Excel ピボットテーブル データ集計・分析の「引き出し」が増える本 第 2 版(エクセルピボットテーブルデータシュウケイブンセキノヒキダシガフエルホンダイニハン)
その他- 著者:
- 木村 幸子(キムラサチコ)
- 出版社:
- 翔泳社
- 出版日:
- 2023年07月10日
- ISBN:
- 9784798178738
- 価格:
- ¥2,618
- 在庫:
- 1
- 判型:
- 単行本
なぜ注目されているか
技書の森解説
Excel で売上や在庫の集計表を作るたびに SUMIFS や COUNTIFS の数式を書き直し、上司から「エリア別ではなく商品別で見たい」と言われて作り直した経験がある人は多いはずです。『Excel ピボットテーブル データ集計・分析の「引き出し」が増える本 第 2 版』 (木村 幸子 著、翔泳社、2023 年 7 月刊) は、ピボットテーブルの基本操作から集計の応用、視覚化、ドリルダウンやダイス分析といった分析手法、PowerPivot による複数テーブルの集計までを、マウス操作を中心に手順のキャプチャで図解する実用書です。版元は「ピボットテーブルには関数や複雑な操作は不要」と位置づけ、初心者でもすぐに扱えるようになることと、集計・分析の「引き出し」を増やすことを本書の狙いに掲げています。
序章と第 1 章から第 8 章の構成、基本形の集計表からケーススタディへ
構成は序章と第 1 章から第 8 章までです。序章でピボットテーブルと元の表 (リスト) の各部の名称を押さえ、第 1 章「集計の基本と定番パターン」で、見出しが 1 方向の「単純集計表」と 2 方向の「クロス集計表」という基本形を作ります。第 2 章「データの不備をなくすには」は、「セル結合は禁止」「空行を入れてはいけない場所を知る」「セル内の余分なスペースを削除する」といった項目で、集計の前段でつまずく原因を扱う章です。第 3 章から第 5 章では、集計方法を「合計」以外に変更する、比率や累計、順位を求める、前月比や前年比を求める、「階層」を使いこなして活用の幅を広げる、日付を年、四半期、月単位でグループ化する、といった集計の応用と分析の基本が続きます。第 6 章はピボットグラフと、集計値の傾向を簡易グラフやアイコンで表現する視覚化、第 7 章はケーススタディとしてドリルダウン、ダイス分析、スライス分析、時間軸で分析する「タイムライン」を扱い、第 8 章で Access データからピボットテーブルを作成する手順と、PowerPivot で複数の表に分かれたデータを集計する手順へ進みます。
関数を書かずに集計軸を組み替える、ピボットテーブルの技術背景
ピボットテーブルの本質は、1 行 1 レコードのリストを入力として、行・列・値・フィルターのどこにどのフィールドを置くかで集計表を組み替える対話的な集計の仕組みにあります。関数で組んだ集計表は軸を変えるたびに数式と見出しを作り直す必要がありますが、ピボットテーブルは配置を変えるだけで再集計されるため、「見せ方を変える」コストがほぼゼロになります。この発想はデータウェアハウスの分野で OLAP と呼ばれる多次元分析と同じもので、集計を掘り下げるドリルダウン、一部を切り出すスライス、軸を入れ替えるダイスという操作名も共通です。第 7 章がこれらを名前付きのケーススタディとして扱うことは、Excel の操作を データ分析 の語彙に接続する意味を持ちます。実務での難所は操作そのものではなく入力データの形で、セル結合や空欄のある表はそのままでは正しく集計できないため、第 2 章のリスト作りのルールが最初の壁になります。第 8 章の PowerPivot は、売上明細と商品マスターのように分かれた表を、あらかじめ 1 枚に結合せずにリレーションシップで関連付けたまま集計する仕組みで、表の結合式を書いてきた人ほど作業の減り方を実感しやすい領域です。
第 2 版で復活した視覚化と PowerPivot、追加された目的別索引
版元の案内によれば、第 2 版は第 1 版で一部割愛された視覚化のアイデアや集計の応用、PowerPivot 活用のテクニック解説を復活させ、欲しいアイデアがすぐに見つかる「目的別索引」を追加したリニューアルです。章立ては機能別に組まれているため、「こういう表を作りたい」という目的から該当ページへたどる導線として目的別索引が効きます。練習用 Excel ファイルは第 1 版に引き続き用意され、解説した集計・分析の方法を手元のパソコンで試せます。版元サイトには 2026 年 9 月時点で正誤表も公開されているので、手元の刷と照らして確認するとよいでしょう。対応する Excel のバージョンは版元の案内に明記が無いため、購入前に書店や版元サイトで確認することを勧めます。
Excel 初心者から読める前提と、本書が向かない目的
前提知識は表の入力や範囲選択といった Excel の基本操作で足り、関数の知識は求められません。版元が想定する読者は「何となく簡単な操作はできるけれど、その先の使い方がよくわからない」という人で、陥りやすいエラーの対処法も説明されているため、独学で途中で止まりにくい作りです。一方で本書は集計表を作って読む操作の本であり、公開されている目次に Power Query や DAX 式の項目は見当たらないため、それらを主目的にする人には向きません。回帰分析のような統計手法を学びたい人や、関数だけで集計を組み上げる技術を磨きたい人も、選ぶべき本は別になります。
月次の売上報告で数式を書き換え続けている人、マスターと明細を検索関数でつないでから集計している人、「別の切り口でも見せて」と言われるたびに表を作り直している人は、本書の内容がそのまま日々の作業時間の削減に変わります。Excel 本全体の中での位置づけや前後に読む本は Excel と VBA の本の選び方 も参考になりますが、集計の引き出しを増やすという目的に絞るなら、序章から第 8 章まで練習用ファイルで手を動かしながら進める本書は、費やした時間が早く回収できる一冊です。
この本に興味がある方におすすめ
この本に関連
木村 幸子 の他の書籍
関連記事
データベース本ガイド - SQL から設計まで学べる技術書の選び方
データベースの基礎から設計、パフォーマンスチューニングまで学べる技術書の選び方と学習順序を紹介します。
200 冊読んだエンジニアと 20 冊読んだエンジニアの本当の差
読書量の差はどこに現れるのか。200 冊と 20 冊の差は知識量ではなく「判断の速さ」と「引き出しの多さ」に現れます。量が質に転化するメカニズムを解説します。
本についてくるダウンロード素材を使い倒す
プログラミングの本には、サンプルコードや練習用データのダウンロード特典がついていることがあります。素材の探し方と、完成版コードの使い方を解説します。
関連用語
シングルテーブル設計
DynamoDB で複数のエンティティを 1 つのテーブルに格納し、キー設計で関連データを 1 回の Query にまとめる設計手法
Rails
Ruby 製の Web アプリケーションフレームワーク。規約に従うことで高速開発を実現する
DynamoDB Streams
DynamoDB テーブルの変更をリアルタイムでキャプチャし、Lambda で処理するイベントソース
PostgreSQL
高い拡張性と SQL 標準準拠を特徴とするオープンソース RDBMS
データベースマイグレーション戦略
本番環境のデータベーススキーマを安全に変更するための戦略とパターン
Liveness/Readiness プローブ
Kubernetes がコンテナの生存状態と受信準備状態を判定するためのヘルスチェック機構