版日:
2022年07月13日頃
ISBN:
9784908686146
在庫:
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中級者向け
ネットワークTCP/IPBGPルーティングASピアリングインターネットインフラネットワークポリシー技術者インタビューネットワーク管理

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書籍紹介

いまや世界中のあらゆる社会を支えるインターネットは、特定の国家や組織が管理・運営しているわけではありません。インターネットは、TCP/IP という技術の仕様にしたがって作られた機器やプログラムであれば自由に接続できる、オープンなネットワークです。
とはいえ、だれもが勝手気ままに自分の機器やネットワークを繋ぐだけでは、世界中を相互に接続するようなインターネットは実現できません。その裏では、さまざまな組織や人により、お金を伴う競争と協調の世界が繰り広げられています。

技術的な仕様の解説だけでは語れない、人と人を繋ぐネットワーク技術だからこそ立ち現れる生々しい舞台裏を、2020 年代の日本のインターネットの大規模構造に影響をもたらした当事者たちへの取材とインタビューをとおして解き明かします!

第 1 章 ピアリングを巡る静かな戦い

1.1 インターネットはネットワークのネットワーク

1.2 ルーティングプロトコルとしての BGP

1.3 AS を運用する組織と組織を繋ぐ BGP

1.4 BGP の仕組みの基本

1.5 ポリシーで決まる経路

1.6 組織の力と対価が BGP の経路を決める

1.7 ピアリング

1.8 ピアリングのルール

1.9 なぜピアリングを行うのか?

1.10 デピアリング

第 2 章 データセンターとその立地
2.1 BGP ルータは同一の L2 セグメントで運用される

2.2 データセンターの価値は入居している事業者でも決まる

2.3 価値のある拠点は集中しがち

2.4 新たな拠点に参入するときに考えること

2.5 2010 年代に大阪では何が起こっていたか (インタビュー)

2.6 堂島問題

第 3 章 IX とは何か? 国ごとに違う IX
3.1 みんなで BGP ルータを繋ぐ場としての IX

3.2 パブリックピアリングとプライベートピアリング

3.3 国や地域ごとに違う IX

3.4 日本の IX

3.5 NSPIXP が切り開いた日本の IX とピアリング (インタビュー)

3.6 商用 IX の始動: JPIX から見た日本のインターネット (インタビュー)

3.7 もう 1 つの選択肢、JPNAP の誕生 (インタビュー)

3.8 アジアを代表する IX となった BBIX (インタビュー)

3.9 10 年前のピアリング状況とコミュニティ活動による IX の変化 (インタビュー)

第 4 章 ピアリング相手の探し方
4.1 どこで誰とピアリングするか?

4.2 探し方いろいろ

4.3 GPF や Peering Asia などのピアリングイベント (インタビュー)

第 5 章 コンテンツ事業者の台頭
5.1 ハイパージャイアンツ

5.2 キャッシュサーバをどこに置くのか?

5.3 動画コンテンツによるトラフィックの増加

5.4 プライベートピアリングの増加

5.5 NTT ドコモとピアリングする意味 (インタビュー)

5.6 BIGLOBE が ISP 視点で見てきた日本のトラフィックの変化 (インタビュー)

あとがき
発起人より

索引

技書の森解説

ISP やコンテンツ事業者は、互いのネットワークをどこで、どんな条件で繋いでいるのか。『ピアリング戦記 日本のインターネットを繋ぐ技術者たち』 (小川晃通 著、ラムダノート、2022 年 7 月発行) は、BGP とピアリングの仕組みを解説したうえで、2020 年代の日本のインターネットの大規模構造に影響をもたらした当事者への取材とインタビューを通じて、相互接続の舞台裏を描いた本です。版元は、インターネットの裏ではさまざまな組織や人によるお金を伴う競争と協調の世界が繰り広げられていると紹介しています。

全 5 章の構成、BGP の基礎からコンテンツ事業者の台頭まで

はじめにで本書の構成を示したあと、第 1 章「ピアリングを巡る静かな戦い」で、インターネットがネットワークのネットワークであること、ルーティングプロトコルとしての BGP、ポリシーで決まる経路、ピアリングのルールとピアリングを行う理由、デピアリングまでを押さえます。第 2 章「データセンターとその立地」は、事業者が集まる拠点に価値が生まれ、拠点が集中しがちになる理由を扱い、「堂島問題」の節を含みます。第 3 章「IX とは何か? 国ごとに違う IX」は、パブリックピアリングとプライベートピアリングの違いや国や地域ごとの IX の違いを説明したうえで、NSPIXP、JPIX、JPNAP、BBIX の歩みを当事者へのインタビューで追います。第 4 章「ピアリング相手の探し方」はピアリングイベントを、第 5 章「コンテンツ事業者の台頭」はハイパージャイアンツ、キャッシュサーバーの置き場所、動画によるトラフィックの増加、プライベートピアリングの増加を取り上げます。第 2 章から第 5 章までの各章にインタビューの節があり、巻末にはあとがき、発起人より、索引が続きます。

経路は技術だけでなく、組織の力と対価で決まる

インターネットは、TCP/IP の仕様に従えば誰でも繋がれるオープンなネットワークですが、世界中が実際に繋がっているのは、自律したネットワーク (AS) どうしが経路の情報を交換しているからです。その交換に使われるのが BGP で、BGP の経路選択は最短経路の計算だけでは決まらず、どの相手にどの経路を見せるかという運用者のポリシーで決まります。上位の事業者に料金を払って世界中への経路を買うトランジットに対して、ピアリングは互いの顧客宛ての通信を直接交換する取り決めで、どちらを選ぶかは費用と交渉力の問題でもあります。本書の第 1 章には「組織の力と対価が BGP の経路を決める」という節があります。

IX は多数の事業者のルーターを同じスイッチに集め、1 か所で多くの相手と接続できるようにする場で、データセンターの立地と切り離せません。大量の動画を配信する事業者が利用者に近い場所へキャッシュサーバーを置く CDN の仕組みが広がると、通信の流れそのものが変わり、どこで誰と繋ぐかの判断も変わります。本書の第 5 章には、キャッシュサーバーをどこに置くのかを問う節があります。

BGP の設定を知る技術者が、その背景を知るための本

ネットワーク機器で BGP を設定した経験はあっても、相手先がどう決まり、なぜその拠点で接続しているのかまでは知らない、という技術者にとって、本書は日々の運用の背景を埋める読み物になります。第 1 章で BGP の仕組みの基本から説明するため、インターネットの構造に関心がある学生や、ISP やデータセンターの仕事に興味を持つ人でも入れます。一方で、目次に機器の設定手順やコマンドを扱う節は無いため、BGP の設定を手順として学びたい人は別の本を選ぶほうが目的に近づきます。TCP/IP の教科書と組み合わせて読む本は ネットワーク本の選び方 で整理しています。なお版元のページには、日本インターネットエクスチェンジ株式会社、インターネットマルチフィード株式会社、BBIX 株式会社、ビッグローブ株式会社、株式会社コーダンスをはじめとする各社から製作費の支援を受けたと記されています。

普段使っている回線の向こう側で、事業者どうしがどこで、どんな考えで繋がっているのかを知りたい人にとって、事業者どうしの相互接続の世界を当事者の言葉で追える一冊です。BGP を学んだことがある人は第 1 章を確かめに、初めての人は第 1 章を足場に、第 3 章のインタビューまで読み進めてみてください。

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