行動を変えるデザイン

コウドウヲカエルデザイン

心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する

行動を変えるデザインの表紙
インターネット / WEB デザイン
著者:
Stephen Wendel / 武山 政直 / 相島 雅樹 / 松村 草也 / 反中 望(スティーブン ウェンデル / タケヤマ マサナオ / アイジマ マサキ / マツムラ ソウヤ / タンナカ ノゾム)
価格:
¥3,740
出版社:
オライリー・ジャパン
出版日:
2020年06月11日頃
ISBN:
9784873119144
在庫:
1
判型:
単行本
3.95(21 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
WEB デザインインターネット・WEB デザイン行動経済学ユーザー体験設計サービスデザインプロダクトデザインUX デザイン心理学健康管理アプリ金融アプリ行動変容デザインデザイン思考

なぜ注目されているか

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書籍紹介

行動経済学、心理学をサービスデザインに活用!
本書は、行動経済学と心理学をもとに、人々の行動、日常習慣を変えるためのプロダクトをデザインするための書籍です。主に医療 (健康管理)、金融 (資産管理) など、これまで IT プロダクト (サービス、アプリなど) がなかなか使われてこなかった分野を対象に、ユーザーがやりたいと思っていたものの実行できなかったような行動を実現することを助けるプロダクトを作り出すための、実践的な情報を提供します。

技書の森解説

ヘルスケアや資産管理のように、ユーザー自身が「やりたいのにできない」行動を助けるプロダクトは、画面を整えるだけでは使われません。『行動を変えるデザイン』 (Stephen Wendel 著、武山政直 監訳、相島雅樹 / 反中望 / 松村草也 訳、オライリー・ジャパン発行、2020 年 6 月刊) は、行動経済学と心理学をもとに、人々の行動、日常習慣を変える "行動変容" を促すプロダクトをデザインするための書籍で、原書は Designing for Behavior Change、副題は「心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する」です。版元は、主にヘルスケア (健康管理)、金融 (資産管理) など、これまで IT プロダクト (サービス、アプリなど) がなかなか使われてこなかった分野を対象に、ユーザーがやりたいと思っていたものの実行できなかった行動の実現を助けるプロダクトを作り出すための、実践的な視点や知識を提供する本だと紹介しています。

全 6 部 16 章と付録の構成、心の働きの理解から効果測定まで

目次は BJ / フォッグによるまえがきと「はじめに」の後、6 部 16 章と付録 A〜D で構成されます。第 Ⅰ 部「心の働きと行動変容を理解する」 (第 1 章〜第 3 章) は、熟慮の心理、直感の心理から始めて、キュー (Cue)、反応 (Reaction)、評価 (Evaluation)、アビリティ (能力、Ability)、タイミング (Timing) の各ステージからなる CREATE アクションファネルを示し、チート戦略、習慣をつくる、変える、意識的な行動を助けるという行動を変えるための 3 つの戦略を整理します。第 Ⅱ 部「適切な成果、行動、アクターを見つけ出す」 (第 4 章〜第 5 章) はターゲットアウトカムを見極め、ペルソナをつくり、理想的なターゲットアクションを選択する手順で、第 Ⅲ 部「コンセプトデザインをつくる」は第 6 章「行動を構造化する」、第 7 章「環境を構築する」、第 8 章「ユーザー自身を準備する」の 3 章です。第 Ⅳ 部「インターフェースをデザインし、実装する」 (第 9 章〜第 11 章) でコンセプトからインターフェース、そしてコードへ進み、第 Ⅴ 部「プロダクトを改善する」 (第 12 章〜第 14 章) が効果の測定と行動の障害の発見、第 Ⅵ 部「実践に投入する」 (第 15 章〜第 16 章) がケーススタディ / よくある質問と結論です。その後に付録 A「日本国内における行動変容デザインの事例」、付録 B「用語集」、付録 C「さらなる学習のために」、付録 D「文献」、索引、訳者あとがきが続きます。

CREATE アクションファネルで行動経済学の知見を設計に接続する

行動を変えるプロダクトが難しいのは、ユーザーの意図と実際の行動の間に距離があるからです。行動経済学は、人が限られた注意と時間の中で、その場の手掛かりや既定の選択肢、損失への感度に左右されて判断することを積み重ねて示してきました。本書はこの知見を、ユーザーが行動に至るまでのステージに分解して扱います。キューに気づき、直感的に反応し、意識的に評価し、実行するアビリティがあり、行動すべきタイミングだと判断する、この各ステージのどこで脱落しているかを見れば、施策の打ち手が決まります。第 10 章「インターフェースデザインを見直す」では、CREATE アクションファネルでギャップを探すという手順の下に、社会的証明を利用する、損失回避を促す、認知の過負荷を避ける、選択の過負荷を避ける、なんでもデフォルトにする、といった戦術がステージ別に並び、UX の改善案を「なぜそれが効くのか」の理由と一緒に持てるようになります。「はじめに」に「行動変容と黒魔術」という節があるとおり、同じ手法は操作的にも使えるため、本書はケーススタディの章にも「どうしたら、押しつけを避けられるのか」という問いを置いています。

効果測定と実験の章が、デザイン書としての本書を際立たせる

第 Ⅴ 部は、デザインの本としては踏み込んだ測定の章です。第 12 章「効果を測定する」は、「成果と行動の指標を定義しよう」「成功と失敗の閾値を決めよう」を経て「効果を明らかにする: 実験を行う」へ進みます。いったい何人必要なのか、一度に複数のバージョンを検証する、実際にどうやってランダム化したらいいのか、といった節は A/B テスト を実務で回すときに必ず突き当たる問いで、さらにスタッガード・ロールアウト、マッチングと疑似実験、事前と事後の効果を見る、効果のクロスセクション分析とパネルデータ分析と、ランダム化が難しい場面の代替手段まで並びます。第 14 章「プロダクトを学び、改善する」には、継続的に A/B テストや多変量テストを回す、多腕バンディットを使うという節があり、行動変容デザインを一回の設計で終わらせず、測定と改善の反復に組み込む姿勢が目次に表れています。既存の開発プロセスに載せることも前提にしており、アジャイル と逐次的な開発の双方に対応する節 (「アジャイル+リーン開発」「シーケンシャル開発」) を第 9 章「コンセプトデザインからインターフェースデザインへ」に置いています。

「はじめに」には「対象読者」「本書を効果的に学ぶために知っておいたほうがいいこと」「本書が扱っていないこと」という節があり、読む前に自分との相性を確かめられる構成です。付録 B の用語集と付録 D の文献が補助になりますが、A5 判で 6 部 16 章に及ぶ分量があり、体系的に読み進める時間を確保できる人向けです。配色やコンポーネントの見本を集めたビジュアルデザインの実例集ではなく、特定のツールの操作解説でもないため、そうした即効性を求める人には向きません。逆に、ヘルスケアや金融、学習のように「ユーザーに続けてもらうこと」自体が価値になるプロダクトを担当するプロダクトマネージャー、UX デザイナー、データを見て改善を回すエンジニアには、企画 / 設計 / 測定を一本の手順でつなぐ道具として長く使える一冊です。

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