プラットフォームに正義を託せるか(プラットフォームニセイギヲタクセルカ)
「コンテンツ・モデレーション」の最前線
その他- 著者:
- 小向太郎(コムカイ タロウ)
- 出版社:
- 日経BP 日本経済新聞出版
- 出版日:
- 2026年01月27日頃
- ISBN:
- 9784296125524
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
SNS ・動画プラットフォームを舞台にした「コンテンツ・モデレーション」 (情報の選別や削除) の現状を、
情報法の第一人者が平易に解説。これからの社会に必要なネット上の法制度についても展望する。
ビジネスやプライベートで SNS を使う人、必携の一冊。
(以上を太字に)
私たちは日々、 X や YouTube をはじめとするネット上の媒体を通じ、誰かが選び、排除したネット情報を視聴しています。ネット上に流れるこうしたさまざまな情報は、どのような基準で選別されているのでしょうか。 SNS や動画コンテンツが情報の主戦場となった現代、タイムラインに表示されるニュース、レコメンドに流れてくる動画などを提供するプラットフォームの社会への影響力は、ますます強まっています。
本書の主題となる「コンテンツ・モデレーション」とは、オンライン上の投稿や動画を選別したり、削除・非表示にしたりするプロセスのこと。そこには政府による規制とイノベーション、企業の利益と公共性、言論の自由と社会的秩序など、複雑な価値の対立が拮抗しています。
本書では、 EU ・アメリカ・日本という三つの地域でそれぞれ大きく異なる「コンテンツ・モデレーション」の知られざる現状を、法規制や「言論の自由」に対する考え方の違いも含め、情報法の第一人者が、平易に解説。さらに、これからの日本がとるべき法制度についても展望します。
【はじめに】より
情報は現代社会の生命線です。プラットフォームを通じて届けられる情報は、今後ますます重要になってくるでしょう。誰がどのようなルールを定めるかによって、社会のあり方も大きく変わるかもしれません。一方、「現代の言論統制」ともいえる「コンテンツ・モデレーション」を、誰がどのようにコントロールするのかについては、どの国もまだ試行錯誤の状態です。
プラットフォームの問題はプラットフォーム上のコンテンツをいかに適正化するか、ということにとどまりません。実際に特定のプラットフォームを使わざるを得ない状況を考えれば、その影響力はさらに大きくなるでしょう。こうした状況に対し、プラットフォームが提供するサービスや、収集している膨大な情報について、どのようなルールを定めるべきかという問題にも注目が集まっています。
プラットフォームに社会がどのように責任を求めていくかという問題は、インターネットを利用するすべての人に重大な影響を及ぼします。日本でこうした新しい問題への対応を検討する際には、ヨーロッパやアメリカの議論や制度がよく参照されます。しかし、この問題に対する考え方が、国や地域によって全く異なるということは、あまり知られていないのではないでしょうか。
本書では、各国の制度の特徴とその背景を比較して、これからの日本にはどのような制度が必要なのかを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
はじめに
第 1 章 プラットフォームが言論を左右する
第 2 章 EU の選択──「自由」か「秩序」か
第 3 章 アメリカの選択──言論の自由は譲れない
第 4 章 模索する日本──自主規制は機能するのか
第 5 章 日本に必要な制度とは
第 6 章 規制は正義を実現できるか
おわりに
技書の森解説
SNS 上の誹謗中傷や偽情報に対して、プラットフォーム事業者がコンテンツを削除したりアカウントを凍結したりすることは、はたして「正義」なのか。本書は情報法を専門とする小向太郎氏が、巨大プラットフォームによる私的な統治と公的な法規制の間にある緊張関係を、日本・ EU ・米国の制度比較を交えて整理した一冊です。
技術書というより社会科学寄りの内容ですが、 IT エンジニアやプロダクトマネージャーにとっても無縁ではありません。自分たちが構築するサービスのモデレーション設計や利用規約の在り方は、まさに本書が議論する「私人による秩序維持」の一端です。法律用語に馴染みがない読者でも、具体的な事件や判例を糸口に議論が進むため、論点を追いやすい構成になっています。
表現の自由、通信の秘密、忘れられる権利といったテーマは技術の進歩に関わらず問われ続ける普遍的な問いであり、その問いに対する各国のアプローチの違いを俯瞰できる本書は、制度設計に関わる人の判断材料として長く参照できます。