情報支配社会

ジョウホウシハイシャカイ

デジタル化の罠と民主主義の危機

情報支配社会の表紙
コンピュータサイエンス / アルゴリズム
著者:
ビョンチョル・ハン / 守 博紀(ビョンチョルハン / モリヒロノリ)
出版社:
花伝社
出版日:
2022年11月21日
ISBN:
9784763420374
在庫:
在庫あり
4.5(3 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
アルゴリズムデジタル社会哲学民主主義SNSフェイクニュース陰謀論分断批判的考察コミュニティ

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書籍紹介

デジタル化は本当に私たちを幸福にするのか?

AI とアルゴリズムが消費から投票まで干渉し、あらゆる「無駄 (コスト) の削減」を図る現代「デジタル」社会。しかしなぜ、「最適化」された空間でフェイクニュース・陰謀論が跋扈し、和解なき議論が延々と続いているのか? ますます「対話」が困難になり、人々が分断されていく「他者性の喪失」の原因を、デジタル化による「権力支配構造」に見出し、その民主主義への影響を特異な感性で分析する。

『疲労社会』『透明社会』など全世界でベストセラーを出し続けるドイツ在住哲学者ビョンチョル・ハンによる、コロナ以後最新の「時代診察」!

他者の声を聴くこと=「政治」の再建のための哲学的介入

いま世界で最も注目を集め、現代思想界を牽引する哲学者による「聴くこと」の哲学。
アーレント、ハーバーマス、そして東浩紀に至るまで現代の思想・哲学者への幅広い批判的考察を通して、SNS での「炎上」やフェイクニュース・陰謀論の拡散といった、人びとがデジタル技術によって分断されている事態を分析、民主主義を再建する可能性を探ります。

ーー「聴くことは、人びとをコミュニティにつなぎとめ、討議を可能にするかぎりにおいて、政治的行為である。聴くことが〈私たち〉を創出する。民主主義とは、他者の話に耳を傾けて聴く人びとがかたちづくるコミュニティである。〔それに対して、〕デジタルコミュニケーションとは、コミュニティなきコミュニケーションであり、それは聴くことの政治を破壊する。そうすると、私たちは自分自身が話すことしか聴かなくなる。これはコミュニケーション行為の終焉であろう。」--(「コミュニケーション行為の終焉」より)
情報体制

情報支配制

コミュニケーション行為の終焉

デジタル合理性

真理の危機

訳者解説

技書の森解説

推薦の仕組みが消費から投票まで人の選択を整えていく社会で、なぜ陰謀論が広がり、議論は和解に届かないのか。『情報支配社会』 (ビョンチョル・ハン 著、守 博紀 訳、花伝社、2022 年 11 月刊) は、この問いに哲学の側から答えようとする思想書です。副題は「デジタル化の罠と民主主義の危機」、原タイトルは Infokratie で、版元の紹介文は、対話が難しくなり人々が分断されていく他者性の喪失の原因を、デジタル化による支配の構造に見いだすと説明しています。

5 本の論考と訳者解説、情報体制から真理の危機まで

目次は「情報体制」「情報支配制」「コミュニケーション行為の終焉」「デジタル合理性」「真理の危機」の 5 本の論考に、訳者解説が続く構成です。版元の紹介文によれば、著者はアーレント、ハーバーマス、そして東浩紀に至るまでの思想家を批判的に検討しながら、SNS での炎上やフェイクニュース、陰謀論の拡散を分析し、民主主義を立て直す可能性を探ります。紹介文が引く「コミュニケーション行為の終焉」の一節は、聴くことを人々をコミュニティにつなぎとめる政治的行為と位置づけ、デジタルコミュニケーションを「コミュニティなきコミュニケーション」と呼んでいます。

推薦の仕組みと分断、表示順を決めるアルゴリズム

多くのサービスは、利用者が長く滞在し、よく反応する情報を優先して表示するように設計されています。表示順を決める アルゴリズム は、過去のクリックや閲覧時間を手がかりに、その人がすでに関心を持っている話題や意見を先に並べがちです。個々の判断は合理的でも、積み重なると、異なる意見に出会う機会が減り、強い感情を呼ぶ投稿ほど遠くまで届く環境ができあがります。AI による推薦や生成が広がるほど、何が表示され何が表示されないかを決める力は、画面を設計する側に集まります。本書はこうした仕組みの実装を解説する本ではありません。

『透明社会』『疲労社会』に続く花伝社の邦訳

刊行時の著者プロフィールによれば、ビョンチョル・ハンは 1959 年に韓国で生まれ、ドイツに住む哲学者で、2012 年から 2017 年までベルリン芸術大学の教授を務めました。花伝社からは本書の前に『疲労社会』 (横山 陸 訳) と『透明社会』 (守 博紀 訳) がいずれも 2021 年に刊行されており、訳者の守 博紀は『透明社会』に続いて本書を訳しています。

一方で、SNS の運用手順や偽情報への具体的な対策、推薦システムの設計方法を求める人には向きません。扱うのは技術の使い方ではなく、デジタル化が民主主義の土台をどう変えるかという哲学的な問いです。

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