生成 AI の法律実務(セイセイエーアイノホウリツジツム)
AI・機械学習- 著者:
- 松尾 剛行(マツオ タカユキ)
- 出版社:
- 弘文堂
- 出版日:
- 2025年04月16日頃
- ISBN:
- 9784335360138
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
生成 AI をめぐる実務上の論点を網羅
ChatGPT を嚆矢とした生成 AI ブームは、もはや一時的な熱狂をとうに超えて、社会に定着したと言っても過言ではありません。すでに Microsoft Office やスマートフォン等には生成 AI が組み込まれており、企業の法律実務にも新たな課題が生じています。本書は、これら最先端の問題に関する様々な法律相談を受け実務対応をサポートしてきた筆者がその知見を存分に活かし、著作権法や弁護士法など比較的メジャーな分野から民事手続や刑事法などの新たに注目される分野まで、生成 AI をめぐる最新状況を踏まえて実務上の論点を網羅し、その対応をまとめたものです。テキスト系、画像系等々を問わず生成 AI 一般を対象とし、生成 AI ベンダとユーザ双方の観点から、中立的な立場で実務における「相場観」を示す、当分野における最高水準の一冊です。
序 章 生成 AI の法律実務・概観
第 1 部 総論
第 1 章 生成 AI の技術発展と法律実務にもたらす挑戦
第 2 部 生成 AI と知的財産法
第 2 章 著作権
第 3 章 著作権以外の知的財産権ーー特許、パブリシティ、意匠、商標、不競法
第 3 部 生成 AI と公法
第 4 章 個人情報保護法
第 5 章 弁護士法
第 6 章 業法等
第 4 部 生成 AI と民事法
第 7 章 名誉毀損
第 8 章 名誉権以外の人格権
第 9 章 その他の民事法
第 5 部 生成 AI と刑事法
第 10 章 刑事法
第 6 部 生成 AI 規制の動向を踏まえた実務対応
第 11 章 国際的視野を踏まえた生成 AI 規制の動向
第 12 章 契約・社内規程等の実務対応・ ELSI
終 章 将来を見据えて
技書の森解説
『生成 AI の法律実務』は、生成 AI をめぐる法律問題を体系的に扱う専門書です。桃尾・松尾・難波法律事務所のパートナー弁護士である松尾剛行氏が著し、 2025 年 4 月に弘文堂から刊行されました。著作権をはじめとする知的財産法から、個人情報保護法、名誉毀損、刑事法、そして契約や社内規程づくりといった実務対応まで、企業が生成 AI を「使う」「作る」「組み込む」際に直面する論点を一冊で見渡せる構成が特徴です。
著者の松尾氏はニューヨーク州弁護士資格を持つ IT 法務の実務家で、刊行時の著者紹介 (2025 年 2 月時点) によれば IT ストラテジスト試験や情報セキュリティスペシャリスト試験、プロジェクトマネージャ試験にも合格しています。法律と情報技術の双方に足場を持ち、生成 AI に関する法律相談への実務対応を重ねてきた知見が本書の土台になっていると版元は紹介しています。法律書でありながら技術の実態を踏まえた議論が期待できる、書き手の経歴自体が信頼材料になるタイプの本です。
生成 AI の法律問題はなぜ厄介か
そもそも生成 AI の法律問題が厄介なのは、論点が 1 つの法律に収まらないからです。学習段階では他人の著作物をデータとして利用することの適法性が問われ、日本では著作権法 30 条の 4 という情報解析のための権利制限規定の射程が議論の中心にあります。生成段階では、出力が既存の著作物に似てしまった場合の侵害判断、 プロンプト に顧客情報や個人データを入力することの個人情報保護法上の整理、 ハルシネーション (事実に基づかない出力) が人の名誉を傷つけた場合の責任と、場面ごとに別の法分野が顔を出します。さらに EU では AI 規制法 (AI Act) が 2024 年に発効するなど各国の制度も動いており、単発の解説記事を読むだけでは全体像がつかめない領域になっています。
序章 + 6 部構成という論点の全体地図
本書はこの散らばった論点を、序章の概観に続く 6 部構成で束ねます。知的財産法の部では著作権に独立の章を置いたうえで特許・パブリシティ・意匠・商標・不正競争防止法まで押さえ、公法の部では個人情報保護法・弁護士法・業法等、民事法の部では名誉毀損とそれ以外の人格権、さらに刑事法へ進み、最終部で国際的な規制動向を踏まえた契約・社内規程等の実務対応と ELSI (倫理的・法的・社会的課題) を扱って、終章で将来を見据える流れです。版元が「実務上の論点を網羅」と紹介する通り、個別の質問への即答集というより、自社のケースがどの論点に当たるかを特定するための全体地図として設計されています。
2025 年 4 月刊という時点への注意
読む前に押さえておくべきなのは、この分野が法改正・ガイドラインの更新・判例の蓄積で動き続けていることです。本書は 2025 年 4 月の刊行時点の法状況を前提としており、個別論点の結論は刊行後の制度動向で更新される可能性があります。それでも「どの場面にどの法律が効くか」という切り分けの枠組みや、リスクを契約条項と社内規程に落とし込む考え方は、制度が動いても持ち運べる部分です。本書で構造をつかみ、読む時点の個別論点は所管官庁のガイドライン等で補う、という使い方が現実的でしょう。
買って元が取れる読者
買って元が取れるのは、生成 AI を組み込んだサービスを開発・提供する企業の法務担当者や、社内の AI 利用ガイドラインを策定する立場の人、顧客との契約に AI 関連の条項を盛り込む必要がある開発責任者です。逆に、生成 AI のリスクをざっくり知りたいだけなら、専門書としての密度がある本書は重すぎるかもしれません。しかし「弁護士に相談すべき場面を自力で見分けられる」ようになること自体が実務では大きな防御力です。生成 AI を試す段階から事業に組み込む段階へ進む組織にとって、手元に置いておく価値のある論点集です。
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