クラウド FinOps (第 2 版)

クラウドフィンオプスダイニハン

協調的でリアルタイムなクラウド価値の意思決定

クラウド FinOps (第 2 版) の表紙
プログラミング
著者:
J.R. Storment / Mike Fuller / 松沢 敏志 / 風間 勇志 / 新井 俊悟 / 福田 遥(ジェイ アール ストーメント / マイク フラー / マツザワ サトシ / カザマ ユウジ / アライ シュンゴ / フクダ ヨウ)
出版社:
オライリー・ジャパン
出版日:
2025年03月19日頃
ISBN:
9784814401086
在庫:
在庫あり
4(1 件 / 楽天ブックス)

なぜ注目されているか

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言及数
693位

書籍紹介

クラウド利用のコストと価値を最適化する手法を学ぶ!
FinOps とは、事前に予測が難しいクラウド利用のコストと価値を継続的に最適化するフレームワークを指します。インフレや為替変動の影響から 2022 年頃より急速にグローバルで関心が高まっています。本書は、FinOps を推進する中心的存在「FinOps Foundation」の代表が執筆した、FinOps を学ぶための解説書です。FinOps を実践するための考え方や考慮事項から、エンジニア部門と経理部門がどう連携していくのか、会社全体で推進していくための方法を丁寧に解説します。

技書の森解説

クラウドの請求額が増えても、その費用を何に、誰が、なぜ使ったのかを説明できない組織は少なくありません。『クラウド FinOps 第 2 版』 (J.R. Storment、Mike Fuller 著、松沢 敏志、風間 勇志、新井 俊悟、福田 遙、門畑 顕博、小原 誠 訳、オライリー・ジャパン、2025 年 3 月 19 日発行) は、事前に予測しにくいクラウド利用のコストと価値を継続的に最適化する FinOps を、原則から組織での実践まで解説する書籍です。原書は Cloud FinOps, 2nd Edition で、副題は「協調的でリアルタイムなクラウド価値の意思決定」です。版元は本書を、FinOps を推進する中心的存在である「FinOps Foundation」の創設者による包括的な解説書と紹介し、特定のクラウド事業者に拠らずに FinOps の原則や考え方を学べる点を挙げています。

4 部 27 章の構成、FinOps の紹介から Operate フェーズまで

本文は日本語版への序文とはじめにに続く 4 部 27 章で、巻末に訳者あとがきと索引が付きます。第 1 部「FinOps の紹介」は 1 章から 8 章までで、FinOps の定義と基本原則、FinOps が必要になる理由、文化的転換と FinOps チームの役割、職種をまたいで話すための共通言語、クラウド請求書の読み解き方、導入の進め方、FinOps Foundation のフレームワーク、レポートの見せ方を扱います。第 2 部「Inform フェーズ」は 9 章の FinOps ライフサイクルから始まり、費用の配賦、タグとラベルとアカウントの使い分け、予測までの 13 章まで、第 3 部「Optimize フェーズ」は 14 章から 19 章までで、目標の設定、使用量の最適化、料金の最適化、コミットメント割引の理解と戦略の構築、FinOps と GreenOps の連携を扱います。第 4 部「Operate フェーズ」は 20 章から 27 章までで、コスト管理の自動化、メトリクス駆動型のコスト最適化、コンテナの FinOps、エンジニアとの協力、総所有コストなど他のフレームワークとの結び付き、ユニットエコノミクスによるデータ駆動型の意思決定へ進み、27 章「「秘密の材料」、それはあなた自身」で締めくくられます。

請求が分散するクラウドで費用を説明できる状態を作る理由

オンプレミスの時代は、サーバーを買う前に稟議と調達の手続きがあり、支出の判断は購買の部門に集まっていました。クラウドではエンジニアがデプロイするたびに費用が発生し、支出の判断が開発の現場に散らばります。請求データは毎時の単位で細かく積み上がり、どのチームのどの機能が使った費用なのかを後から割り当てない限り、誰も全体を説明できません。FinOps はこの状態に対して、エンジニアリング、財務、経営の三者が同じデータを見ながら判断する運用の枠組みです。本書は 5 章の節で料金の低減を一元化し、使用量の削減を分散化する考え方を示しています。割引の契約は中央のチームがまとめて交渉し、使わないリソースの削除やサイズの見直しはリソースを持つ各チームが担う、という分担です。

費用を下げる手段は大きく 2 つに分かれます。1 つは使う量を減らすことで、もう 1 つは同じ量をより安い単価で買うことです。後者の代表がコミットメント割引で、AWS の コスト最適化 で語られるリザーブドインスタンスや Savings Plans、Google Cloud の確約利用割引、Azure の予約は、一定の利用を約束する代わりに単価を下げる仕組みです。約束した量を使い切れなければ割引は損失に変わるため、購入の量と時期の判断には使用量の見通しが欠かせません。さらに Kubernetes のように 1 台のノードを複数のチームのワークロードが分け合う環境では、請求書に出るのはノードの費用だけで、チームごとの内訳は別の手段で按分しなければ見えてきません。本書がタグ付けによる配賦や予測を独立した章で扱い、コンテナの FinOps に 1 章を充てているのは、こうした見えにくさを順に解いていくためです。

エンジニアと財務と経営層が読む前提、向かない目的

版元の紹介文は、FinOps の実践にはエンジニアリングチーム、財務チーム、経営陣が文化を共有しながら組織全体で推進することが肝要だとしており、本書も特定の役割だけに向けた本ではありません。インスタンスやストレージの料金がどのように決まるかといったクラウドの基本を知っていれば読み進められますが、会計の用語や組織づくりの話題も多く、国立国会図書館の分類では財務管理に置かれています。17 章では AWS、Microsoft Azure、Google Cloud の利用コミットメントの概要を比べていますが、本書はコスト管理ツールの画面操作や設定手順を追う本ではありません。特定のクラウドの請求コンソールや予算アラートの設定を手順どおりに覚えたい場合は、そのクラウドに絞った解説書や公式ドキュメントのほうが目的に近づきます。

クラウドの費用を任されたものの、どこから手を付ければよいか分からないプラットフォームチームの担当者や、エンジニアと財務の間で費用の説明に苦労している管理職にとって、本書は共通言語と進め方の地図をまとめて手に入れられる一冊です。先駆者の成功例と失敗例をもとにした進め方と、これから始める組織向けのロードマップまで用意されているので、自社の状況に当てはめながら第 1 部から順に読むと、最初の一歩を具体的に決めやすくなります。

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