Stan と R でベイズ統計モデリング

スタントアールデベイズトウケイモデリング

Stan と R でベイズ統計モデリングの表紙
プログラミング
著者:
松浦 健太郎 / 石田 基広 / 市川 太祐 / 高橋 康介 / 高柳 慎一 / 福島 真太朗(マツウラ ケンタロウ / イシダ モトヒロ / イチカワ ダイスケ / タカハシ コウスケ / タカヤナギ シンイチ / フクシマ シンタロウ)
出版社:
共立出版
出版日:
2016年10月25日頃
ISBN:
9784320112421
シリーズ:
Wonderful R 2
在庫:
メーカー取り寄せ
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中級者向け
プログラミング統計アルゴリズム確率・統計ベイズ統計StanR階層モデル状態空間モデルデータ解析

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書籍紹介

近年, 確率分布を使った数理モデルをデータにあてはめることで現象の理解と予測を促す「統計モデリング」が注目されている。既存の手法と比べた時の利点は解釈のしやすさと予測のよさの両立である。解釈がしやすいので, モデルに含まれる値を推定した後で次のアクションにつなげやすい。このため現実のデータ解析に極めて有効な手法と評価されている。
背景には, コンピュータの計算速度の向上, 大規模のデータが入手しやすくなったこと, モデリングの試行錯誤を極めて簡単にする確率的プログラミング言語の進歩がある。こうした言語の中から, 本書ではフリーソフトである Stan を紹介する。Stan は優れたアルゴリズムを搭載し開発も急速に進んでいるパッケージであるが, R 用のパッケージである RStan が並行して公開されているため R から手軽に利用することができる。Stan の記述力は高く, 階層モデルや状態空間モデルをわずか 30 行ほどで書くことができ, 推定計算も自動で行なわれる。さらに解析者の問題にあわせたオーダーメイドの拡張が簡単に可能だ。

一般にベイズ統計を扱う書籍は初歩的な内容にとどまるものか, 難解な数式が多く実際の問題への応用が難しいものが多い。しかし, 本書はこれらの書籍とは一線を画し, 現実のデータ解析を念頭に置いて非常に実践的な内容に仕上げた。本書で Stan と R を介して身につけた統計モデリングの考え方は, Stan の文法が変化しても, 他の統計モデリングツールを扱う場合にも, 大いに役に立つと確信している。

技書の森解説

ベイズ統計の考え方を、実際のデータに当てはめて使える段階まで引き上げたい人向けの実践書が、松浦 健太郎 著『Stan と R でベイズ統計モデリング』 (共立出版、2016 年 10 月刊 / 版元の発売日は 2016 年 10 月 27 日) です。シリーズ Wonderful R の第 2 巻で、シリーズの監修は石田 基広、編集は市川 太祐ほかです。確率的プログラミング言語 Stan を R から呼び出す RStan を使い、確率分布を組み合わせた数理モデルをデータに当てはめる「統計モデリング」を、回帰から階層モデル、状態空間モデルまでコードで組みながら学ぶ構成です。

導入編から発展編まで 3 部 12 章の構成

本文は 3 部に分かれています。第 I 部「導入編」は Chapter 1「統計モデリングと Stan の概要」、Chapter 2「ベイズ推定の復習」、Chapter 3「統計モデリングをはじめる前に」の 3 章で、尤度と最尤推定、ベイズ信頼区間とベイズ予測区間、本書の事前分布の選び方、情報量規準を使ったモデル選択までを整理します。第 II 部「Stan 入門編」は Chapter 4 で Stan の基本的な文法と単回帰を扱い、Chapter 5 で重回帰、二項ロジスティック回帰、ロジスティック回帰、ポアソン回帰へ進みます。第 III 部「発展編」は Chapter 6 から Chapter 12 までで、確率分布の紹介、回帰分析の悩みどころ、階層モデル、一歩進んだ文法、収束しない場合の対処法、離散値をとるパラメーター、時間や空間を扱うモデルと続き、巻末に「BUGS 言語と異なる点」の Appendix が付きます。練習問題は Chapter 4 以降の多くの章に置かれ、版元のサポートページではデータファイル、Stan コード、実行用と作図用の R コードが公開されています。

統計モデリングが難しいのは、推定そのものより組み立て方

ベイズ推定では、パラメーターの事後分布を解析的に求められないことがほとんどで、MCMC (マルコフ連鎖モンテカルロ法) のようなサンプリングで近似します。手法の考え方を理解することと、目の前のデータに合うモデルを組み、推定が正しく収束したかを確かめることの間には大きな距離があります。版元の紹介文は、Stan では階層モデルや状態空間モデルを 30 行ほどで書け、推定計算も自動で行われると説明しています。本書の章立てはその先の実務に重心を置いていると読めます。Chapter 7「回帰分析の悩みどころ」は交互作用、対数をとるか否か、多重共線形、交絡、打ち切り、外れ値といった、データ分析 の現場で必ず出会う論点を並べ、Chapter 10 はパラメーターの識別可能性、弱情報事前分布、再パラメーター化という、モデルが収束しない時に立ち返る道具をまとめています。Chapter 11 では Stan が直接扱えない離散パラメーターを扱うテクニックとして、混合正規分布、ゼロ過剰ポアソン分布、Latent Dirichlet Allocation を取り上げます。Chapter 12 は状態空間モデルことはじめ、季節調整項、変化点検出から、1 次元と 2 次元の空間構造、地図を使った空間構造までを扱います。

前提知識と、2016 年刊であることの注意

Chapter 2 の題が「ベイズ推定の復習」であることから、統計学 の基本用語やベイズの考え方に一度触れた読者を想定した構成と読めます。R の操作に加えて、尤度や確率分布の式を読むことへの抵抗が少ないほど進みやすくなります。一方で、ベイズ統計の理論を数学的に厳密に積み上げたい人や、R ではなく Python で完結させたい人は、目的に合う本を別に選ぶほうが近道です。また本書は 2016 年時点の Stan と RStan を前提にしています。版元の紹介文も Stan の文法が変化する可能性に触れているので、コードを動かす時は手元の Stan の版と公式ドキュメントで記法を確かめながら読む必要があります。

自分のデータで回帰や階層モデルを組み、推定がうまくいかない時に何を疑えばよいかを手順として身につけたい人にとって、本書は導入から時空間モデルまでを 1 冊で通せる実践書です。サポートページのコードを手元で動かしながら、第 II 部から自分の課題に近い章へ進む読み方が向いています。

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