RaspberryPi
手のひらサイズの小型コンピュータ。学習から電子工作 / IoT まで幅広く使える
RaspberryPi とは
Raspberry Pi (ラズベリーパイ) は、手のひらに乗る小型のシングルボードコンピュータだ。教育目的で開発された安価な基板だが、その手軽さと拡張性から、電子工作・IoT・自宅サーバー・学習教材まで幅広い用途で使われている。Linux が動作し、一般的な PC のように扱える点が特徴だ。
同じ名前で二つの組織が動いていることを知っておくと、情報を探すときに迷わない。基板の開発と販売を担うのは英国の Raspberry Pi Ltd で、製品の仕様や現行モデルはこの会社のサイト (raspberrypi.com) が一次情報になる。もう一方の Raspberry Pi Foundation はイングランド・ウェールズの登録慈善団体 (登録番号 1129409) で、若い世代がコンピューティングを学ぶ機会を広げる教育活動を担い、こちらは raspberrypi.org 側に情報が置かれている。教材やカリキュラムを探しているのに製品ページを読んでいた、という取り違えはこの二層構造から起きる。
製品も 1 種類ではない。2026 年 8 月時点の公式サイトに並ぶのは、標準サイズの Raspberry Pi 5 (Broadcom BCM2712 = 64 ビット 4 コアの Arm Cortex-A76 を 2.4GHz で動かし、メモリは 1GB から 16GB までの選択肢がある)、キーボードと一体になった Raspberry Pi 500、名刺より小さい Zero 2 W、機器へ組み込む前提の Compute Module 5、そしてマイコン基板の Pico 2 などだ。Linux を動かして PC のように使えるのは前者の基板群で、Pico 系はマイコンなので OS を載せる使い方はしない。「ラズパイ」と一括りにされた記事を読むときは、どの系統の話かを見分ける必要がある。
何ができるか
| 用途 | 例 |
|---|---|
| 学習 | プログラミングや Linux の練習 |
| 電子工作 | センサーやモーターの制御 |
| IoT | 家電やセンサーをネットにつなぐ |
| 小型サーバー | 自宅用の常時稼働サーバー |
電子部品を直接動かせる仕組みが GPIO (General Purpose Input/Output) だ。基板の縁に並ぶ 40 ピンのヘッダがそれで、Raspberry Pi 5 の製品概要にも標準の 40 ピンヘッダとして記載されている。名前の通り、ピンは 1 本ごとにソフトウェアから入力用か出力用かを切り替えて使う。出力にしたピンの電圧を高低で切り替えれば LED やリレーを動かせ、入力にすればスイッチの開閉やセンサーの信号を読み取れる。USB 機器のようにドライバを介さず、数行のプログラムから電気信号そのものを扱う点が、ソフトウェアとハードウェアの境目を学ぶ教材として効いている。
なぜ人気か
手を出しやすい価格帯のモデルがあり、壊しても痛手が小さいため、試行錯誤しながら学べる。ただし価格はモデルによって幅があり、キーボード一体型や上位構成は相応の値段になる。本体だけでは動かない点にも注意したい。電源アダプタと microSD カード、必要ならケースや冷却部品を別にそろえるので、実際の出費は本体価格の印象より大きくなる。Linux が動くので一般的な開発知識がそのまま活き、センサー制御という「物理世界とつながる」体験ができる。この「安価・実用・物理世界との接点」という組み合わせが、教育からプロの試作まで幅広い支持を集めている。
利用時の注意点
Raspberry Pi は手軽な反面、汎用 PC ほどの処理性能や安定性はない。常時稼働させる場合は、SD カードの劣化や電源の安定性に注意が必要だ。また、ネットワークにつなぐ IoT 用途では、初期パスワードのまま放置すると乗っ取りの標的になりうる。手軽だからこそ、セキュリティ設定を怠らないことが大切になる。本格的な常時運用では、用途に応じてクラウドや専用機との比較も検討したい。
最初の一歩としては、公式の書き込みツール Raspberry Pi Imager で microSD カードに OS を用意し、起動して初期設定とネットワーク接続、SSH での接続までを一度通しておくとよい。ここまで動けば、あとは GPIO に LED を 1 個つないで点滅させるだけで、書いたプログラムが物理世界を動かす感触がつかめる。この 2 つを済ませてから用途を決めるほうが、最初に部品を買い込むより回り道が少ない。
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