ことばの意味を計算するしくみ 計算言語学と自然言語処理の基礎

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ことばの意味を計算するしくみ 計算言語学と自然言語処理の基礎の表紙
AI / 機械学習
著者:
谷中 瞳(ヤナカ ヒトミ)
出版社:
講談社
出版日:
2024年10月11日頃
ISBN:
9784065369845
シリーズ:
KS 情報科学専門書
在庫:
在庫あり
5(1 件 / 楽天ブックス)
自然言語処理

なぜ注目されているか

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言及数
981位

書籍紹介

◆◆IT エンジニアが IT エンジニアに読んでほしい本を選ぶ、
「IT エンジニア本大賞 2026」にて、「技術書部門 大賞」を受賞!!◆◆

・私たちの頭の中では、ことばに対してどのような処理が行われているのだろうか?
・頭の中で (いままさに) 行われている処理は、コンピュータによって再現できるのだろうか?

これらの問いに、ことばの意味を計算する 2 つのアプローチ (計算言語学と統計的言語処理) から挑む!

【言語処理学会前会長 乾健太郎先生推薦!】
本書は、ChatGPT で周知となった「ことばのテクノロジー」としての自然言語処理と、哲学・数学・論理学から「ことばをサイエンスする」計算言語学との架け橋となる教科書である。

どちらの世界も知り尽くした第一線の若手研究者が基礎から最先端までを妥協なしに書き上げた。

骨太だが、豊富な例とかみ砕いた説明が読者の背中を押してくれる。

生成 AI を作る人使う人はもちろん、「ことばを数学する」と聞いて心がざわつくようなすべての人に届けたい。

【主な内容】
第 1 部 ことばの意味を計算するには

第 1 章 はじめに: 文の容認可能性

第 2 章 ことばの分析から解析へ

第 2 部 計算言語学からみた, ことばの意味を計算するしくみ
第 3 章 形式統語論の考え方

第 4 章 形式意味論の考え方

第 5 章 形式意味論の準備: 集合論

第 6 章 形式意味論の準備: 記号論理学

第 7 章 形式意味論に基づく含意関係の計算

第 8 章 組合せ範疇文法に基づく意味合成

第 9 章 イベント意味論と推論

第 10 章 談話意味論

第 3 部 自然言語処理からみた, ことばの意味を計算するしくみ
第 11 章 分布意味論

第 12 章 ニューラル言語モデル

第 13 章 大規模言語モデル

第 14 章 分布意味論の特性と問題点

第 4 部 学際的視点からみた, ことばの意味を計算するしくみ
第 15 章 古典的計算主義とコネクショニズム

第 16 章 深層ニューラルネットの体系性の分析

第 17 章 計算言語学と自然言語処理の融合の展望

技書の森解説

『ことばの意味を計算するしくみ 計算言語学と自然言語処理の基礎』 (谷中 瞳 著、講談社、2024 年 10 月刊) は、ことばの意味をコンピューターで扱うための 2 つの立場、すなわち論理と文法の理論から意味を組み立てる計算言語学と、大量の文章から統計的に意味を捉える自然言語処理を、1 冊の中でつないで解説する教科書です。版元の紹介文では、計算言語学と統計的言語処理という 2 つのアプローチから挑む本として紹介され、IT エンジニア本大賞 2026 で技術書部門の大賞を受賞したことも案内されています。生成 AI を使う側、作る側のどちらにいても、言語モデルが何を得意とし何を苦手とするのかを理論の側から確かめたい人に向いた一冊です。

4 部 17 章の構成、形式意味論から大規模言語モデルまで

全体は 4 部 17 章です。第 1 部は第 1 章「はじめに: 文の容認可能性」と第 2 章「ことばの分析から解析へ」で、語彙、文、文脈の曖昧性を例に、構文解析、意味解析、文脈解析という計算の段階を整理します。第 2 部は計算言語学の側からの解説で、第 3 章の形式統語論で範疇文法と組合せ範疇文法 (CCG) を導入し、日本語の格やかき混ぜの分析まで扱います。第 4 章で含意関係や推意と前提、外延と内包といった形式意味論の考え方を示した後、第 5 章と第 6 章で集合論と記号論理学を準備として学び、第 7 章の含意関係の計算、第 8 章のラムダ計算による意味合成、第 9 章のイベント意味論と定理証明を用いた推論、第 10 章の談話意味論へと進みます。第 3 部は自然言語処理の側からの解説で、第 11 章の分布意味論から、第 12 章の Word2Vec、リカレントニューラルネットワーク、Transformer、第 13 章の BERT、GPT、ChatGPT と続き、第 14 章で分布意味論の特性と問題点を検討します。第 4 部は学際的な視点の部で、第 15 章の古典的計算主義とコネクショニズム、第 16 章の深層ニューラルネットの体系性の分析を経て、第 17 章の計算言語学と自然言語処理の融合の展望で締めくくられます。第 2 部と第 3 部の末尾には文献案内が置かれています。

意味を組み立てる立場と、分布から捉える立場

2 つの立場の違いは、文の意味をどこから得るかにあります。計算言語学の形式意味論では、語ごとに論理式の部品を割り当て、文法規則に沿ってそれらを組み合わせることで文全体の意味表示を作ります。組合せ範疇文法は語の文法的な振る舞いを型として記述し、ラムダ計算はその型に従って部品を合成する道具になるため、「すべての」「ある」のような量化の表現や否定を含む文でも、どの文からどの文が導けるかを証明として確かめられます。一方の分布意味論は、似た文脈に現れる語は似た意味をもつという分布仮説に立ち、語や文を数値の並びで表します。検索や推薦で使われる 埋め込みベクトル はこの考え方の延長にあり、ニューラルネットワークと組み合わさって 大規模言語モデル の基盤になりました。前者は推論の筋道が明示できる代わりに網羅的な規則づくりが難しく、後者は大量のデータから柔軟に学べる代わりに、否定や数量の扱い、学習データに無い組み合わせへの対応に弱点が残ります。講談社サイエンティフィクの内容紹介は、深層学習を中心とした統計的言語処理技術に残る本質的な問題点も提示した本と説明しており、第 14 章の分布意味論の問題点と第 16 章の深層ニューラルネットの体系性の分析が、その役割を担う章です。

前提知識と読み進め方、集合論と論理学は本書で準備

形式意味論に必要な集合論と記号論理学は第 5 章と第 6 章に準備の章として収められているため、論理学を専門に学んだことがなくても読み始められる構成です。ただし、命題論理と述語論理の証明論と意味論、型付きラムダ計算と、記号を多く使う題材が続くため、記号を自分で書き写しながら読む時間を見込んでおくと進めやすくなります。一方で、大規模言語モデルを使ったアプリケーション開発の手順は目次に含まれていないため、それを求める人には目的が合わず、その場合は LLM の本の選び方 から実装寄りの本を探すほうが近道です。

言語モデルの出力が正しい推論になっているかを評価したい研究者や技術者、自然言語処理を手法の寄せ集めではなく 1 本の問いで見通したい大学院生、ことばの意味を数学で扱うという考え方そのものに関心がある人にとって、本書は理論と技術の両側の地図を同時に手に入れられる教科書です。腰を据えて記号と向き合う時間を取れる人ほど、得られるものの大きい一冊です。

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