本棚を見ればエンジニアのレベルがわかる

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エンジニア文化キャリア技術書

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本棚はスキルマップである

エンジニアの本棚には、その人がいま何に困っているかが出ます。冊数の話ではありません。どのジャンルの本がどの比率で並んでいるかを見ると、直近で解こうとしてきた問題の種類が推し量れます。本を買うのは多くの場合、目の前で詰まったときだからです。

裏を返せば、棚から読み取れるのは実力そのものではありません。困った経験の履歴です。以下のパターンも「この年数ならこうなる」という決まりではなく、担う仕事の範囲が広がると本棚の重心も動きやすいという傾向として読んでください。

レベル別の本棚パターン

ジュニア期: 言語とフレームワークの本が大半

担当が「渡された機能を実装する」範囲にある間は、本棚は特定の言語やフレームワーク、開発環境の入門書で埋まりがちです。目の前の業務で使う技術をまず動かせるようにする必要があるからです。

この段階で本棚が偏っていることは問題ではありません。1 つの技術スタックを深く理解した経験があると、次に別の技術を学ぶときの当たりのつけ方が変わります。

ミドル期: 設計とプラクティスの本が増える

既存のコードに手を入れる仕事や、他人が読むコードを書く仕事が増えてくると、本棚に変化が起きます。言語固有の入門書が減り、リファクタリング、設計パターン、テストの書き方といった、言語に依存しないテーマの本が増えます。

この変化は「動くコードを書く」から「あとから直せるコードを書く」への関心の移行にあたります。書けるようになった後で、半年後の自分や同僚が読むことを前提に書き方を選び直す段階です。

シニア期: アーキテクチャと組織の本が並ぶ

自分の担当を越えて、システム全体の構成や複数人の進め方に責任を持つようになると、本棚にアーキテクチャ、分散システム、チーム運営の本が現れます。関心が「コードの設計」から「システムの設計」「進め方の設計」へ広がるためです。

この時期の本棚には、技術書以外の本も混ざり始めます。経営や心理、伝え方の本。技術的に正しい案が通らない、という種類の問題に当たると、そちらの棚に手が伸びます。

スタッフ / プリンシパル期: 古典と異分野の本が主役

長く広い範囲を見てきた人の本棚には、最新技術の本が意外に少ないことがあります。代わりに、コンピュータサイエンスの古典や数学、他分野の本が目につきます。

理由は単純で、変化の速い層は公式ドキュメントやリリースノートで追うほうが速く、本の形にする価値が薄いからです。一方、計算量やデータ構造、分散処理の限界のように十数年たっても前提が変わらない層は、腰を据えて書かれた本のほうが筋道が通っています。もちろん原典の論文や仕様書からも学べます。古典が選ばれるのは唯一の入口だからではなく、扱う対象が古びにくい分だけ読んだ時間が長持ちするからです。

自分の本棚を診断する

今の本棚を眺めて、以下の比率を確認してみてください。

言語・フレームワーク固有の本が何割か。設計・プラクティスの本が何割か。アーキテクチャ・組織の本が何割か。技術書以外の本が何割か。

この比率は、あなたがこれまでどの種類の問題に時間を使ってきたかの目安になります。今の仕事で困っている内容と比率がずれていたら、そこが次に読むジャンルの候補です。

ただし、本を買うこと自体は何の前進でもありません。設計の本を棚に加えても、自分のコードのどこを直すかに結びつかなければ、比率が変わっただけで終わります。1 冊加えるときは「今書いているコードのどの部分で試すか」を先に決めてください。

本棚の「穴」に注目する

本棚に並んでいる本よりも、並んでいない本に注目してください。テストの本が 1 冊もない、セキュリティの本が 1 冊もない。そのジャンルについて、体系立てて学ぶ機会を持たないまま来た可能性があります。

ただし、棚の穴がそのままスキルの穴とは限りません。業務で毎日触っていて公式ドキュメントだけで足りている領域は、本を買う必要がないので棚に残りません。得意な分野ほど棚が薄いこともあります。穴かどうかは、そのジャンルの定番書の目次を眺めて、並んでいる項目を自分の言葉で説明できるかどうかで判断してください。説明できない項目が続くなら、それは本当の穴です。

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まとめ

本棚は、これまでどの問題に時間を使ってきたかの記録です。言語の本から設計、システム全体、進め方、そして古びにくいテーマへ、と重心が移っていくのはよくある流れですが、一本道ではありません。1 つの領域を深く掘り続ける道もあり、その場合は棚も深く狭くなります。次に本を買うとき、「今の仕事で詰まっている場所に、棚の中で対応する本があるか」を確かめてみてください。

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