SI 企業の進む道

SI キギョウノススムミチ

業界歴 40 年の SE が現役世代に託すバトン

SI 企業の進む道の表紙
その他
著者:
室脇 慶彦(ムロワキ ヨシヒコ)
出版社:
日経 BP
出版日:
2022年12月12日
ISBN:
9784296200832
在庫:
在庫あり
4.5(2 件 / 楽天ブックス)

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書籍紹介

★40 年の経験が見抜いた SI 企業の強み・弱み
★未来を描くのに欠かせない示唆、満載

国が SI 企業をどのように見ているかご存じでしょうか。一言で表せば「日本企業の浮沈を握るカギ」だと考えています。大げさに聞こえるかもしれませんが、昨今の DX 関連の制度設計を見れば、その本気度がわかると思います。

それら DX 制度設計を手掛けた中心人物の 1 人が本書の著者です。野村総合研究所に長く勤めた後、SCSK の顧問になるとともに、2021 年 3 月まで情報処理推進機構 (IPA) の参与として働いていました。IPA では DX 推進責任者を務め、「DX 認定制度」の設立に関わっています。IPA は主に経済産業省の政策執行機関ですので、政府目線でこの国の SI 企業を見ていた人物の 1 人なのです。

同時に著者は、SE として 40 年の経験がある大先輩です。本書ではその経験を基に、SI 企業の「強み」と「弱み」、そして「DX」を冷静に分析しています。若い人にはピンとこない話があるかもしれませんが、長年の経験がないとたどり着けない内容が多く、示唆に富んでいます。なぜ基幹系システムは今のような状態になってしまったのか、この先どうするべきなのか、未来ビジョンを描く前にするべきことは何かーー。

著者は、本書の最後にこう述べています。

「本書は、私の 40 年を超える IT 技術者としての活動を検証し、結果的に現在の状況をつくってしまった罪を自分自身に問い続ける内容です。ソフトウエア開発技術の発達が不十分であったことが最大の原因ですが、技術変化への対応に遅れ、仕方ないで済まされない大きな問題を作り続けた責任は重いと思っています。」

数々の実績を残してきた著者が発したこの重い言葉。次世代のエンジニアは何を感じるでしょうか。SI 業界に勤める人なら、一度は読んでおきたい 1 冊です。
序章 未来の SI を考えるのに欠かせない「DX」の定義と解説

第 1 部 SIer の客観評価

第 1 章 SIer の強み

第 2 章 SIer の弱み

第 2 部 SIer を取り巻く環境
第 3 章 日本の DX の現状

第 4 章 ユーザー企業の危うさ

第 5 章 DX に求められる IT システムの要件

第 3 部 SIer の未来戦略
第 6 章 強みをさらに進化させる戦略

第 7 章 弱点を克服し世界と戦う戦略

第 8 章 ユーザー企業と新たな関係を構築する戦略

第 9 章 SIer の社内会議

第 4 部 SIer が切り開く日本の未来
第 10 章 SIer 主導の日本型 DX

第 11 章 より良い日本経済への提言 官・学・業界の取り組み

技書の森解説

日本の SI 企業 (SIer) はこの先どこへ向かうべきかを、業界で 40 年働いてきた SE の立場から論じた業界論が『SI 企業の進む道』 (室脇 慶彦 著、日経 BP、2022 年 12 月刊) です。副題は「業界歴 40 年の SE が現役世代に託すバトン」、並列書名は The SI Company The Way Forward です。版元の紹介文によれば、著者は野村総合研究所に長く勤めたあと、刊行時点では SCSK の顧問を務め、2021 年 3 月までは情報処理推進機構 (IPA) の参与として DX 推進責任者を担い、DX 認定制度の設立に関わりました。開発の現場と、国の側から SI 企業を見る立場の両方を経た著者が、SI 企業の強みと弱み、そして DX を分析する構成です。

序章と 4 部 11 章、SIer の客観評価から官 / 学 / 業界への提言まで

目次は序章「未来の SI を考えるのに欠かせない「DX」の定義と解説」から始まります。第 1 部「SIer の客観評価」は強みと弱みを 1 章ずつ取り上げ、第 2 部「SIer を取り巻く環境」では日本の DX の現状、ユーザー企業の危うさ、DX に求められる IT システムの要件を扱います。第 3 部「SIer の未来戦略」は強みをさらに進化させる戦略、弱点を克服して世界と戦う戦略、ユーザー企業と新たな関係を構築する戦略に続いて、第 9 章「SIer の社内会議」を置きます。第 4 部「SIer が切り開く日本の未来」は第 10 章「SIer 主導の日本型 DX」と、第 11 章「より良い日本経済への提言 官・学・業界の取り組み」で締めくくられます。本書は序章で DX の定義を示してから、評価、環境、戦略、提言の順に進みます。

受託開発の役割分担と、DX が求める開発の進め方

SI 企業の多くは、ユーザー企業から情報システムの構築や運用を請け負う受託の形で事業を組み立ててきました。この形では、何を作るかを決める 要件定義 をユーザー企業と SI 企業のどちらがどこまで担うかが、品質と責任の線引きを左右します。一方で DX の文脈では、事業の変化に合わせてシステムを作り替え続けることが求められ、仕様を最初に固めて一括で納める進め方と、短い周期で作っては見直す アジャイル開発 のような進め方との間に緊張が生まれます。本書の紹介文は、なぜ基幹系システムは今のような状態になってしまったのか、この先どうするべきなのかという問いを掲げています。著者は本書の最後で、ソフトウエア開発技術の発達が不十分であったことを最大の原因に挙げながら、技術変化への対応の遅れの責任を自らに問う言葉を残しています。本書は、業界の内側にいた技術者が自分の関わった歴史を検証する形を取ります。

SI 業界で働く人と、ユーザー企業の情報システム部門に向く業界論

向いているのは、SI 企業に勤めるエンジニアや管理職で、日々の受託案件の外側にある業界の構造と、自社がこの先どこで価値を出すかを考えたい人です。第 2 部の「ユーザー企業の危うさ」や第 3 部のユーザー企業との関係を扱う章があるため、SI 企業に開発を委ねる側の情報システム部門にとっても、発注先との付き合い方を見直す材料になります。反対に、特定の技術や開発手法の手順を学びたい人には向きません。本書は業界の評価と戦略、提言を論じる本であり、手を動かして身に付ける技術書とは役割が違います。SI 業界でのキャリアを長い時間軸で考えたい人にとって、40 年分の経験を土台にした見取り図を手元に置ける一冊です。

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