再現可能性のすゝめ
サイゲンカノウセイノススメ
- 著者:
- 高橋 康介 / 石田 基広 / 市川 太祐 / 高柳 慎一 / 福島 真太朗 / 松浦 健太郎(タカハシ コウスケ / イシダ モトヒロ / イチカワ ダイスケ / タカヤナギ シンイチ / フクシマ シンタロウ / マツウラ ケンタロウ)
- 出版社:
- 共立出版
- 出版日:
- 2018年05月09日頃
- ISBN:
- 9784320112438
- シリーズ:
- Wonderful R 3
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
データ解析とレポート作成の再現性を高めよう。その先には、ボスの笑顔が待っている。
RStudio を使いこなそう。その先には、旨いお鮨が待っている。
R マークダウンをマスターしよう。その先には、明るい未来が待っている。
本書は R による再現可能なデータ解析とレポート作成を身につけるための一冊である。
R がデータ解析のデファクトスタンダードとなった現在, R の使い方や R によるさまざまなデータ解析手法についての情報は数多く入手できる。しかしどれだけ立派なデータ解析であっても, 結果が再現できなかったり, 間違いだらけだったり, 時間がかかりすぎて完成しなかったりしたら, 価値は半減である。
本書では RStudio と R マークダウンについての解説を通して, 再現性と信頼性を高め効率を上げるような「データ解析とレポート作成というプロセス」について解説している。データ解析に携わるすべての人に, 再現可能性の意義を学び, RStudio と R マークダウンによる再現可能なデータ解析とレポート作成を日々の習慣としてほしい。
Chapter 1 再現可能性のすゝめ
1.1 アドホックなデータ解析とその問題点
1.2 R スクリプトの導入とその問題点
1.3 再現可能なデータ解析とその問題点
1.4 R マークダウンによる再現可能なレポート作成
1.5 再現可能なデータ解析とレポート作成のメリット
Chapter 2 RStudio 入門
2.1 RStudio とは
2.2 RStudio のダウンロードとインストール
2.3 はじめての RStudio
2.4 まずは RStudio を動かしてみよう
2.5 RStudio での作業パターン
2.6 タブの紹介
2.7 ツールバー
2.8 メニューバー
2.9 Windows での日本語の利用
Chapter 3 RStudio による再現可能なデータ解析
3.1 R スクリプトによる解析
3.2 はじめて R スクリプトを使うためのチュートリアル
3.3 プロジェクト機能を利用する
3.4 データの読み込みの自動化
3.5 解析結果の保存の自動化
Chapter 4 RStudio による再現可能なレポート作成
4.1 再現可能なレポートづくりを目指そう
4.2 R マークダウンによるレポート作成: 最初の一歩
4.3 コードの記述と動作の制御
4.4 ドキュメントの記述
4.5 YAML ヘッダによるレポートのメタデータ設定
4.6 レポート作成の実行
4.7 R マークダウン編集サポートツール
4.8 R スクリプトからレポート作成
Chapter 5 R マークダウンによる表現の技術
5.1 さまざまな形式のレポート作成
5.2 bookdown による書籍の作成
5.3 flexdashboard でエッセンスを伝える
5.4 htmlwidgets によるインパクトのある可視化
5.5 表を極めるー正確さと効率の両立
5.6 文献目録の作成
Chapter 6 再現可能性を高める
6.1 バージョン管理システムによる解析プロジェクトの管理
6.2 再現できる環境づくり: packrat 編
6.3 パラメータ付き R マークダウン
6.4 R 以外の言語エンジンの利用
6.5 外部の R マークダウンと R スクリプトの読み込み
6.6 R マークダウンで後ろ向き参照
Chapter 7 RStudio を使いこなす
7.1 RStudio のオプション
7.2 コード補完機能
7.3 コードスニペット
7.4 コードの診断
7.5 RStudio によるデバッグ
付録 A マークダウン記法
付録 B チャンクオプション
索引
技書の森解説
データ解析の結果を報告書にまとめる作業を手で進めると、数値の転記や図の貼り替えのたびに食い違いが入り込む余地が生まれます。『再現可能性のすゝめ』 (高橋 康介 著、石田 基広 監修、共立出版、2018 年 5 月発売) は、統計解析の言語 R の統合開発環境 RStudio と R マークダウンを使い、再現可能なデータ解析とレポート作成を身につけるための書籍です。副題は「RStudio によるデータ解析とレポート作成」で、共立出版のシリーズ Wonderful R の第 3 巻にあたります。版元の紹介文は、再現性と信頼性を高め、効率も上げるデータ解析とレポート作成のプロセスを解説すると説明し、読者としてデータ解析に携わる人全般を挙げています。
解析と報告書を 1 つにする、再現可能性という考え方
再現可能性 (reproducibility) は、同じデータと同じ手順から同じ結果が得られる性質を指します。コンソールで対話的に計算を進め、出てきた数値や図を文書へ手で貼り付ける進め方では、データが差し替わるたびに作業を最初からやり直すことになり、どの数値がどの手順から出たのかも後からたどれなくなります。R マークダウンは、Markdown で書いた文章の中に R のコードの塊 (チャンク) を埋め込み、文書を生成するときにコードを実行して結果を差し込む仕組みです。文章と解析の手順が 1 つのファイルに収まるため、データを入れ替えても生成し直すだけで報告書の数値と図がそろいます。本書の第 1 章「再現可能性のすゝめ」は、アドホックなデータ解析、R スクリプトの導入、再現可能なデータ解析の順にそれぞれの問題点を挙げ、R マークダウンによるレポート作成とそのメリットへ進む構成です。
全 7 章の構成、RStudio の操作と R マークダウンの表現の幅
第 2 章「RStudio 入門」はダウンロードとインストール、作業パターン、タブ、ツールバー、メニューバー、Windows での日本語の利用を確認する章です。第 3 章「RStudio による再現可能なデータ解析」は R スクリプトによる解析、プロジェクト機能、データの読み込みと解析結果の保存の自動化を、第 4 章「RStudio による再現可能なレポート作成」はコードの記述と動作の制御、ドキュメントの記述、YAML ヘッダーによるメタデータ設定、編集を支えるツール、R スクリプトからのレポートの生成を扱います。第 5 章「R マークダウンによる表現の技術」では、さまざまな形式のレポート、bookdown による書籍の作成、flexdashboard、htmlwidgets による可視化、表の作り込み、文献目録の作成へ表現の幅が広がります。第 6 章「再現可能性を高める」はバージョン管理システムによる解析プロジェクトの管理、packrat による環境づくり、パラメーター付きの R マークダウン、R 以外の言語エンジンの利用、外部ファイルの読み込み、後ろ向き参照を、第 7 章「RStudio を使いこなす」はオプション、コード補完、コードスニペット、コードの診断、デバッグを取り上げます。巻末には付録 A「マークダウン記法」と付録 B「チャンクオプション」が付きます。
2018 年刊の前提と、packrat を読むときの注意
本書は 2018 年 5 月の刊行で、その時点の RStudio と R マークダウンの環境を前提にしています。第 6 章で環境づくりに使う packrat は、パッケージの版をプロジェクトごとに固定するための道具ですが、開発元の公式リポジトリは packrat を非推奨の扱いとし、後継として renv を案内しています。解析の環境を固定するという考え方はそのまま使えるので、この節は手順の写経よりも、なぜ環境を固定するのかを理解する材料として読み、実際の作業では renv の公式資料と突き合わせるのが確実です。画面の配置やメニューの名前も版によって変わり得るため、RStudio の操作を扱う章は手元の版と照らしながら進める必要があります。
R の基本的な書き方を一通り知っていて、解析の結果を報告書や論文にまとめる段階で手作業の多さに困っている人にとって、本書は解析の進め方そのものを作り直す手がかりになります。目次に個々の統計手法を解説する章は無いため、手法そのものを学びたい人には別の本が向きますが、毎回のレポートを生成し直すだけで更新できる状態を作りたいなら、第 1 章の問題提起から第 4 章のレポート作成まで通して読むだけでも、日々の作業の手間を減らす道筋が見えてきます。
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