基礎から学ぶ推薦システム

キソカラマナブスイセンシステム

情報技術で嗜好を予測する

基礎から学ぶ推薦システムの表紙
AI / 機械学習
著者:
奥 健太(オク ケンタ)
出版社:
コロナ社
出版日:
2022年07月01日頃
ISBN:
9784339029284
在庫:
在庫あり
4.75(4 件 / 楽天ブックス)

なぜ注目されているか

言及数
848位
総合899位 ↑ 3 ランクアップ 言及 2 件

書籍紹介

【書籍紹介】
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」。いまや, Web 上のいたるところでみかけます。もしかしたら, あなたもお薦めの本として提示されて, この本を手にとられたのかもしれません。このような機能を支えている技術が推薦システムです。本書では, その推薦システムの中身に迫ります。

推薦システムは, 大きく, 内容ベース推薦システム, 協調ベース推薦システム, 知識ベース推薦システム, そして, それらを組み合わせたハイブリッド型推薦システムに分類されます。この分類を踏まえ, 本書はつぎのような構成になっています。1 章では, なぜ推薦システムが必要かという話からはじめ, 推薦問題の定義について学びます。内容ベース推薦システムについては 2 章と 3 章の 2 章構成で, 協調ベース推薦システムについては 4 章から 6 章の 3 章構成で, それぞれ学びます。知識ベース推薦システムは 7 章で学び, ハイブリッド型推薦システムは 8 章で学びます。そして, 最後に 9 章で推薦システムの評価について学びます。なお, 本書は, 1 章から順を追って読まれることを想定しています。前の章で学んだ知識を後の章にも活用するように, 知識を積み重ねていく構成となっています。

【本書の特徴】
本書では数式がふんだんに出てきますが, 一つひとつ紐解きながら丁寧に解説しています。具体例を交えながら, 計算過程もなるべく省略せずに書いていますので, 一つひとつ記号の意味を理解しながら式を追っていくことができます。

また, 問題に親しみをもってもらいやすいように, 具体的かつ身近な事例として, 食をテーマにしたシナリオを設定しています。食に対する好き嫌いは個人差が現れやすいので, 嗜好予測の問題設定としてはうってつけです。

【著者からのメッセージ】
推薦システムの研究には面白くワクワクするような課題がたくさん詰まっています。本書では先端的なトピックについては扱いませんでしたが, いずれのトピックにおいても本書で学んだ内容が基礎となります。

世の中のコンテンツは数も種類も日々増大しており, 人々の選択肢も無数に存在します。それにつれて人間の嗜好もどんどん多種多様で複雑になってきています。そのような嗜好を果して情報技術でどこまで予測できるのか, 推薦システム研究はこの課題に挑戦しつづけていくことになるでしょう。さあ, 推薦システムの探求への旅はいま始まったばかりです!

技書の森解説

「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という仕組みの中身を、数式のレベルから理解したい人に向けた教科書が『基礎から学ぶ推薦システム』 (奥健太著、コロナ社、2022 年 7 月刊) です。副題に「情報技術で嗜好を予測する」とある通り、主題は EC サイトや動画配信サービスがユーザーの嗜好を予測する推薦システムの原理そのもの。ライブラリの使い方を並べる実務書ではなく、内容ベース / 協調ベース / 知識ベース / ハイブリッド型という標準的な分類に沿って、推薦問題の定義から評価手法までを一冊で積み上げていく大学テキスト型の一冊です。

疎なデータから嗜好を当てるという難問

推薦システムの中核にあるのは、ユーザーとアイテムの組み合わせのうちごく一部しか観測できない疎な評価データから、未知の組み合わせへの嗜好を予測するという問題です。アイテムの属性から似たものを推す内容ベースの手法は推薦理由を説明しやすい半面、ユーザー自身も自覚していない意外な好みには届きにくい。行動の似た他のユーザーの履歴を借りる協調ベースの手法、いわゆる協調フィルタリングは意外性のある推薦を生みやすい代わりに、評価履歴のない新規ユーザーや新規アイテムに原理的に弱い。要件を明示的に指定できる商材では知識ベースの推薦が効く場面もあり、実際のサービスはこれらの組み合わせで作られます。単一の万能手法が存在しないからこそ、分類ごとの原理と限界を体系的に押さえることが、機械学習の応用分野としての推薦を設計する力に直結します。

全 9 章を順に積み上げる構成

版元の紹介によれば、1 章でなぜ推薦システムが必要かという話から推薦問題の定義までを扱い、内容ベース推薦を 2〜3 章、協調ベース推薦を 4〜6 章、知識ベース推薦を 7 章、ハイブリッド型を 8 章で学び、最後の 9 章で推薦システムの評価を扱う全 9 章構成です。前の章で学んだ知識を後の章で活用する積み上げ型として設計されており、1 章から順に読むことが想定されています。数式はふんだんに登場しますが、具体例を交えながら計算過程をなるべく省略せずに書く方針が明言されており、式変形の途中で置き去りにされにくいのがテキストとしての持ち味です。

前提知識は線形代数と確率の基礎

読み進めるうえでの前提は、ベクトルや行列の演算と確率の基本的な読み書きです。大学初年級の数学に対応できれば、記号を一つひとつ確認しながら進める本書の書き方に乗っていけます。逆に数式そのものに不安が残る段階なら、 機械学習に必要な数学をどこまでやるか を整理してから戻るほうが結果的に速いでしょう。コードを写して動かすタイプの本ではないので、「まず手を動かして雰囲気を掴みたい」という段階の学び方とは狙いが異なります。

類書との使い分けと元が取れる読者

同じ 2022 年刊の『推薦システム実践入門』 (風間正弘ほか著、オライリー・ジャパン、2022 年 5 月刊) が業務導入の手順と実装に寄った実務書であるのに対し、本書は原理と数理に寄った教科書で、両者は競合というより補完関係にあります。実装本で推薦機能を動かせるようになったものの「なぜこのアルゴリズムでこの結果になるのか」を説明できない人、研究室で情報推薦のテーマに入る学生、 深層学習 ベースの推薦手法を論文で追う前に古典的な土台を固めたいエンジニアには、読み終えたあとも参照し続けられる一冊として元が取れます。明日動くレコメンド機能が欲しいだけの人には遠回りですが、推薦の挙動を原理から語れる知識は、手法が入れ替わっても陳腐化しません。機械学習分野の本選び全体の中での位置づけは 機械学習 / AI 本の選び方ガイド も参考にしてください。

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