技術書の読書会の始め方 - チームの学習文化を育てる実践ガイド

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読書会チーム学習技術書

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読書会は「読み切る仕組み」である

1 人で技術書を読み切るのは難しい。多くのエンジニアが経験する現実です。買ったときのモチベーションは高くても、3 章あたりで失速し、気づけば積読の山に加わっている。

読書会が効果的なのは、「次回までにここまで読む」という外部の締め切りが生まれるからです。自分 1 人の意志力に頼るのではなく、仕組みの力で読み切る。これが読書会の本質的な価値です。

しかし、読書会の価値はそれだけではありません。同じ本を読んだ複数人で議論することで、1 人では気づかなかった視点が得られます。「自分はこう解釈したが、あなたはどう解釈したか」。この対話が、本の内容を何倍にも深く理解させてくれます。

3 つの形式 - チームに合ったものを選ぶ

輪読型

担当者が章を要約して発表し、残りの時間で議論する形式です。設計本や理論書に向いています。

メリットは、担当者が深く読み込むため、その章については非常に深い理解が得られることです。デメリットは、担当以外の章を浅くしか読まない人が出ることです。

対策として、「担当者は要約を発表し、他の参加者は質問を 1 つ以上用意してくる」というルールを設けると、全員の参加度が上がります。

もくもく型

同じ時間に集まり、各自が黙々と読み、最後に感想を共有する形式です。入門書やハンズオン本に向いています。

メリットは、事前準備が不要なため参加のハードルが低いことです。「読んでこなかったから参加しづらい」という問題が起きません。デメリットは、議論の深さが輪読型に劣ることです。

リモートワーク環境では、ビデオ通話をつなぎっぱなしにして各自が読む「オンラインもくもく会」も効果的です。

議論型

事前に全員が指定範囲を読んできて、議論に集中する形式です。名著や、意見が分かれるテーマの本に向いています。

メリットは、議論の質が最も高いことです。全員が読んでいる前提なので、深い議論ができます。デメリットは、事前に読んでこない人がいると成立しないことです。

読書会の運営に関する本を参考にすると、スムーズに立ち上げられます。

読書会を立ち上げる 5 ステップ

1. 本を選ぶ

参加者全員が「読みたい」と思える本を選びます。候補を 3〜5 冊挙げて投票で決めるのが公平です。最初は 200 ページ以下の薄い本がおすすめです。分厚い名著は 2 回目以降に回しましょう。

2. スケジュールを固定する

週 1 回、30〜60 分が続けやすいペースです。毎週同じ曜日・時間に固定すると習慣化します。「空いている時間に」は絶対に続きません。カレンダーに繰り返し予定として入れてください。

3. 1 回あたりの範囲を決める

1 回あたり 1〜2 章が適切です。多すぎると読めない人が出て参加率が下がります。少なすぎると進みが遅くてモチベーションが下がります。

4. 発表と議論のバランスを取る

担当者が 10 分で要約を発表し、残りの時間で議論する形式が最もバランスが良いです。発表は箇条書き 5 行のメモで十分です。スライドを作る必要はありません。

5. 記録を残す

議論の内容を簡単にメモして共有すると、欠席者もキャッチアップできます。Slack のスレッドや Notion のページに、箇条書きで要点を残すだけで十分です。

読書会が自然消滅する 3 つの原因と対策

読書会の最大の敵は「自然消滅」です。多くの読書会が 3〜4 回で終わります。原因と対策を知っておけば、消滅を防げます。

1 つ目は、本が難しすぎること。全員が挫折して「読めませんでした」が続くと、参加する意味がなくなります。対策は、最初の 1 冊は確実に読み切れる薄い本を選ぶことです。

2 つ目は、1 冊終わった後の空白期間。1 冊読み終わった達成感で満足し、次の本を決めないまま間が空くと、そのまま消滅します。対策は、1 冊の最終回で次の本を決めてしまうことです。

3 つ目は、参加者が 2 人になること。2 人だと 1 人が休むと成立しません。最低 3 人、理想は 4〜6 人で始めましょう。

ファシリテーションの本を読んでおくと、議論が活発になります。

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まとめ

読書会は「本を選ぶ → 週 1 回 30 分 → 1〜2 章ずつ」のシンプルな形式で始めましょう。形式はチームに合ったものを選び、完璧を求めず、まずは 3 人で 1 冊読み切ることを目標にしてください。1 冊読み切った成功体験が、チームの学習文化の種になります。