図解クラウド仕事で使える基本の知識

ズカイ クラウド シゴト デ ツカエル キホン ノ チシキ

図解クラウド仕事で使える基本の知識の表紙
入門書
著者:
杉山貴章(スギヤマ, タカアキ)
出版社:
技術評論社
出版日:
2011年08月
ISBN:
9784774147178
シリーズ:
知りたい! テクノロジー
在庫:
在庫あり
3.91(14 件 / 楽天ブックス)

なぜ注目されているか

入門書
1位
総合542位 ↑ 5 ランクアップ 言及 3 件
言及数
677位

書籍紹介

これからのビジネスはクラウド抜きには語れない。クラウドコンピューティングのすべてがわかる。

技書の森解説

『図解クラウド仕事で使える基本の知識』 (杉山貴章 著、技術評論社、2011 年 7 月刊、A5 判) は、「知りたい! テクノロジー」シリーズのクラウドコンピューティング編として書かれた図解入門書です。著者は ONGS Inc. 所属のプログラマ兼テクニカルライターで、雑誌 / 書籍 / Web メディアに多数の著作を持つ書き手です。この本を手に取るうえでまず押さえておきたいのは刊行年で、日本の企業にとってクラウド導入がようやく検討課題になり始めた時期、いわばクラウド黎明期に書かれたガイドだという点です。

全 5 章の構成: 概念から黎明期の勢力図まで

全 5 章で、クラウドとは何か (歴史 / 形態 / サービスモデル) から始まり、第 2 章で仮想化 / 分散処理 / SaaS / PaaS / IaaS といった土台技術のしくみを図解し、第 3 章でどの部分をクラウド化するかや移行 / リスク / バックアップといった導入判断を、第 4 章で各社のサービスを、第 5 章でセキュリティ・SLA / 法的リスク / 標準化などの課題を扱います。第 4 章には Google、Amazon、Salesforce、Microsoft、IBM、Oracle に加えて、ニフティ、Rackspace、富士通、NEC、NTT データ、日立、IIJ が並んでおり、この顔ぶれ自体が 2011 年時点のクラウド市場の勢力図をそのまま記録しています。

2026 年から見た内容の賞味期限

2026 年から見ると、本書の内容は二つの層に分かれます。仮想化、分散処理、IaaS / PaaS / SaaS というサービスモデルの分類といった第 1 章 / 第 2 章の概念層は、クラウド を支える骨格として当時から変わっていません。一方、第 4 章のサービス紹介は刊行時点のスナップショットで、コンテナやサーバーレスといった 2013 年以降に一般化した技術は登場しません。霞ヶ関クラウドや自治体クラウドといった項目、そして東日本大震災の年の刊行であることを映した「震災とクラウド」というコラムも含めて、クラウドがどんな期待とともに立ち上がったのかを伝える 資料としての性格 が年々強くなっています。

いま読むならどんな用途か

版元が想定した読者はクラウド導入を検討する企業の担当者でしたが、2026 年にその用途で選ぶ本ではありません。実務のサービス選定や構築には、AWS など特定プラットフォームの現行入門書が役割を引き継いでいます。そのうえで本書が応えられるのは、IaaS / PaaS / SaaS という言葉がどんな文脈で整理されたのかを源流から知りたい、クラウド利用が当たり前になる前の議論 (データの所在 / SLA / 内部統制) がどう始まったのかを確かめたい、という関心です。

向いている読者 / 向いていない読者

クラウドの技術史や IT 業界の変遷に関心がある人、社内でクラウド活用の経緯を語る立場の人にとっては、黎明期の全体像を一望できるコンパクトな記録です。概念の骨格を平易な図解で確かめる用途にも耐えます。逆に、これからクラウドを触る実務知識を求める人には向きません。クラウドという言葉が期待と混乱の中で形を得ていく瞬間を捉えた一冊として、技術史的な関心にはしっかり応えてくれます。

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