生成AIアプリケーション評価入門の表紙

生成 AI アプリケーション評価入門(セイセイエーアイアプリケーションヒョウカニュウモン)

アプリケーション
著者:
松木 晋祐(マツキ シンスケ)
出版社:
技術評論社
出版日:
2026年05月01日頃
ISBN:
9784297156145
在庫:
在庫あり
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アプリケーション
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書籍紹介

生成 AI を活用したアプリケーションは、リサーチ、ソフトウェア開発、各種創作活動の補助等、さまざまな知的労働において、欠かせないパートナーとなりつつあります。従来の演繹的なロジックの積み重ねにより構築されたソフトウェアと構造的に異なる生成 AI アプリケーションは、その性質上、次の特徴を持ちます。

・確率的出力:同じ入力に対して、常に同じ出力が得られるとは限らない
・複雑な挙動:入力と出力の関係が明確ではなく、ブラックボックス的な側面がある

・文脈依存性:過去のやり取りや外部情報によって出力が変化する

これらの特徴から、生成 AI アプリケーションの品質を保証するためには、従来のソフトウェアテストとは異なる手法によるテストと評価が不可欠となります。
本書では、生成 AI を活用したアプリケーション、システムに焦点をあてて、そのテスト、評価のアプローチを紹介していきます。

第 1 章 生成 AI アプリケーションの評価の概要

1.1 生成 AI アプリケーションの特徴と評価の必要性

1.2 生成 AI アプリケーションの基本的な構造モデルと評価プロセスモデル

1.3 開発ライフサイクルにおける生成 AI アプリケーションの評価アプローチ

1.4 まとめ

第 2 章 生成 AI アプリケーションの評価基盤モデルと評価アプローチ
2.1 生成 AI アプリケーションの品質モデル

2.2 機械学習利用システムの外部品質特性レベル

2.3 品質モデルとテストタイプを組み合わせて

2.4 生成 AI アプリケーションの基盤評価モデル

2.5 評価観点基盤モデルにもとづく製品独自の評価観点モデルの構築とメトリクス設計

2.6 生成 AI アプリケーション開発における開発チームと QA チームの役割分担の例

2.7 まとめ

第 3 章 基本的な評価メトリクス
3.1 混同行列にもとづくメトリクス

3.2 検索・ RAG 向けの基本的なメトリクス

3.3 生成テキストの内容一致の基本的なメトリクス

3.4 各メトリクスを実際に運用する

3.5 まとめ

第 4 章 評価メトリクスのツールによる評価の実際
4.1 LLM を評価者として利用する「 LLM-as-a-Judge 」

4.2 メトリクスの評価環境の構築

4.3 評価の実行

4.4 pytest と統合した利用

4.5 まとめ

第 5 章 生成 AI アプリケーションのセキュリティ評価
5.1 OWASP LLM とは

5.2 OWASP LLM2025

5.3 生成 AI ・ LLM のセキュリティテスト・レッドチーミング

5.4 まとめ

第 6 章 AI エージェントの評価
6.1 AI エージェントとは

6.2 AI エージェントのパターンと構造・評価観点の例

6.3 AI エージェントの評価メトリクス

6.4 まとめ

第 7 章 生成 AI アプリケーションのテスト・評価のその他のトピック
7.1 プロパティベースドテスト

7.2 画像分析型の生成 AI アプリケーションの評価

7.3 AI 駆動開発のテスト・ QA

技書の森解説

生成 AI を組み込んだアプリケーションは動き始めるまでが速い一方、「この出力の良し悪しをどう測り、リリースして良いと誰がどう判断するのか」で足が止まります。『生成 AI アプリケーション評価入門』は、まさにその問いを主題にした本です。著者は ソフトウェアテスト・品質保証の畑を歩み、ベリサーブで研究開発を管掌する執行役員と AIQVE ONE の取締役 CTO を務める松木晋祐氏。 2026 年 5 月に技術評論社から刊行された、 A5 判 184 ページの一冊です。

生成 AI 評価が難しい理由と品質の土台

出発点は、生成 AI アプリケーションが従来のソフトウェアと構造的に違うという事実です。同じ入力でも同じ出力が返るとは限らない確率的出力、入出力の関係を追いにくいブラックボックス性、過去のやり取りや外部情報で挙動が変わる文脈依存性。この 3 つの特徴があるため、「期待値と一致すれば合格」という従来のテストの発想がそのままでは通用しません。本書は最初にテストと評価の違いを整理し、 AI システムの品質モデルの国際規格 ISO/IEC 25059:2023 を参照しながら、何を品質と呼ぶかという土台から積み上げます。評価を開発ライフサイクルの各フェーズ (要件定義から運用まで) に割り付け、評価結果が改善に回り続けるフライホイールの形成と、そこでの QA エンジニアの役割まで描くのは、品質保証を本業としてきた著者ならではの筋立てです。

中盤の読みどころ RAG 指標から攻撃演習まで

中盤からは道具の話になります。混同行列に基づく基本メトリクスから、検索・ RAG 向けの Recall@k ・ Precision@k ・ F1@k といった指標を「上位 k 件に正解が入っているか」という言葉のレベルから解説し、第 4 章では LLM に出力を評価させる LLM-as-a-Judge を扱います。ここは読むだけでなく、 Google Colab 上に環境を作り、評価フレームワークの DeepEval や G-Eval を使って関連性や正確性の評価を実際に走らせる実践パートです。第 5 章はセキュリティ評価にあてられ、 OWASP LLM Top 10 の 2023/2024 年版から 2025 年版への変化を追った上で、レッドチーミングのフレームワーク DeepTeam を使い、仮想チャットアプリのシステムプロンプトを奪取する攻撃演習まで行います。最終章は AI エージェントの評価で、シングルエージェント・マルチエージェントというパターンごとの評価観点を整理します。

想定読者と本書の範囲外

想定読者は、生成 AI アプリケーションの開発者、 QA エンジニア、プロダクトマネージャーです。プロンプトの書き方 入門やモデルの仕組みの解説を求める段階の本ではなく、すでに何かを作っていて品質に責任を持つ立場の人に照準が合っています。 184 ページとコンパクトなので、評価という領域の全体地図を短時間で手に入れる用途に向いており、逆に個々の指標の数理的な導出や研究レベルの評価理論を深掘りする本ではありません。

読み終えて得られるもの

この本で元が取れるのは、生成 AI 機能の「デモは動くが本番投入の判断基準がない」チームです。読み終えると、出力品質・セキュリティ・エージェント挙動のそれぞれに評価の観点と道具を割り当て、リリース判断を感覚から仕組みに変える設計図が手に入ります。 LLM-as-a-Judge や RAG 評価を 日本語で体系立てて扱う書籍 はまだ少なく、チームの共通言語を作る 1 冊目として投資価値の高い本です。

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