読書で線を引くか引かないか - 本にマーカーを引く人 / 引きたくない人の言い分

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読書術技術書学習法

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永遠に決着がつかない論争

技術書にマーカーや鉛筆で線を引くか、それとも汚さず読むか。エンジニアの間で意見が真っ二つに分かれるテーマです。

「線を引かないと頭に入らない」派と「本は汚したくない」派。どちらにも一理あり、どちらが正しいとは言い切れません。しかし、それぞれの主張の根拠を整理すると、自分に合ったスタイルが見えてきます。

線を引く派の根拠

能動的な読書になる

マーカーやペンを持って読むと、「どこに線を引くか」を常に判断しながら読むことになります。この判断行為が、受動的な読書を能動的な読書に変えます。

注意したいのは、線が引かれた跡そのものに効き目があるわけではない点です。学習方法を比較した報告では、マーカーを引きながら読んでも、ただ読んだ場合と理解を測るテストの結果がほとんど変わらなかったとされています (John Dunlosky, American Educator 2013 年秋号)。効くとすれば線の跡ではなく、どこに引くかを決める過程の方です。引いた時点で終わりにせず、その箇所を後から自分の言葉で言い直せるか試すところまで進めるかどうかで、残り方が変わります。

再読時の効率が上がる

半年後に同じ本を開いたとき、線が引いてある箇所だけを拾い読みすれば、本の要点を短時間でたどり直せます。線がなければ、もう一度最初から読み直す必要があります。

自分だけの「編集版」ができる

線を引き、余白にメモを書き込んだ本は、自分だけのカスタマイズされた参考書になります。著者の説明に自分の解釈や実務での適用例が加わり、自分にとっては原著より使いやすい 1 冊になります。

線を引かない派の根拠

引きすぎると意味がなくなる

線を引く人の多くが陥る罠は「引きすぎ」です。ページの半分以上にマーカーが引いてあると、どこが重要なのかわからなくなります。線を引く行為自体が目的になってしまい、内容の理解がおろそかになります。

本の資産価値が下がる

技術書は中古で売れます。書き込みのない本は買い取りに回せますが、線だらけの本は買い取りを断られたり、値がほとんど付かなかったりします。買い取り価格は本の需要と刊行からの年数で大きく動くので、状態の良さは売値そのものを決める条件ではなく、下限を守る条件だと考えた方が実態に合います。読み終えた本を売って次の本の資金にする人にとっては、線を引くことがその下限を失う選択になります。

電子書籍では物理的な線が引けない

Kindle のハイライト機能はありますが、紙の本にペンで線を引く感覚とは異なります。電子書籍中心の読書スタイルなら、紙にペンで線を引く習慣は出番がなくなります。

読書術の本を読むと、著者によって線を引く派と引かない派に分かれていて面白い発見があります。

第三の選択肢: 付箋を使う

線を引くか引かないかの二択ではなく、付箋を使う方法もあります。

重要な箇所に付箋を貼り、付箋に一言メモを書く。本自体は汚れず、再読時には付箋の箇所だけを読み返せます。不要になったら剥がせるので、本の資産価値も維持できます。

ただし、付箋は剥がれやすく、数年後に読み返すと付箋が落ちていることがあります。長期保存には向きません。

3 つの方式を並べて比べる

ここまでに挙げた両派の言い分と付箋の特徴を、同じ観点で並べると違いがはっきりします。

観点線を引く線を引かない付箋を貼る
読み方どこに引くかを判断しながら読むため能動的になる目で追うだけの受動的な読書になりやすい貼る箇所を選んで一言メモを書く分だけ判断が入る
再読線の箇所を拾い読みして要点を復習できる要点の位置が残らず読み直しに時間がかかる付箋の箇所だけ読み返せる
中古で売るとき線だらけの本は買い取りを断られやすい書き込みがなければ状態の分だけ買い取り価格を保てる剥がせるので資産価値を維持できる
電子書籍紙にペンで引く感覚は再現できず、ハイライト機能で代替する電子書籍中心のスタイルでもそのまま成り立つ紙の本を前提にした方法
数年後引いた線はページに残り続ける本は買ったときの状態のまま付箋が落ちていることがあり長期保存には向かない
つまずきやすい点引きすぎるとどこが重要かわからなくなる要点を選ぶ判断が働かず読み流しになりやすい剥がれ落ちると手がかりごと失う

3 方式のどれも一長一短で、優劣は「本を売るか」「何度も読み返すか」「紙か電子か」という自分側の条件で決まります。

自分に合ったスタイルの見つけ方

以下の質問に答えると、自分に合ったスタイルが見えてきます。

読み終えた本を売るか? → 売る人は線を引かない方がいい

同じ本を何度も読み返すか? → 読み返す人は線を引く価値がある

電子書籍が中心か? → 電子書籍ならハイライト機能を使えばいい

読書ノートを別に取っているか? → ノートを取る人は本に線を引く必要性が低い

よくある質問

Q. 本にマーカーを引きたくないが、記憶に残す方法は?

付箋に一言メモを書いて貼る方法や、読書ノートを別に取る方法があります。本文の「第三の選択肢: 付箋を使う」で紹介したとおり、付箋なら本を汚さず再読性も確保できます。電子書籍ならハイライト機能が線引きの代替になります。

結論: どちらも正しい

線を引くか引かないかに正解はありません。重要なのは、自分の読書スタイルに合った方法を選び、一貫して実践することです。

ただし、1 つだけ付け加えておきたいことがあります。線を引くかどうかを悩んでいる時間があるなら、その時間で 1 ページでも多く読んだ方がいいです。方法論にこだわりすぎて読書量が減るのは本末転倒です。

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まとめ

線を引く派は能動的な読書と再読効率を重視し、引かない派は本の資産価値と引きすぎのリスクを重視しています。付箋という第三の選択肢もあります。どちらが正しいかではなく、自分の読書スタイルに合った方法を選ぶこと。そして、方法論より読書量を優先すること。実用の面ではそこが要点だと考えています。

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