DORA メトリクス

ソフトウェアデリバリーのパフォーマンスを測定する 4 つの指標

DevOpsオブザーバビリティ

DORA メトリクスとは

DORA メトリクスは、2014 年に始まった DevOps Research and Assessment (DORA) の調査プログラムが定義した、ソフトウェアデリバリーのパフォーマンスを測定する 4 つの指標である。「Accelerate」(Nicole Forsgren 他) で発表され、高パフォーマンスチームの特徴を定量的に示す。DORA は 2026 年 8 月時点では Google Cloud が運営している。

4 つの指標

4 つの指標を以下にまとめる。区分値は 2021 年版 Accelerate State of DevOps Report が公表した 4 クラスタ (Elite / High / Medium / Low) のうち、両端の Elite と Low を抜き出したものである。区分値だけでなくクラスタの数そのものが調査年で変わる (2018〜2021 年は 4 クラスタ、2022 年は 3 クラスタで Elite が現れなかった) ため、他の資料と比較するときは年度を揃える。

指標説明EliteLow
デプロイ頻度本番へのデプロイ回数オンデマンド (1 日複数回)半年に 1 回未満
リードタイムコミットから本番デプロイまでの時間1 時間未満半年以上
変更失敗率デプロイ後に障害が発生する割合0〜15%16〜30%
復旧時間 (MTTR)障害発生から復旧までの時間1 時間未満半年以上

変更失敗率だけは Elite と Low の幅が近い。2021 年版では High・Medium・Low の 3 クラスタがいずれも 16〜30% の同じ帯に収まっているためで、この指標で差がつくのは Elite に入るかどうかだけである。4 クラスタの中間を切り分けているのは残る 3 指標だと読むのが正しい。

スループットと安定性の両立

4 指標はスループット (デプロイ頻度、リードタイム) と安定性 (変更失敗率、復旧時間) に分類される。高パフォーマンスチームはこの両方が高い。「速くデプロイすると品質が下がる」は誤りで、CI/CD と自動テストにより両立できる。

改善のアプローチとしては、デプロイ頻度は CI/CD の自動化と小さなバッチサイズ、リードタイムはトランクベース開発コードレビューの迅速化、変更失敗率は自動テストとカナリアリリース、復旧時間はロールバックの自動化とオブザーバビリティが有効だ。

DORA メトリクスの限界

DORA メトリクスはデリバリーのパフォーマンスを測定するが、ビジネス価値 (ユーザー満足度、売上) は測定しない。速くデプロイしても、ユーザーに価値を届けていなければ意味がない。

CloudWatch での計測

AWS で計測する場合、CodePipeline が AWS/CodePipeline 名前空間に出す組み込みメトリクスは PipelineDuration (実行時間) と FailedPipelineExecutions (失敗回数) の 2 つだけである (2026 年 8 月時点)。変更失敗率の分子は後者で取れるが、デプロイ頻度に当たる「成功した実行の回数」は組み込みでは取れない。EventBridge の CodePipeline Pipeline Execution State Change イベントを受けて成功件数を数え、カスタムメトリクスとして送ることになる。

# 変更失敗率の分子: パイプライン実行の失敗回数
aws cloudwatch get-metric-statistics \
  --namespace AWS/CodePipeline \
  --metric-name FailedPipelineExecutions \
  --period 86400 --statistics Sum

# 変更リードタイム: コミットからデプロイまでの時間
# GitHub Actions のワークフロー実行時間で計測

GitHub Actions でのリードタイム計測

GitHub Actions でのリードタイム計測の例を示す。

# コミットからデプロイまでの時間を記録
- name: Record lead time
  run: |
    COMMIT_TIME=$(git log -1 --format=%ct)
    DEPLOY_TIME=$(date +%s)
    LEAD_TIME=$((DEPLOY_TIME - COMMIT_TIME))
    echo "Lead time: ${LEAD_TIME} seconds"

体系的に学ぶなら関連書籍を参照してほしい。

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