ディープラーニングと物理学 原理がわかる、応用ができる

ディープラーニングトブツリガク ゲンリガワカルオウヨウガデキル

ディープラーニングと物理学 原理がわかる、応用ができるの表紙
ネットワーク
著者:
田中 章詞 / 富谷 昭夫 / 橋本 幸士(タナカ アキノリ / トミヤ アキオ / ハシモト コウジ)
出版社:
講談社
出版日:
2019年06月22日頃
ISBN:
9784065162620
シリーズ:
KS 物理専門書
在庫:
在庫あり
4(1 件 / 楽天ブックス)
深層学習

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書籍紹介

★2024 年ノーベル物理学賞関連書籍★
ホップフィールド模型からニューラルネットへ。物理の言葉でしっかり学べる。日本唯一の好著!

人工知能技術の中枢をなす深層学習と物理学との繋がりを俯瞰する。物理学者ならではの視点で原理から応用までを説く、空前の入門書。

《目次》
第 1 章 はじめに: 機械学習と物理学

【第 I 部 物理から見るディープラーニングの原理】

第 2 章 機械学習の一般論

第 3 章 ニューラルネットワークの基礎

第 4 章 発展的なニューラルネットワーク

第 5 章 サンプリングの必要性と原理

第 6 章 教師なし深層学習

【第 II 部 物理学への応用と展開】

第 7 章 物理学における逆問題

第 8 章 相転移をディープラーニングで見いだせるか

第 9 章 力学系とニューラルネットワーク

第 10 章 スピングラスとニューラルネットワーク

第 11 章 量子多体系、テンソルネットワークとニューラルネットワーク

第 12 章 超弦理論への応用

第 13 章 おわりに

技書の森解説

統計力学で使う確率分布やエネルギーの考え方は、ニューラルネットワークの学習を説明する言葉としてそのまま使えます。『ディープラーニングと物理学』 (田中章詞、富谷昭夫、橋本幸士 著、講談社、2019 年 6 月刊) は、この対応を足がかりに、深層学習と物理学との重層的な関連を一望できる入門書として版元が案内する本です。副題は「原理がわかる、応用ができる」で、版元ドットコムでは「KS 物理専門書」のシリーズに入っています。著者 3 名は刊行時点で理化学研究所の研究員 2 名と大阪大学大学院理学研究科の教授という、物理学の研究者の組み合わせです。

全 13 章を 2 部に分けた構成、情報理論の整理から

全体は 13 章で、第 1 章「はじめに: 機械学習と物理学」と第 13 章「おわりに」のあいだを 2 部に分けています。第 1 章は情報理論ことはじめ、物理学と情報理論、機械学習と情報理論、機械学習と物理学の 4 節で、両分野が情報理論を介してつながる見取り図を先に示します。第 I 部「物理から見るディープラーニングの原理」は第 2 章から第 6 章で、機械学習の一般論 (目的、オッカムの剃刀、確率的勾配降下法)、ニューラルネットワークの基礎、畳み込みや再帰的ニューラルネットワーク、LSTM を扱う発展的なニューラルネットワーク、サンプリングの必要性と原理、教師なし深層学習と進みます。第 II 部「物理学への応用と展開」は第 7 章から第 12 章で、向きを反転させて機械学習を物理学の問題に使う側の話になります。NDL の書誌によると、文献と索引が付いています。

誤差関数を統計力学で読む、第 I 部の読みどころ

第 I 部の節題には物理の言葉がはっきり出ています。第 3 章は「誤差関数とその統計力学的理解」から始まり、「ブラケット記法による誤差逆伝播法の導出」、万能近似定理へと続きます。量子力学で使うブラケット記法で ニューラルネットワーク の逆伝播を書くという節題からは、物理学の学生が見慣れた記法で機械学習の計算を追えるよう組み立てていると読めます。背景を補うと、誤差関数をエネルギーと見なせば、パラメーターの分布はボルツマン分布の形で書け、学習は低いエネルギーの状態を探す問題として眺められます。第 5 章が中心極限定理や詳細釣り合いを満たすサンプリング法を扱い、第 6 章でボルツマンマシンと敵対的生成ネットワーク、生成モデルの汎化へ進むのは、この確率分布からの標本の取り出し方が、生成モデルの理解に欠かせないからです。章末には「イジング模型からホップフィールド模型へ」「自己学習モンテカルロ法」などのコラムが置かれ、統計力学の模型と 深層学習 の模型の系譜をたどれます。

第 II 部の応用、逆問題と相転移から超弦理論まで

第 II 部は、物理学のどの問題に機械学習を当てられるかを章ごとに示します。第 7 章は物理学における逆問題と正則化、第 8 章は「相転移をディープラーニングで見いだせるか」という問いのもとで、ニューラルネットワークを使った相転移の検出と、ネットワークが何を見ているのかを扱います。第 9 章は微分方程式やハミルトン力学系の表示と、力学系との関係です。第 10 章はホップフィールド模型とスピングラス、記憶とアトラクター、第 11 章は量子多体系の波動関数をニューラルネットで表す話とテンソルネットワークです。第 12 章は超弦理論への応用で、曲がった時空をニューラルネットワークとして捉える節や、ニューラルネットで創発する時空の節が並びます。書誌の紹介文によると、本書は 2024 年ノーベル物理学賞の関連書籍と位置づけられ、ホップフィールド模型からニューラルネットへの流れを物理の言葉で学べる本と紹介されています。第 5 章末のコラム「イジング模型からホップフィールド模型へ」と第 10 章がちょうどこの流れに当たります。

物理の素養を持つ読者に向く理由と、実装手順を探す人への注意

版元は入門書と案内していますが、節題には統計力学、量子力学、イジング模型、ハミルトン力学系、超弦理論が並ぶため、物理学の言葉に親しんでいるほど読み進めやすい構成です。物理学を学んだうえで機械学習の仕組みを自分の知っている言葉で理解したい人や、研究で相転移や逆問題に機械学習を使いたい人には、両分野を往復する見取り図として手元に置く価値があります。一方、目次には特定のフレームワークやライブラリの操作を扱う章が見当たらないため、手を動かしてモデルを組む手順を目的にする場合は実装書と組み合わせるのが現実的です。機械学習の本を選ぶ時の系統の分け方は ディープラーニング本の選び方 にまとめてあります。原理を物理の側から納得したい人にとっては、第 1 章の情報理論の整理から読み始めるだけでも、手持ちの知識が機械学習のどこに効くかが見えてくる一冊です。

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