ゴースト・ワーク

ゴーストワーク

グローバルな新下層階級をシリコンバレーが生み出すのをどう食い止めるか

ゴースト・ワークの表紙
コンピュータサイエンス / アルゴリズム
著者:
メアリー・L・グレイ / シッダールタ・スリ / 柴田裕之 / 成田悠輔(メアリーグレイ / シッダールタスリ / シバタヤスシ / ナリタユウスケ)
出版社:
晶文社
出版日:
2023年04月25日
ISBN:
9784794973481
在庫:
在庫あり
3.33(10 件 / 楽天ブックス)
初級者向け
アルゴリズム労働問題AIギグエコノミーオートメーションコンピューター社会学文化人類学デジタル労働労働法テクノロジーと社会

なぜ注目されているか

言及数
450位
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出版前出版日01220222023202420252026

書籍紹介

AI が人の仕事を作る世界。
超高速で拡大する「ギグワーク」の最暗部をえぐる渾身のルポルタージュ。

Amazon、Google、Microsoft、Uber。
大企業が提供する自動化 (オートメーション) された

サービスの裏側に潜む、数えきれない「見えない労働者」の

存在と実情とは。

【文化人類学者×コンピューター社会学者】
が新しい局面へと突入した、「労働」の変化をリアルに伝える。

アメリカ人の推定 8 パーセントが「ゴーストワーク」で少なくとも一度は働いたことが
あり、その数はますます増え続けている。

彼らは通常、これまでの「仕事」において法で定められている最低収入よりも少なく、

健康上の利点はなく、理由を問わずいつでも解雇されてしまう。この種の「仕事」を管理

する労働法はまだなく、これらの末日の組立ラインは、驚くほど多様な範囲の労働者を引

き込んでいるーーお金に急いている若いシングルマザー、早期退職を余儀なくされた専門

家、就職に失敗したものたち。彼らは過労と過少賃金に日々苦しんでいる。

情報化が進み機械化が進むにつれて増大が予想される「見えない労働者」をどう考える

か。雇用主、労働者、そして社会がこの新しい種類の仕事とそれに携わる人々についてで

きることとは何か。

【目次】
序 機械の中の幽霊

第 1 部: 自動化のラストマイルのパラドックス

第 1 章: ループ (作業工程) の中の人間たち

第 2 章: 出来高払いの仕事からアウトソーシングへ

--自動化のラストマイルの略史

第 2 部: 苛酷な仕事 000

第 3 章: アルゴリズムの残虐とゴーストワークの隠れたコスト

第 4 章: お金 (以上のもの) のために熱心に働く 000

第 3 部: ロボットにやり返す

第 5 章: 見ず知らずの人の優しさと協同の力

第 6 章: ダブルボトムライン

結論: 目下の課題 000

謝辞
方法に関する付録

註一覧

解説: 彼らは幽霊じゃない 成田悠輔

技書の森解説

『ゴースト・ワーク』 (メアリー・L・グレイ、シッダールタ・スリ 著、柴田裕之 訳、成田悠輔 監修・解説、晶文社、2023 年 4 月刊) は、自動化されたように見えるサービスの裏側で、細切れの作業を請け負う見えない労働者の実情を描いた本です。副題は「グローバルな新下層階級をシリコンバレーが生み出すのをどう食い止めるか」、原タイトルは GHOST WORK です。版元の紹介文は Amazon、Google、Microsoft、Uber の名を挙げ、ギグワークの最も暗い部分に迫るルポルタージュと位置づけています。コードを書く本ではなく、機械学習やプラットフォームの仕組みを作る側が、システムのどこに人の手が残っているのかを考えるための社会科学の本です。

著者の 2 人は、版元の紹介で文化人類学者とコンピューター社会学者の組み合わせとされ、刊行時のプロフィールではどちらもマイクロソフトリサーチの上級主任研究員です。スリはアマゾンのメカニカルタークを使った実験の企画に携わり、その研究がギグワーカーの調査につながったと紹介されています。訳者の柴田裕之には『サピエンス全史』などの訳書があり、成田悠輔が監修と巻末の解説を担当しています。

序と結論を挟む 3 部 6 章、自動化のラストマイルを追う構成

構成は、序「機械の中の幽霊」に続く 3 部 6 章と、結論「目下の課題」です。第 1 部「自動化のラストマイルのパラドックス」は、第 1 章「ループ (作業工程) の中の人間たち」と、副題「自動化のラストマイルの略史」を持つ第 2 章「出来高払いの仕事からアウトソーシングへ」から成り、第 1 章には「API を使って業務を委託する」「ゴーストワークと機械学習と AI の台頭」「武器にされた無知」などの節が並びます。第 2 部「苛酷な仕事」は第 3 章「アルゴリズムの残虐とゴーストワークの隠れたコスト」と第 4 章「お金 (以上のもの) のために熱心に働く」で、第 3 章には「無頓着なデザインとその意図せざる結果」、第 4 章には「暮らしを仕事に合わせるのではなく、仕事を暮らしに合わせる」といった節があります。第 3 部「ロボットにやり返す」は第 5 章「見ず知らずの人の優しさと協同の力」と第 6 章「ダブルボトムライン」で、結論には「社会的変化を起こすための技術的解決策」の節が置かれています。巻末には謝辞、方法に関する付録、註一覧、成田悠輔の解説「彼らは幽霊じゃない」が続きます。

機械学習の裏に残る人の判断、見えない労働が生まれる仕組み

技術の側から見ると、この本の題材は特別な話ではありません。機械学習 のモデルは正解の付いた大量のデータを必要とし、判定に自信の持てない入力や、規約違反かどうかの微妙な判断は、最終的に人へ回されるのが普通です。依頼する側から見れば、その作業はプラットフォームに投げて結果を受け取る呼び出しの 1 つにすぎず、裏で誰がどんな条件で働いているのかは画面に現れません。文章や画像を作る 生成 AI の開発でも、出力の良し悪しを人が評価して学習に戻す工程が使われており、自動化の範囲が広がるほど、その境目を埋める人の作業もかたちを変えて残ります。本書の言う自動化のラストマイルは、この境目を指す言葉として読むと技術者にも見通しがよくなります。

AI を作る側の技術者に向く理由と、向かない読み方

向いているのは、データの収集や品質管理を外部の作業者に頼る機械学習のパイプラインを設計する人、作業を細かく切り出して発注するプラットフォームを企画する人、そして自社のサービスが誰のどんな作業に支えられているかを説明する立場の人です。作業の単価や締め切り、評価の仕組みといった設計上の決定が、画面の向こうの働き手の負担に直結することを、具体的な当事者の姿を通して確かめられます。一方で、アノテーションの道具の作り方やクラウドソーシングの運用手順のような実装の手引きを求める人、日本の労働法の実務を知りたい人には目的が合いません。機械学習の技術そのものを学ぶ本は 機械学習の技術書の選び方 から探し、本書はその隣に置く 1 冊として選ぶと、技術の判断に人の側の視点を加える助けになります。

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