なぜ注目されているか
書籍紹介
情報の本質は、生命体の内部に形成される意味である。本書では、人間にとって最も重要でありながら情報学のテーマとしては未開拓な「生きる意味」について、ヴィクトール・フランクルが「生きる意味」の類型として挙げた「創造価値」「体験価値」「態度価値」を手がかりに、その実現を支援する媒介者 (メディア) が果たす役割、「共創」「共感」「共苦」の実践事例を論じる。
序 章 生きる意味の情報学
第 1 部 生きる意味の思想と実践
第 1 章 フランクル・ロゴセラピーの世界
第 2 章 ロゴセラピー実践の具体的ツール ─「意味発見シート」の開発
〈コラム 1 〉蝋燭は燃えるために
〈コラム 2 〉ライフテーマを探る
第 2 部 自己実現から意味実現へ
第 3 章 自己実現から意味実現へ ─ロゴイストのすすめ
〈コラム 3 〉 LIFE の核は IF
〈コラム 4 〉人生の岐路に向き合う
第 4 章 声に乗せて届ける
〈コラム 5 〉通訳という仕事
第 5 章 ボランティアを通じた創造価値
〈コラム 6 〉光のなかにいる私
第 6 章 見えない世界を生きる原動力
〈コラム 7 〉創造価値はプライスレス
第 3 部 LIFE からの贈り物
第 7 章 絵本セラピーとの出会い ─言葉の奥にある compassion
〈コラム 8 〉暮らしの風景を生きる
第 8 章 読書の体験を伝える ─読書感想文とビブリオバトル
〈コラム 9 〉本で旅する/本が旅する
〈コラム 10 〉登山は哲学とともに
第 9 章 精神次元を体験する旅 ─消費の観光を超えて
〈コラム 11 〉“ Enjoy each moment!”
第 4 部 苦悩の中の意味
第 10 章 ネット・ゲーム依存は子どもの SOS
〈コラム 12 〉ほんにかえるプロジェクト
第 11 章 喪失体験と意味の回復
〈コラム 13 〉「閉じたシステム」の自由と責任
第 12 章 それでも人生にイエスと言う
終 章 共創・共感・共苦のメディア
技書の森解説
情報学と聞いて思い浮かぶのは、データ処理や通信、検索といった工学的な主題でしょう。 2022 年に東海大学出版部から刊行された本書は、その情報学に「生きる意味」という未開拓のテーマを持ち込む試みです。著者の竹之内禎氏は、情報の本質を生命体の内部に形成される意味と捉える立場から、ヴィクトール・フランクルの示した創造価値・体験価値・態度価値という 3 類型を手がかりに議論を組み立てます。
全体は 4 部構成で、フランクルのロゴセラピーの世界と「意味発見シート」などの実践ツールに始まり、自己実現から意味実現への転回、絵本セラピーや読書感想文・ビブリオバトルといった体験の共有、そしてネット・ゲーム依存や喪失体験など苦悩の中の意味へと進みます。各章の間に置かれた多数のコラムが具体的なエピソードを補い、意味の実現を支援する媒介者、すなわちメディアの役割を「共創」「共感」「共苦」という観点から論じるのが一貫した軸です。
技術書ではないため、プログラミングや数理の前提知識は不要ですが、哲学・心理学の概念を追う読解力は求められます。図書館情報学や情報教育に携わる人、情報技術を人の幸福とどう接続するかを考えたい人が、工学一辺倒の情報観を相対化するために開く本としての価値があります。
関連記事
技術書ランキングの決定版はどれか - IT エンジニア本大賞の歴代大賞と言及数データで読む
技術書ランキングを探している人向けに、検証可能な 2 つのデータ (IT エンジニア本大賞の歴代大賞 2014-2026 年と、当サイトの Qiita / Zenn 言及数ランキング) を整理。歴代受賞作の一覧表と、ランキングを選書に活かす方法を解説します。
有名プログラマの読書習慣 - 天才たちは何を読んできたのか
リーナス・トーバルズ、まつもとゆきひろ、ビル・ゲイツなど、著名なプログラマたちの読書習慣と愛読書を紹介します。天才たちの読書スタイルから学べることとは。
DevOps 本ガイド - CI/CD とインフラ自動化を学ぶ技術書の選び方
DevOps の文化と原則から CI/CD、IaC、オブザーバビリティまで学べる技術書の選び方と学習順序を紹介します。