読んだ本の数より「使った本の数」を数えよ
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「今年は 30 冊読みました」の落とし穴
年末に読書の振り返りをするとき、多くの人は冊数を数えます。「今年は 30 冊読んだ」「去年より 5 冊多い」。しかし、30 冊読んで実務に活かしたのが 0 冊なら、その読書に意味はあったのでしょうか。
読書の価値は、読んだ冊数ではなく、読んだ知識を実務で使った回数で決まります。3 冊しか読んでいなくても、その 3 冊の知識を毎週の仕事で使っているなら、30 冊を流し読みした人よりも読書の恩恵を受けています。
「使った」とは何か
本の知識を「使った」とは、以下のいずれかに該当する場合です。
コードレビューで、本で学んだパターン名を使って指摘した。設計の議論で、本の内容を根拠として意見を述べた。リファクタリングで、本で学んだパターンを適用した。後輩に説明するとき、本の内容を引用した。
つまり、本の知識が実務の行動に変換された瞬間が「使った」です。
使用回数を増やす 3 つの方法
1. 読んだ直後に 1 つだけ試す
本を読み終えたら、翌週の実務で 1 つだけ試します。リファクタリングのパターンを 1 つ適用する、テストの書き方を 1 つ変える、命名規則を 1 つ改善する。小さな実践が、知識を技術に変える最初の一歩です。
2. 読んだ本のキーワードを付箋に書いて貼る
本から学んだキーワードを 3 つだけ付箋に書き、モニターの横に貼ります。「単一責任原則」「早期リターン」「テストファースト」。毎日目に入ることで、実務中に「あ、これは単一責任原則に反しているな」と気づく頻度が上がります。
3. 月に 1 回「使った本リスト」を振り返る
読書術の本でも推奨されていますが、月末に「今月、どの本の知識を使ったか」を振り返ります。使った本が 0 冊なら、読書と実務が乖離しているサインです。読む本の選び方を見直すか、実践の意識を高める必要があります。
冊数を追うのをやめると起きること
冊数を気にしなくなると、1 冊にかける時間が増えます。じっくり読み、コードを動かし、実務で試す。このサイクルを回すと、1 冊あたりの「使用回数」が飛躍的に増えます。
年間 5 冊でも、その 5 冊を毎週使っているなら、年間の使用回数は 250 回です。年間 30 冊読んで 1 回も使わないより、5 冊を 250 回使う方が、エンジニアとしての成長は大きいはずです。
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まとめ
読書の成果指標を「読んだ冊数」から「使った回数」に切り替えてください。読んだ直後に 1 つ試す、キーワードを貼る、月末に振り返る。この 3 つの習慣で、読書が実務に直結するようになります。大切なのは、何冊読んだかではなく、何回使ったかです。
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