独学で鍛える数理思考 2〜次世代 AI を生み出す数学の基礎
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なぜ注目されているか
書籍紹介
本書の特徴は三つあります。第一に、最先端のロボット / AI 技術の理解に欠かせないテーマを幅広く扱い、強化学習からロボット制御まで、一冊に凝縮しました。各章ではマルコフ決定過程やベルマン方程式、深層強化学習と誤差逆伝播法、Vision Transformer における Multi-Head Attention と MLP、CLIP に代表されるマルチモーダル AI の仕組み、ベイズ推定やカルマンフィルタ、ロボットアームの運動方程式とオイラー=ラグランジュ方程式などを丁寧に解説します。第二に、初学者でも独学で理解できるようストーリー性のある解説を貫き、公式や定理を必要に応じて導入し、計算過程を省略せずに示します。微分や線形代数、確率論などの基礎も節ごとに「Lesson」として補い、副読本なしで学び切れるように構成しています。第三に、プログラミングなどにはあえて踏み込まず、数理モデルの導出とその背後にある思考力の鍛錬に集中しています。コードを書かずに数学の土台を徹底的に固めることで、読者自身が論文や他の専門書に挑む力を養うことを狙っています。
本書の想定読者は高校生から社会人まで、「第四次産業革命」を生き抜くために本格的な数理思考を身につけたいすべての初学者です。授業の数学が何に役立つのか知りたい学生や、AI/DX に携わりたいがどの程度の数学力が必要か迷っている社会人、そもそも数学への苦手意識を払拭したい方々にとって、本書は現代社会で実際に活用と進化が著しいテーマを厳選しているので、学ぶ意義をはっきりと感じ取っていただけるのではないでしょうか。昨今、AI はもはや一部の技術者のものではなく、だれもが活用する民主化された基盤技術となりつつあります。この潮流の中で、AI の駆動原理である数学から目を背け続けることはできないでしょう。複雑な数式に粘り強く向き合い、紙とペンで思考を積み重ねる過程こそが、AI の強みと弱みを見極め、技術の恩恵と限界を主体的に評価できる真の力を育みます。
前作で得た手ごたえをさらに深めたい方にも、本書から読み始める方にも、ここには新しい発見が数多く待っています。一歩一歩山を登るように読み進めれば、強化学習からマルチモーダル AI、ロボット制御まで、現代技術の裏側で脈打つ数理の共通項が見えてくるでしょう。読み終えたとき、最新の AI やロボティクスが「はっきりした数理構造」に支えられていることが実感できるはずです。仕組みを理解すれば、モデルの強みや限界も自分の言葉で説明できます。高校生・大学生から社会人まで、「これから数理思考を本格的に鍛えたい」という方に向けて、独学で取り組める手順と分量で構成しました。前作とあわせて学べば、ディープラーニングからロボット制御まで、現代の AI を横断する基礎体力が身につきます。
徹底的に考え抜き、確かな力を養い、未知の世界へと踏み出す。本書と共に、新たな境地へと歩みを進めてください。
技書の森解説
『独学で鍛える数理思考 2 次世代 AI を生み出す数学の基礎』 (古嶋 十潤 著、技術評論社、2026 年 2 月刊) は、強化学習から物体認識、マルチモーダル AI、自律移動、ロボットアームの制御までを、プログラミングに踏み込まずに数理モデルの導出に絞って解説する本です。版元によれば、前作『独学で鍛える数理思考〜先端 AI 技術を支える数学の基礎』の続編で、公式や定理を必要に応じて導入しながら計算過程を省略せずに示し、微分や線形代数、確率論などの基礎は節ごとの「Lesson」で補って、副読本なしで学び切れるように作られています。
全 6 章と巻末付録 5 本、強化学習から物体操作までの数理
目次は、第 1 章「強化学習を実現する数理」、第 2 章「深層強化学習を実現する数理」、第 3 章「物体認識を実現する数理」、第 4 章「マルチモーダルを実現する数理」、第 5 章「自律移動を実現する数理」、第 6 章「物体操作を実現する数理」の 6 章です。巻末付録は A から E までの 5 本で、ヤコビアンの導出、中心極限定理の導出、正規分布の平均と期待値、確率変数の変数変換、オイラー=ラグランジュ方程式の導出の順に並びます。版元の紹介文が各章の題材として挙げるのは、マルコフ決定過程とベルマン方程式、深層強化学習と誤差逆伝播法、Vision Transformer の Multi-Head Attention と MLP、CLIP に代表されるマルチモーダル AI の仕組み、ベイズ推定とカルマンフィルター、ロボットアームの運動方程式とオイラー=ラグランジュ方程式などです。
AI とロボットの制御に共通する数理の骨組み
強化学習 は、状態を観測して行動を選び、その結果として得た報酬から行動の選び方を改めていく枠組みです。マルコフ決定過程は、この状況を状態、行動、遷移の確率、報酬の組として書き表す道具で、ベルマン方程式は、ある状態の価値を次の状態の価値を使って再帰的に表す式として、価値を少しずつ更新していく多くの手法の土台になります。状態や行動の種類が増えると価値を表で持てなくなるため、ニューラルネットワークで価値や方策を近似するのが深層強化学習で、その学習には ディープラーニング と同じく誤差逆伝播法による勾配の計算が使われます。ロボットの側に目を移すと、カメラやセンサーの値には必ず雑音が乗るため、自律移動では観測から自分の位置を確率として推定する扱いが欠かせず、ベイズ推定の考え方を時間に沿った逐次の計算に落とし込んだものがカルマンフィルターです。アームを狙いどおりに動かすには関節の角度とトルクの関係を運動方程式として書き下す必要があり、エネルギーの式から運動方程式を導く手段としてオイラー=ラグランジュ方程式が使われます。版元は、こうした題材を順に読み進めることで、現代技術の裏側にある数理の共通項が見えてくると説明しています。
コードを書かない学び方と、向いている読者
本書はプログラミングにあえて踏み込まず、数理モデルの導出とその背後にある思考力の鍛錬に集中する方針を取っています。版元が挙げる読者は、数学が何の役に立つのか理解できずにいる学生、実務で用いられる数学をより深く知りたい社会人、AI やデータサイエンスの分野でキャリアを築きたい人で、想定読者は高校生から社会人までの初学者と説明されています。前作を読んだ人だけでなく、本書から読み始める人にも向けた本と案内されています。刊行時の略歴によれば、著者は株式会社 cross-X の代表取締役で、京都大学法学部を卒業し、企業の経営戦略の構築や DX と AI の人材育成に携わってきました。反対に、ライブラリを使ってモデルを実装し、コードを動かしながら学びたい人には、目的が合いません。機械学習の数学をどの水準まで学ぶかで本を選びたい場合は、機械学習に必要な数学の本ガイド も参考になります。AI やロボットの仕組みを道具の使い方ではなく式の成り立ちから理解し、論文や専門書の数式に自分で向き合える土台を作りたい人にとって、紙とペンで計算を追える本書は、時間をかける価値のある 1 冊です。
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