【POD】普通に会話ができる ドラえもんの心のつくり方 1 コンピュータに意識が発生するまで

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【POD】普通に会話ができる ドラえもんの心のつくり方 1 コンピュータに意識が発生するまでの表紙
AI / 機械学習
著者:
田方篤志(タカタアツシ)
出版社:
株式会社ロボマインド
出版日:
2021年03月10日頃
ISBN:
9784991194405
在庫:
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中級者向け
深層学習自然言語処理哲学的思考人工知能の歴史意味理解認知科学心と脳チューリングテスト意識研究ロボティクス

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書籍紹介

「ドラえもん」とあるので、ロボットの本かと思いきや、いきなり哲学 500 年来の大論争から始まる。

心と脳は同じか別物かって問題である。

どうやら、心とは何かを解明しようとしているらしい。

その次に出てくるのがアラン・チューリング。

ここから人工知能の歴史が語られると思いきや、AI に何ができないかって根本問題を取り上げる。

それは、言葉の意味を理解することだそうである。

「えっ、今の AI って、そんなこともできないの」と驚くが、自然言語処理では、未だに、「意味を理解するとはどういうことか」って定義すらないらしい。

著者の出発点は、意味理解にあるようだ。

コンピュータに言葉の意味を理解させようとした結果、コンピュータで心をつくらざるを得なくなったということらしい。

よくある AI の解説本は、深層学習 (ディープラーニング) で何ができるようになって、やがて、シンギュラリティが起こって、仕事が無くなるといった話が一般的であるが、それとは対照的に、本書は、表面的な技術の話ではなく、「心とは何か」といった、本質的な問題を投げかけてくる。

それも、哲学や心理学といった立場でなく、コンピュータに実装することを目的にしているので、抽象的な議論でなく、今の技術で可能な範囲で議論している。

いや、議論だけじゃなく、実際に動くプログラムも同時に開発している。しかも、それを YouTube で公開しているので、確認することもできる。

哲学や心理学といった文系の話と、コンピュータや脳科学といった理系の話を縦横無尽に行き来しながら、意味とは何かを追い詰めていく。

ここが中盤のクライマックスである。

ところが後半、思わぬ方向に話が展開する。

「意識」である。

最新の脳科学から、意識の謎に切り込んでいく。

しかも、思いもよらないことをいう。

「世界は存在しない」

いや、存在しないんじゃなくて、世界は、自分がつくり出してるそうだ。

世界は頭の外にあるんじゃなくて、頭の中につくった仮想世界だそうである。

それが「意識の仮想世界仮説」である。

そんなバカなと思いきや、それを裏付ける証拠を次々に出してくる。

何だか頭がクラクラしてくる。

今、見えてるこの部屋は、現実じゃないのか?

ここにきて、全てが繋がる。

コンピュータ、脳、心、意識、言語。

意味を理解するとは、世界をつくることと同じなのか?

今まで聞いたことない話ばかりで、判然としない。

世界がぐらついてきたみたいだ。

技書の森解説

『普通に会話ができる ドラえもんの心のつくり方 1 コンピュータに意識が発生するまで』は、田方篤志氏が、コンピューターに言葉の意味を理解させるという課題を出発点に、心とは何か、意識とは何かをコンピューターへの実装を前提に論じた本です。書名のドラえもんは、ドラえもんのように普通に会話ができる AI という目標を指しています。楽天ブックスの書誌では紙の本はプリントオンデマンドの形で扱われ、発売日は 2021 年 3 月 10 日頃です。紹介文は、コンピューターに言葉の意味を理解させようとした結果、コンピューターで心をつくらざるを得なくなったという著者の出発点を示しています。

心身問題からチューリング、BERT へ進む章立て

株式会社ロボマインドが電子書籍版について示す目次は、第 1 章「物理学 vs. 哲学 500 年続く大問題」で心身一元論と心身二元論を対比するところから始まります。続く第 2 章と第 3 章はアラン・チューリングとチューリング・テストを取り上げ、第 3 章には「ディープラーニングの構造的限界」という節があります。第 7 章「読解力でも、AI が人間を超えた?!」は Google の BERT が実際に何をしているかを問う章で、そのあと第 10 章「自然言語処理 あぁ、50 年の勘違い」、第 11 章「ついに解明、意味理解の手法」と、意味の理解をどう定義するかへ議論が絞られていきます。楽天ブックスの紹介文も、哲学の大論争から入り、AI に何ができないかという問題として言葉の意味の理解を取り上げる流れを示しています。

後半の主題、意識の仮想世界仮説

紹介文によれば、後半は意識の話題へ移ります。世界は頭の外にあるのではなく頭の中につくった仮想世界だとする考えを、本書は「意識の仮想世界仮説」と呼び、その裏付けとなる証拠を順に示していくと紹介文は説明しています。そこでコンピューター、脳、心、意識、言語が一つにつながるというのが、紹介文の描く本書の到達点です。哲学や心理学の立場ではなく、コンピューターに実装することを目的に議論している点も、紹介文が強調する特徴です。

意味の理解をめぐる技術背景と本書の立場

自然言語処理 の統計的な手法は、大量の文章から語と語の共起や文脈の関係を学び、その関係を手がかりに翻訳や分類、質問への回答を行います。Google が発表した BERT は、文中の一部の語を隠して前後の文脈から当てる事前学習によって、読解の課題で高い成績を出した言語モデルです。一方で、そうした成績が語の意味を理解していることを示すのかについては、記号を現実の経験に結び付ける仕組みが無いという記号接地問題や、規則に従って記号を操作するだけでは理解にならないとする中国語の部屋の議論のように、哲学の側から長く問いが立てられてきました。ディープラーニング の性能が上がっても、この問いには答えが出たわけではありません。本書はこの問題に、統計的な学習の延長とは別の道を探る立場から取り組みます。目次には「ディープラーニングの根本問題」や「えっ、まだ、機械学習で出来ると思ってるの?」といった題が並び、議論の前提は 2021 年 3 月時点の技術です。

心と意識の問いに関心がある人に向く読み物

章題には口語の問いかけが多く、本書は著者自身の仮説と主張を軸に進む読み物の形をとっています。既存の AI 研究への批判を章題に掲げた章もあるため、主張の妥当性は読者が他の文献と照らして判断する必要があります。また、目次の章題は概念と主張を論じるもので、本書はライブラリの使い方やモデルの学習手順を手を動かして学ぶための本ではありません。株式会社ロボマインドのページは、実際に動くプログラムの様子を YouTube で公開していると案内しており、本の主張と実装の歩みを照らし合わせて読むこともできます。対話する AI の応答に意味の理解はあるのかという問いに関心があり、哲学と計算機の話を行き来する議論を楽しめる人に向く一冊です。

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