ディープラーニング活用の教科書 実践編

ディープラーニングカツヨウノキョウカショジッセンヘン

ディープラーニング活用の教科書 実践編の表紙
デザイン / グラフィックス
著者:
日経クロストレンド / 日本ディープラーニング協会(ニッケイクロストレンド / ニホンディープラーニングキョウカイ)
出版社:
日経 BP
出版日:
2019年10月26日頃
ISBN:
9784296104543
在庫:
在庫あり
3(2 件 / 楽天ブックス)

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書籍紹介

日本ディープラーニング協会 監修
ディープラーニングをビジネスに生かす知識を問われる

同協会の G 検定 (ジェネラリスト) 推薦図書

松尾豊・同協会理事長による「ディープラーニング技術年表」収録

ディープラーニングは確かに実際のビジネスに溶け込み、商品やサービスでの活用が始まっています。
それによって業績を向上させた企業もあれば、社会課題の解決に結びつけている会社も実在します。

その最先端の実践的な事例を紹介しました。本書に「実践編」と付したのはこうした理由からです。

本書の最大の特徴の 1 つが、「ディープラーニングビジネス活用アワード」の受賞 6 プロジェクト全てを子細なケーススタディで紹介していることです。
日本ディープラーニング協会と一緒に、2019 年春から準備を進めてきたものです。

エントリーはやや大手企業に偏重したきらいはありましたが、まさに腕自慢の実力派ぞろいでした。

大賞のキユーピーの食品加工で原料を検査する「AI 食品原料検査装置」に始まって、楽天の自動翻訳プロジェクトである「Rakuten Translate」、
荏原環境プラントが進める「ごみ焼却プラント運転自動化プロジェクト」、水処理など流体向け AI 分析の AnyTech の「水質判定 AI『DeepLiquid』」、

保育園向け IT サービスのユニファの「写真自動判定システムによる保育士の業務負荷軽減」、パッケージデザインのプラグの「パッケージデザインの好意度スコアを予測する AI サービス」の 6 事例を本書にまとめました。

できるだけ載せないようにしたケースもあります。
ディープラーニングといえば画像認識とばかりに、熟練工の目の代替として活用する事例は少なくない。

ただその点だけを極めても、効果の最大値は当該人件費の削減分にしかなりません。

結果として幼稚園児の笑顔が増える、あるいは静脈産業の支えになる、

といった大きな社会的意義をディープラーニングには持たせたい。そんな思いで作りました。

受賞 6 事例を含めた計 26 事例を、本書ではディープラーニング活用の効果で 4 つに分けました。
まず「商品開発・業界構造を変える」。

次が「消費者のデマンドに応える」。

そして「働き方を改革する」。

最後が「不正・異常を検知、社会課題を解決する」。

また資料的価値が高い、日本ディープラーニング協会理事長の松尾豊氏がまとめた「ディープラーニング技術年表」そして「インターネットでいうと 1998 年」も収録。
全編にわたって同協会の理事が一文字ずつ、とりわけ技術的な側面からアドバイスしてくれた貴重な書である。ぜひご覧になっていただきたい。

技書の森解説

『ディープラーニング活用の教科書 実践編』 (日経クロストレンド 編、日本ディープラーニング協会 監修、日経 BP、2019 年 10 月刊) は、企業が ディープラーニング を商品やサービス、日々の業務にどう組み込んだかを、具体的な事例で紹介する本です。版元の紹介文によると、日本ディープラーニング協会と準備を進めた「ディープラーニングビジネス活用アワード」の受賞 6 プロジェクトをすべてケーススタディとして取り上げ、それを含む計 26 事例を、活用の効果ごとに 4 つに分けて収録しています。モデルの作り方ではなく、技術を事業のどこに効かせたのかを知りたい企画担当者や管理職、技術者と事業部門の橋渡しをする人に向いた一冊です。

全 6 章の構成、26 事例を活用の効果で 4 分類

第 1 章「ディープラーニングで付加価値高め こうして稼ぐ」は、日本ディープラーニング協会の松尾豊理事長に聞く章です。続く第 2 章から第 5 章が事例の本体で、版元の紹介文が挙げる 4 つの分類がそのまま章題になっています。第 2 章「商品開発・業界構造を変える」には、食品原料の異物を画像で検査する装置やパッケージデザインの消費者調査の代替、店頭の商品の自動認識などが並びます。第 3 章「消費者のデマンドに応える」は楽天の翻訳技術、ヤフーのドライブレコーダーを使った情報提供、SMBC 日興証券の株式ポートフォリオの提案を扱います。

第 4 章「働き方を改革する」には、ごみ焼却施設の運転の自動化、保育園で撮った写真の選別、社員食堂のレジの自動精算、トラックのナンバーの読み取り、鉄加工の図面の読み解きなど、人手に頼っていた作業を置き換える事例が集まっています。第 5 章「不正・異常を検知、社会課題を解決する」は、路面の老朽化診断、降雨予測の詳細化、株の不正取引の検知、眼底画像の解析、顔認証システムといった題材です。最後の第 6 章は「先端技術の動向を知る」と題した章で、版元の紹介文は松尾豊氏がまとめた「ディープラーニング技術年表」の収録も案内しています。

画像認識だけに寄せない事例選びと効果の見方

ディープラーニングは、2010 年代前半に画像認識の精度を大きく押し上げたことをきっかけに産業への応用が広がった機械学習の一手法です。画像の分類や物体の検出、音声や文章の処理、時系列の予測のように、人が特徴を設計しにくいデータで力を発揮します。一方で事業の現場では、精度の高いモデルを作ること自体よりも、どの業務のどの判断を置き換えると効果が出るのか、学習に使うデータをどう集めて正解を付けるのか、誤判定を運用でどう受け止めるのかが成否を分けます。版元の紹介文は、熟練工の目を画像認識で代替するだけの事例では効果の上限が人件費の削減分にとどまるとして、そうした事例をできるだけ載せない方針を示しています。事例を読むときは精度の数字そのものより、課題の置き方と効果の測り方に注目すると、自社の検討に持ち帰りやすくなります。

2019 年時点の事例集として読む前提

目次は事例と技術動向の章で構成されており、モデルの実装を手順として学ぶ章はありません。ニューラルネットワークの仕組みやコードの書き方を身につけたい人は、ディープラーニング本の選び方 で理論や実装の系統の本を探す方が目的に合います。また 2019 年の刊行のため、掲載されているのは当時の取り組みで、その後に広がった大規模言語モデルによる文章の生成などが事例の対象に入る前の時期の本です。個々の手法の新しさより、導入の動機と効果の出し方を学ぶ資料として位置づけるのが適切です。

裏返せば、自社の業務へのディープラーニングの導入を任された事業部門の人や、技術の判断を非エンジニアの関係者に説明する立場の技術者にとって、業種の異なる 26 事例を効果の型ごとに見比べられる本書は、提案の筋道を考える材料を短い時間で集められる一冊です。版元の紹介文は、ビジネス活用の知識を問う同協会の G 検定 (ジェネラリスト) の推薦図書として本書を案内していました。自社の課題がどの分類に近いかを当てはめながら読むと、手元の検討に引き寄せて使えます。

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