AI の政治哲学

エーアイノセイジテツガク

AI の政治哲学の表紙
AI / 機械学習
著者:
M. クーケルバーク / 直江 清隆 / 金光 秀和 / 鈴木 俊洋 / 二瓶 真理子 / 古賀 高雄(クーケルバーク / ナオエ キヨタカ / カネミツ ヒデカズ / スズキ トシヒロ / ニヘイ マリコ / コガ タカオ)
出版社:
丸善出版
出版日:
2023年07月03日
ISBN:
9784621308257
在庫:
在庫あり
5(3 件 / 楽天ブックス)

なぜ注目されているか

言及数
1176位
総合1698位 ↓ 2 ランクダウン 言及 1 件

書籍紹介

AI 倫理と同様に、不平等・民主主義・権力・ポストヒューマニズムに関する問題に焦点を当て、人工知能を理解する上で社会的・政治的理論の重要性を提示。前著同様、AI に対する単なる警告や安易な非難を超え、AI の政治についてどう語ればいいのかを分かりやすく、かつ前著よりも掘り下げて解説。人工知能は本質的に政治的であり、人々が関心を寄せる人種差別、気候変動、民主主義と監視社会などの政治問題は、AI をはじめとする技術的発展に照らして、新たな緊急性と意味を持つようになっている。本書は政治哲学というユニークな視点を通して、AI の本質的な政治性を明らかにし、AI という権力によってもたらされる課題に対処するための、豊かな概念的ツールボックスを提供する。

技書の森解説

AI をめぐる問題を倫理の言葉だけでなく、政治哲学の概念で読み解く翻訳書です。『AI の政治哲学』 (M. クーケルバーク 著、直江 清隆 訳者代表、丸善出版、2023 年 7 月 3 日発売) は、原タイトル The Political Philosophy of AI の日本語版で、版元は、AI 倫理と同様に、不平等、民主主義、権力、ポストヒューマニズムに関する問題に焦点を当て、人工知能を理解するうえで社会的、政治的理論が重要であることを示す本と紹介しています。訳者は直江 清隆、金光 秀和、鈴木 俊洋、二瓶 真理子、古賀 高雄、菅原 宏道の 6 名です。

全 7 章の構成、自由と平等から非人間の政治まで

目次は全 7 章で、巻末に参考文献と索引が付きます。第 1 章「序論」は「「コンピュータが間違えたんだな」:21 世紀のジョセフ・K」という節から始まります。ジョセフ / K はカフカの小説『審判』の主人公の名です。続く第 2 章「自由: AI による操作とロボットの奴隷」、第 3 章「平等と正義: AI によるバイアスと差別」、第 4 章「民主主義: エコーチェンバー現象と機械全体主義」、第 5 章「権力: データによる監視と (自己) 規律化」は、章題の前半に自由、平等と正義、民主主義、権力の語を置いています。第 6 章「非人間については? 環境政治とポストヒューマニズム」は動物や自然の政治的地位と、AI そのものの政治的地位を問い、第 7 章「結論: さまざまな政治的技術」で議論を締めくくります。

章ごとに参照される思想家と理論

第 3 章には、英語圏の標準的なリベラルな政治哲学における平等と正義の節と、リベラルな考え方が持つ普遍主義に対する批判としての階級とアイデンティティの理論の節が並び、章の結論の節は「結論: AI は政治的に中立ではない」です。第 4 章はプラトンの民主主義と専門知の議論から熟議民主主義、闘技的民主主義へ進み、後半で全体主義の起源と悪の陳腐さについてのアレントの考察を扱います。第 5 章はマルクス主義とフーコーの 2 つの節を立て、テクノ資本主義の道具としての AI と、規律化と監視による主体の形成を論じます。版元はこれらを、AI という権力によってもたらされる課題に対処するための豊かな概念的ツールボックスと表現しています。

バイアス、推薦、監視の背後にある技術

第 3 章から第 5 章が取り上げる問題には、技術の側の仕組みがあります。機械学習 のモデルは過去のデータから規則を学ぶため、採用や融資の記録に過去の差別が残っていれば、その偏りを予測に引き継ぎます。性別や人種の項目を入力から外しても、住所や経歴のように属性と結びついた項目が代わりの指標として働き、偏りが残る場合があります。第 3 章のバイアスと差別の議論はこの問題に対応します。第 4 章の情報バブル現象とエコーチェンバー現象は、閲覧や反応の履歴から利用者ごとに表示する情報を選ぶ推薦の アルゴリズム と結びついています。第 5 章のデータによる監視は、行動の記録を大量に集めて人を分類し予測する AI の使い方と重なります。

2023 年刊の翻訳書と訳者陣

本書は 2023 年 7 月刊の翻訳書で、刊行時の版元の目次欄では、訳者代表の直江 清隆は東北大学大学院文学研究科の所属と記されています。版元の紹介文は本書を前著と同じく AI に対する単なる警告や安易な非難を超えるものとし、AI の政治についてどう語ればよいのかを分かりやすく、かつ前著よりも掘り下げて解説した本と位置づけています。自由、平等と正義、民主主義、権力、非人間という 5 つの主題から AI の政治性を論じ、参考文献と索引を備えた 1 冊です。

言及した記事 (1 件)

関連記事

関連用語

共有: