生成 AI
セイセイエーアイ
「ChatGPT」を支える技術はどのようにビジネスを変え、人間の創造性を揺るがすのか?
- 著者:
- 小林 雅一(コバヤシマサカズ)
- 出版社:
- ダイヤモンド社
- 出版日:
- 2023年07月06日
- ISBN:
- 9784478118184
- 在庫:
- 在庫あり
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書籍紹介
技書の森解説
『生成 AI』は、作家でジャーナリストの小林雅一が 2023 年 7 月にダイヤモンド社から刊行した一般向け解説書です。副題は「『ChatGPT』を支える技術はどのようにビジネスを変え、人間の創造性を揺るがすのか?」。ChatGPT に代表される生成 AI について、技術の骨格、AI 開発の歴史、テック企業の勢力図、そして創造性や知的財産への影響までを、コードや数式を使わずに 1 冊で見渡す構成です。著者は東京大学理学部物理学科卒で、雑誌記者やニューヨークでの新聞社勤務を経て KDDI 総合研究所リサーチフェローを務め、『AI の衝撃』『ゲノム編集とは何か』 (いずれも講談社現代新書) など先端技術を一般読者向けに翻訳し続けてきた書き手です。
全 7 章の構成
全 7 章構成です。第 1 章と第 2 章は、ChatGPT が示した能力と限界 (幻覚、物理や数学の問題への弱さ)、そして教育現場 / 企業 / 規制当局がそれをどう受け止めたかを整理します。第 3 章と第 4 章が技術面の核で、二度の「冬」を越えてきた AI 開発史から説き起こし、自然言語処理という長年の壁を 2017 年の論文が提案したトランスフォーマーが突破し、大規模言語モデル (基盤モデル) へ至る経緯を追います。第 5 章は OpenAI とマイクロソフトの躍進、グーグルの苦悩というビジネスの勢力図。第 6 章は画像生成 AI とディープフェイクや相次ぐ訴訟、第 7 章は AI 作品の知的財産権と創造性の本質を掘り下げ、ジェフリー・ヒントンの懸念を紹介する「おわりに」で締めくくられます。
トランスフォーマー登場の技術史が核
第 4 章の軸になっている 2017 年の論文とは、グーグルの研究者らが発表した「Attention Is All You Need」のことです。ここで提案されたトランスフォーマーという構造は、文中の単語同士の関係を注意機構 (アテンション) で一括で捉える点が革新で、GPT 系を含む大規模言語モデルのほぼすべてがこの上に築かれました。本書はこの技術史を、記号処理の時代からニューラルネットワークの復権、そして言語理解の壁の突破という流れの中に位置づけるので、「なぜ 2022 年末に ChatGPT が突然現れたように見えたのか」という素朴な疑問に、因果の通った答えを持てるようになります。第 1 章で扱われる「モラベックのパラドックス」 (人間に難しい知的作業ほど機械には易しく、幼児にもできる知覚や運動ほど機械には難しい) のような古典的な論点を、生成 AI の文脈で捉え直せるのも本書ならではです。
想定読者と類書の使い分け
想定読者は、生成 AI を「使う側」「導入や投資を判断する側」の非エンジニアです。プロンプトの書き方や API の実装手順は扱わないので、手を動かすための本を探している人には向きません。数式レベルで仕組みを理解したいエンジニアにも物足りないはずです。技術側へもう一歩踏み込みたい場合は、深層学習 の研究者による岡野原大輔『大規模言語モデルは新たな知能か』 (岩波科学ライブラリー、2023 年) が補完になります。本書の持ち味はむしろ、技術 / 歴史 / ビジネス / 法と創造性という複数の視点を、取材に基づく具体的な事例でつないだ横断性にあります。
2023 年刊という時点と残る価値
刊行は 2023 年 7 月で、記述は GPT-4 や Bard の世代までです。個別サービスの動向はその後も動いていますが、トランスフォーマー以降の技術の系譜、テック企業の力学、知的財産や雇用をめぐる論点の構図といった本書の主要部分は、時間が経っても骨格として通用する内容です。企画職やマネージャーが、生成 AI の可能性と限界を借り物でない自分の言葉で説明できるようになりたいなら、その土台作りとして投資対効果のはっきりした一冊です。
言及した記事 (19 件)
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