技術書を読むベストな時間帯はいつか - 朝型 / 夜型エンジニアの読書事情
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技術書を開くベストタイミングを探して
エンジニアにとって技術書は欠かせない学習ツールですが、「いつ読むか」を意識している人は意外と少ないかもしれません。仕事終わりにソファで読む人、朝の通勤電車で読む人、昼休みにカフェで読む人。読む時間帯によって理解度や記憶の残り方が変わるなら、選び方を知っておく価値はあります。
睡眠と記憶について確かめられていること、そしてエンジニアたちの実体験を交えながら、技術書を読む時間帯を考えてみましょう。
朝型読書のメリット
朝は脳がリフレッシュされた状態です。睡眠中に前日の情報が整理され、ワーキングメモリに余裕がある。この状態は、新しい概念を理解するのに最適です。
朝型読書の利点は 3 つあります。
1 つ目は、判断や決断でまだ消耗していない時間帯であること。意志力を筋肉のように「使えば減るリソース」とみなす説は有名ですが、事前登録された 23 研究室の共同追試では効果が再現されず、理論としての評価は定まっていません。ただ「夜には難しい本を開く気力が残っていない」という実感そのものは多くの人が持っているはずで、朝はその実感が最も薄い時間帯です。
2 つ目は、邪魔が少ないこと。早朝であれば Slack の通知も来ませんし、同僚からの質問もありません。静かな環境で技術書に没頭できます。
3 つ目は、1 日の始まりに学習することで、その日の仕事に学んだ内容を活かせる可能性があること。朝読んだデザインパターンを、午後のコーディングで試してみる。このサイクルが回ると、読んで終わりにならず手を動かした記憶として残ります。
夜型読書のメリット
一方、夜の読書にも科学的な裏付けがあります。
睡眠前に学習した内容は、睡眠中に長期記憶に転送されやすいことが知られています。これは「睡眠依存性記憶固定」と呼ばれる現象で、寝る前に読んだ内容が翌朝には定着しているという経験は、多くの人が持っているのではないでしょうか。
また、夜はリラックスした状態にあるため、プレッシャーなく読書に取り組めます。「明日の仕事のために読まなければ」という義務感ではなく、純粋な知的好奇心で本を開ける。この心理的な余裕が、深い理解につながることもあります。
ただし、夜型読書には注意点もあります。疲労が蓄積した状態では、複雑なコードを追うのが辛くなります。夜に向いているのは、エッセイ系の技術書や、概念的な解説が中心の本です。
通勤中の読書事情
日本のエンジニアにとって、通勤電車は貴重な読書時間です。片道 30 分から 1 時間の通勤時間を読書に充てれば、1 日 1〜2 時間の学習時間を確保できます。
電車での読書には、電子書籍と紙の本のどちらが適しているかという議論があります。電子書籍は片手で読めるため満員電車でも対応できますが、コードブロックの表示が小さくなりがちです。紙の本はコードが読みやすいですが、混雑した車内では開きにくい。
通勤読書のコツは、細かいコードを追うのではなく章の概要を把握する「スキミング」に徹し、詳細は自宅で読み直す 2 段階方式です。
昼休みの 15 分読書
「まとまった時間がないと読書できない」と思い込んでいる人は多いですが、15 分の読書でも十分な効果があります。
同じ 60 分を使うなら、1 回でまとめて読むより 15 分を 4 日に分けた方が記憶に残りやすい。学習の分野では分散学習として知られ、記憶研究で古くから繰り返し確かめられてきた効果です。昼休みの 15 分間、1 つのセクションだけを集中して読む。これを毎日続ければ、1 ヶ月で 1 冊の技術書を読み切れます。
昼休み読書のもう 1 つのメリットは、午前中の仕事で疲れた脳をリフレッシュできることです。仕事とは異なるテーマの技術書を読むことで、脳の使う領域が切り替わり、午後の仕事に新鮮な気持ちで臨めます。
集中の周期は当てにしすぎない
睡眠が約 90 分の周期をくり返すことから、日中の覚醒時にも同じような周期があるという仮説 (基本休息活動周期・ウルトラディアンリズム) が古くから唱えられてきました。ただし日中の集中の波は個人差が大きく、時計のように 90 分で切り替わるものとして当てにできるほどではありません。
そもそも 90 分間も技術書に集中し続けるのは難しい。周期を信じて長い区切りを作るより、短い区切りを積み上げる方が実際的です。そこで役立つのが「ポモドーロ・テクニック」です。
25 分間集中して読書し、5 分間休憩する。これを 4 セット繰り返すと、合計 100 分の読書時間になります。25 分という短い単位なら、集中力を維持しやすい。時間管理に関する書籍には、こうしたテクニックが詳しく解説されています。
時間帯別・おすすめの本の種類
すべての技術書が同じ時間帯に適しているわけではありません。時間帯と本の種類の相性を意識すると、読書効率が上がります。
朝 (6:00〜9:00): 脳がフレッシュな時間帯には、理論書やアルゴリズムの本が向いています。新しい概念を理解するための認知リソースが豊富にあるからです。
昼 (12:00〜13:00): 短時間の読書には、リファレンス系の本やクックブック形式の本が適しています。1 つのレシピやパターンを読むだけで完結するため、15 分でも成果が得られます。
夜 (21:00〜23:00): リラックスした状態には、エッセイ系の技術書や、エンジニアの自伝・回顧録が合います。ストーリー性のある本は、疲れた脳でも楽しめます。
週末の午前: まとまった時間が取れる週末の午前中は、ハンズオン形式の本に最適です。コードを書きながら読み進める本は、細切れの時間では効率が悪いため、まとまった時間を確保できるタイミングで取り組みましょう。
エンジニアの読書時間帯の傾向
エンジニアの間では、夜型の読書家の話をよく見かけます。日中は仕事でコードを書いているため夜にようやく自分の学習時間が取れるという現実、夜の静かな環境がプログラミングや読書に向いているという感覚的な好み。理由としてはこのあたりが挙がります。
ただし、「夜に読んでいる人が目立つ」ことと「夜が最適」であることは別の話です。夜は単に時間が空いているだけで、頭が冴えている時間帯とは限りません。朝に切り替えて楽になったという声もあります。
結論: 最適な時間帯は人それぞれ
結局のところ、技術書を読むベストな時間帯は人によって異なります。朝型の人が無理に夜に読んでも効率は上がりませんし、夜型の人が早起きして読書しても眠気に負けるだけです。
大事なのは、自分に合った時間帯を見つけ、それを習慣化することです。毎日同じ時間に読書する習慣ができれば、脳がその時間を「読書モード」として認識し、集中力が自然と高まります。
1 日 15 分でも、毎日続ければ年間で 90 時間以上の読書時間になります。時間帯の最適化よりも、継続することの方がはるかに重要です。
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まとめ
技術書を読む時間帯には、朝・昼・夜それぞれの向き不向きがあります。朝は頭がフレッシュで理論書に向き、昼の 15 分は日をまたいで分散させる読み方と相性がよく、夜は睡眠前の記憶固定が期待できます。90 分周期のような話は目安程度に受け取り、ポモドーロ・テクニックのような短い区切りを積む方が続きます。ただし最も重要なのは、自分に合った時間帯を見つけて習慣化すること。1 日 15 分でも、続ければ大きな差になります。
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