技術書ランキングの決定版はどれか - IT エンジニア本大賞の歴代大賞と言及数データで読む

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技術書選書雑学

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「技術書ランキング」には検証できるものとできないものがある

「技術書 ランキング」で検索すると無数のページが出てきますが、その多くは根拠の書かれていない「おすすめ ◯ 選」です。ランキングを選書の参考にするなら、集計方法が公開されていて、誰でも検証できるものを見るのが確実です。この記事では、検証可能な 2 つのデータに絞って技術書ランキングを整理します。

  1. IT エンジニア本大賞 - 翔泳社内の事務局が運営する、エンジニアの Web 投票とプレゼン大会で決まる賞。受賞作は公式サイトで公表されています
  2. 当サイトの言及数ランキング - Qiita / Zenn の技術記事の中で書籍が言及された件数を当サイトが集計した実測データ

なお「最も売れた技術書」「最も読まれた技術書」のランキングは、この記事では扱いません。出版社ごとの販売部数は網羅的に公開されておらず、検証可能な形で順位を付けられないためです。

IT エンジニア本大賞とは - 選考の仕組み

IT エンジニア本大賞 (正式名称「IT エンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書 大賞」) は、2014 年から毎年発表されている賞です。選考は 2 段階で行われます。まず Web 投票で技術書・ビジネス書それぞれのベスト 10 を選出し、次に Developers Summit (デブサミ) 内のプレゼン大会で、著者や編集者のプレゼンを聞いたイベント参加者の投票により大賞が決まります。

「専門家の審査」ではなく「現場のエンジニアの投票」で決まる点がこの賞の性格で、その年にエンジニアコミュニティの話題に上った本が反映されやすい仕組みです。

歴代の技術書部門大賞 (2014-2026 年)

公式サイトで公表されている技術書部門の歴代大賞は次のとおりです。

技術書部門大賞著者
2014リーダブルコードDustin Boswell、Trevor Foucher
2015GitHub 実践入門大塚弘記
2016プログラマ脳を鍛える数学パズル増井敏克
2017ゼロから作る Deep Learning斎藤康毅
2018機械学習入門 ボルツマン機械学習から深層学習まで大関真之
2019エンジニアリング組織論への招待広木大地
2020レガシーコードからの脱却David Scott Bernstein
2021Engineers in VOYAGE - 事業をエンジニアリングする技術者たち和田卓人 編
2022達人プログラマー 第 2 版David Thomas、Andrew Hunt
2023良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門仙塲大也
20241 冊ですべて身につく JavaScript 入門講座Mana
20257 日間でハッキングをはじめる本野溝のみぞう
2026ことばの意味を計算するしくみ谷中瞳

※ 2023 年の受賞作 (初版) はその後 改訂新版 が刊行され、改訂新版は 2026 年のベスト 10 にも再び入っています。

13 年分を並べると、賞の傾向が見えてきます。コードの書き方・設計 (2014、2022、2023)、その時々の注目分野 (2017 年のディープラーニング、2025 年のセキュリティ、2026 年の自然言語処理)、組織とキャリア (2019、2021) と、「不変のスキル」と「時代の関心」が交互に顔を出す構成です。つまりこの賞のランキングは「歴史的な名著リスト」ではなく、各年のエンジニアの関心の記録として読むのが正しい使い方です。

言及数ランキング - 記事に書かれた回数という実測値

賞が「投票」なら、もう 1 つの軸は「行動の痕跡」です。当サイトでは、Qiita / Zenn の技術記事の中で書籍が言及された件数を集計し、技術書ランキングとして公開しています。エンジニアが記事を書くとき参考文献として挙げる本は、実際に読まれ、使われている本だと考えられるためです。

2026 年 8 月時点では、言及数の首位は「ゼロから作る Deep Learning」で、同シリーズの複数の巻が上位 10 冊に並んでいます。一方、言及数と直近の言及の勢いを合わせた総合ランキングは上位の顔ぶれが言及数の順位とは一致せず、集計のたびに入れ替わります。現時点の順位はランキング側で確かめてください。

ここで面白いのは、賞のランキングと言及数のランキングが部分的に一致することです。2017 年の大賞「ゼロから作る Deep Learning」と 2019 年の大賞「エンジニアリング組織論への招待」は、受賞から年月が経った 2026 年時点でも両ランキングの上位にいます。受賞が一過性の話題で終わらず、現場で参照され続けている本は、この 2 つのデータの重なりとして浮かび上がります。

ランキングを選書にどう使うか

ランキングは「何を読むか」を決めてくれるものではなく、候補を絞る道具です。実践的には次の 3 段階で使います。

  1. 重なりを見る: 賞と言及数の両方で上位に入る本は、話題性と実用の両方が実証されています。最優先の候補です
  2. 年を見る: 賞は「その年の関心」の記録なので、受賞年が古い本は内容が現在も有効かを確認します。設計・組織論は長寿命、特定技術の入門書は要確認です
  3. 自分のレベルと照らす: どれだけ評価が高くても、前提知識が合わない本は読めません。ランキング上位ほど「今の自分に合うか」の確認を省きがちなので注意してください

レベルや目的に合わせた絞り込みの方法は 初めての技術書の選び方 と各ジャンルの選書ガイドにまとめています。

よくある質問

Q. 一番売れている技術書は何?

網羅的な販売部数のデータは公開されていないため、検証可能な答えはありません。売上の代わりに使える公開データが、本記事で紹介した投票 (賞) と言及数 (実測) の 2 つです。

Q. ランキング上位の本を順番に読めばいい?

おすすめしません。ランキングは読者のレベルや目的を考慮していないため、上から順に読むと前提知識のミスマッチで挫折しやすくなります。候補を絞る道具として使い、最終判断は目次と「はじめに」で行ってください。

Q. ベスト 10 はどこで見られる?

IT エンジニア本大賞の各年のベスト 10 は公式サイトで公表されています。言及数と総合の 2 軸で見られる当サイトの技術書ランキングは 30 位まで公開しており、毎週更新されます。

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まとめ

検証可能な技術書ランキングは、IT エンジニア本大賞 (投票) と言及数集計 (実測) の 2 系統です。賞は各年のエンジニアの関心の記録、言及数は現場で参照され続けている本の実測値であり、両方に顔を出す本が最も外れの少ない候補になります。気になった本は在庫と版を確認し、必ず目次で自分との相性を確かめてから選んでください。

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