OSS ライセンスの教科書

オーエスエス ライセンス ノ キョウカショ

ソフトウェア開発の現場で求められる適切な利用方法

OSS ライセンスの教科書の表紙
エンジニアのキャリア / 思考
著者:
上田理 / 岩井久美子(ウエダ, サトル / イワイ, クミコ)
出版社:
技術評論社
出版日:
2018年09月
ISBN:
9784297100353
在庫:
在庫あり
4.29(8 件 / 楽天ブックス)

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技書の森解説

オープンソースソフトウェア (OSS) のライセンスを、開発の現場で適切に使うための判断の土台として体系立てて学べる書籍が『OSS ライセンスの教科書』です。副題は「ソフトウェア開発の現場で求められる適切な利用方法」で、上田 理 著、弁護士の岩井 久美子 監修により、技術評論社から 2018 年 8 月 23 日に発売されました。版元は、OSS ライセンスを体系立てて理解したいエンジニアと、自社製品の OSS ライセンスの扱いを調べているマネージャーや法務担当者を読者に挙げ、法務や知財の体制が手薄な小規模の企業の現場に向けたヒントを多く盛り込んだ本と紹介しています。刊行時の版元の著者紹介によれば、上田 理は国内の電気機器メーカーで商品企画などに携わった後、2003 年初頭から家電機器向けのソフトウェア基盤に OSS を活用する業界横断プロジェクトの立ち上げに関わってきた人物です。

講座と全 16 章、基本編から実務編と戦略編への 3 部構成

冒頭に岩井 久美子による「講座 ソフトウェアと知的財産権」を置き、本文は 3 部 16 章で構成されています。第 I 部の基本編「OSS と OSS ライセンス」は第 1 章「オープンソースソフトウェアの基本」から第 8 章「GPL 違反を考える」までで、ソフトウェアライセンスの基本、寛容型ライセンスと互恵型ライセンスの区分、TOPPERS と MIT、BSD、Apache の各ライセンス、GPL と LGPL に共通する事項、誤解されやすい LGPL、GPL と LGPL のバージョン 3 と AGPL バージョン 3 を順に扱います。第 II 部の実務編「ソフトウェア開発と OSS」は第 9 章「OSS と構成管理」から第 13 章「OSS と社内体制」までで、知的財産権との関係、ソフトウェアのサプライチェーン問題、製品出荷とソフトウェアリリース時の実務を含みます。第 III 部の戦略編「OSS イノベーション戦略」は第 14 章から第 16 章「イノベーションと OSS」までで、独自技術の OSS 開発も取り上げます。第 1 章から第 15 章までの各章には演習問題が付いています。

寛容型と互恵型の違い、頒布の時点で義務が生じる仕組み

OSS ライセンスは、著作権者が利用者に対して、一定の条件を守る限りで複製や改変、再配布を認める利用許諾です。MIT や BSD、Apache のような寛容型 (パーミッシブ) のライセンスは、著作権表示と許諾文を残すといった比較的軽い条件で、改変したコードを自社の製品に組み込み、ソースコードを公開せずに配布することも認めます。これに対して GPL に代表される互恵型 (コピーレフト) のライセンスは、改変物を配布するときに同じライセンスでソースコードを提供することを求め、受け取った人が同じ自由を引き継げるようにします。多くのライセンスで義務が生じるきっかけは配布、つまり頒布です。社内だけで使う場合と、機器に組み込んで出荷する場合とでは求められる対応が大きく変わり、組み込み機器の開発では、出荷のたびにソフトウェアを頒布することになります。

LGPL は、ライブラリとして結合して使う側のプログラムにまではコピーレフトを及ぼさない一方で、利用者がそのライブラリを差し替えられるようにする条件を課すため、静的リンクと動的リンクのどちらを選ぶかで必要な対応が変わります。さらに実際の製品では、自分で選んだ OSS だけでなく、それが依存するライブラリや、外部から受け取ったソフトウェアに含まれる OSS まで把握しなければ義務を果たせません。パッケージマネージャーによる 依存管理 が当たり前になった開発では、一つの部品を加えただけで数十のライブラリが入ることもあります。製品に含まれる部品と版、ライセンスを一覧にする SBOM という記録の形式があります。

版元が挙げる読者と、2018 年 8 月刊の範囲

冒頭には弁護士による知的財産権の講座があり、本文は頒布や構成管理を扱います。刊行は 2018 年 8 月です。

製品に組み込む OSS の扱いを社内で説明しなければならないのに法務部門の支えが薄い、ライセンスの名前は知っていても頒布の時点や義務の範囲の判断に自信がない、というエンジニアやマネージャーに向けて、本書は、基本編から実務編、戦略編までを演習問題とともに扱います。

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