時系列分析と状態空間モデルの基礎

ジケイレツブンセキトジョウタイクウカンモデルノキソ

R と Stan で学ぶ理論と実装

時系列分析と状態空間モデルの基礎の表紙
インターネット / WEB デザイン
著者:
馬場真哉(ババシンヤ)
出版社:
プレアデス出版
出版日:
2018年02月14日頃
ISBN:
9784903814872
在庫:
在庫あり
4.67(3 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
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なぜ注目されているか

言及数
90位
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書籍紹介

時系列データはどのように分析されるべきか。分析の“フレームワーク”を基礎から丁寧に解説。

技書の森解説

時系列データを扱う分析は、なぜ普通の回帰分析と同じやり方では済まないのか。『時系列分析と状態空間モデルの基礎』 (馬場真哉 著、プレアデス出版) は、その問いから出発して、Box-Jenkins 法の古典的なモデルから状態空間モデルとカルマンフィルター、ベイズ推論までを、日本語の説明と数式と R や Stan のコードを並べて学ぶ入門書です。副題は R と Stan で学ぶ理論と実装で、刊行は NDL の書誌で 2018 年 3 月、版元ドットコムに登録された書店発売日は 2018 年 2 月 14 日です。版元は、見せかけの回帰といった注意事項をおさえつつ時系列データの解釈と予測の方法を基礎から学ぶ本と紹介し、初学者でも体系的な理論と実践的なコーディングを合わせて学べると案内しています。

全 6 部の構成、Box-Jenkins 法から状態空間モデルとベイズ推論へ

版元が示す目次は部の単位で、全 6 部です。第 1 部「時系列分析の考え方」から始まり、第 2 部「Box-Jenkins 法とその周辺」で ARIMA 系の古典的なモデルを扱います。第 3 部「時系列分析のその他のトピック」は副題に見せかけの回帰、VAR、GARCH を挙げ、複数の系列の関係や変動の大きさの変化といった、単純な自己回帰の外側にある話題を受け持つ部と読めます。後半の 3 部は状態空間モデルに充てられ、第 4 部「状態空間モデルとは何か」で枠組みを導入したのち、第 5 部「状態空間モデルとカルマンフィルタ」、第 6 部「状態空間モデルとベイズ推論」と、推定の道具を変えながら同じ枠組みを掘り下げる並びです。古典的な手法を通過してから状態空間モデルへ進む順序なので、ARIMA を使った経験がある人にとっては、手持ちの知識がどこへつながるのかを確かめながら読める配置になっています。章と節の詳細な目次は版元のページに載っていないため、個々のモデルの扱いの深さは部の題から読み取れる範囲にとどまります。

状態空間モデルが時系列分析の見通しを変える理由

時系列データの難しさは、隣り合う時点の値が互いに似ているという性質にあります。独立な観測を前提にした回帰分析をそのまま当てはめると、無関係な 2 つの系列のあいだに強い関係があるように見えてしまうことがあり、これが見せかけの回帰と呼ばれる落とし穴です。Box-Jenkins 法は、差分を取って定常な系列に変換し、自己相関の形から ARIMA の次数を選ぶという手順でこの問題に向き合いますが、トレンドや季節の変化、外から加わる要因が混ざったデータでは、モデルの解釈が難しくなりがちです。状態空間モデルは、直接は観測できない状態が時間とともにどう移り変わるかを表す式と、その状態から観測値がどう生まれるかを表す式の 2 本にデータの成り立ちを分けて書く枠組みで、水準や傾き、季節の成分を部品として組み合わせられます。状態の式と観測の式が線形で誤差が正規分布に従う場合はカルマンフィルターで状態を逐次的に推定でき、その前提を外したい場合は Stan のような確率的プログラミングの道具でベイズ推論を行う、という使い分けが成り立ちます。第 5 部と第 6 部の並びは、この 2 つの推定の道筋に対応していると読めます。

R と統計の基礎がある人へ、数式とコードを並べて学ぶ一冊

実装には 統計解析向けのプログラミング言語 R と Stan が使われるため、R でデータを読み込んで関数を呼び出す程度の操作に慣れていると、コードの部分で立ち止まらずに済みます。版元は初学者でも学べると案内していますが、平均や分散、回帰といった 統計学 の入口の考え方を一度通っていると、数式の意味をつかむ速度が変わります。同じ版元からは同じ著者による『改訂版 平均・分散から始める一般化線形モデル入門』も出ており、統計モデルの基礎そのものから固めたい場合はそちらとの組み合わせも考えられます。刊行時の著者プロフィールは、2014 年に北海道大学水産科学院を修了し、Web サイト Logics of Blue の管理人を務めるというものです。一方、Python での実装を前提に学びたい人や、深層学習を使った予測手法を探している人には、副題と部の構成から見て目的がずれます。

需要の予測や売上の推移の分析、センサーの値の監視のように、時間とともに並んだデータを扱う データサイエンス の仕事をしていて、ARIMA の出力をそのまま使うだけでなくモデルの構造を自分で組み立てたい人にとって、本書は古典的な手法から状態空間モデルまでを 1 冊で地続きに学べる選択肢です。数式とコードを行き来しながら、見せかけの関係にだまされない分析の作法を身につけたい人に向いています。

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