人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるものの表紙

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの(ジンコウチノウハニンゲンヲコエルカ ディープラーニングノサキニアルモノ)

AI・機械学習
著者:
松尾 豊(マツオ ユタカ)
出版社:
KADOKAWA
出版日:
2015年03月09日頃
ISBN:
9784040800202
在庫:
在庫あり
4.12(309 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
深層学習人工知能機械学習ニューラルネットワークデータサイエンス研究AI倫理人間とAI技術トレンドコンピュータサイエンス

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書籍紹介

グーグルやフェイスブックが開発にしのぎを削る人工知能。日本トップクラスの研究者の一人である著者が、最新技術「ディープラーニング」とこれまでの知的格闘を解きほぐし、知能とは何か、人間とは何かを問い直す。

技書の森解説

『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』 (松尾豊 著、 KADOKAWA 、 2015 年 3 月刊) は、角川 EPUB 選書の 1 冊として刊行された、人工知能研究の歩みとディープラーニングの意味を一般読者に向けて解きほぐした解説書です。版元の紹介文は、グーグルやフェイスブックが開発にしのぎを削る人工知能を題材に、日本トップクラスの研究者の一人である著者が、ディープラーニングとこれまでの知的格闘を解きほぐし、知能とは何か、人間とは何かを問い直す本だと位置づけています。 B6 判の選書という一般向けの体裁で、書名の問いに答えを急ぐ本ではなく、その問いを考えるための材料を歴史と技術の両面から積み上げる本です。刊行は 2015 年 3 月で、記述はその時点までの研究状況を前提にしています。

著者 松尾豊の刊行時プロフィール、 Web マイニングから人工知能へ

刊行時のプロフィールによれば、著者の松尾豊氏は東京大学大学院工学系研究科総合研究機構/知の構造化センター/技術経営戦略学専攻の准教授で、 1997 年に東京大学工学部電子情報工学科を卒業し、 2002 年に同大学院博士課程を修了して博士 (工学) を取得、同年から産業技術総合研究所の研究員を務めました。 2005 年 10 月からスタンフォード大学客員研究員となり、 2007 年 10 月から刊行時の職にあります。 2002 年に人工知能学会論文賞、 2007 年に情報処理学会の長尾真記念特別賞を受賞し、人工知能学会編集委員長と第 1 回ウェブ学会シンポジウム代表を務め、専門は Web マイニング、人工知能、ビッグデータ分析とされています。 Web 上の大量のデータから知識を取り出す研究を土台にしてきた人工知能研究者が、 2015 年時点でディープラーニングの意味を分野全体の中に位置づけて書いた本だという理解が、読みどころを捉える助けになります。

ディープラーニングが人工知能研究の難所を越えた理由

人工知能の研究は 1956 年のダートマス会議に始まり、探索や推論でパズルや定理証明を解く時代、専門家の知識をルールとして書き込むエキスパートシステムの時代を経て、データから規則を学ぶ機械学習が中心になりました。それでも長く残った難所が、画像や音声のどこに注目すべきかという特徴量を人間が設計しなければならない点で、認識精度は設計者の経験と勘に左右されていました。ディープラーニング は、多層のニューラルネットワークにデータから特徴量そのものを学ばせる手法で、 2012 年の画像認識コンペティションで従来手法に大差をつけたことをきっかけに、この難所を越える道筋として研究者の見方を変えました。副題の「ディープラーニングの先にあるもの」という言葉は、特徴量を機械が自ら獲得できるなら、概念の形成や言葉の意味の理解、さらには知能そのものの再現にどこまで近づけるのかという射程を指しており、版元紹介が掲げる知能とは何か、人間とは何かという問いに直結します。この本を読む価値は、個々の手法の解説よりも、特徴量の獲得という一点がなぜ分野の見立てを変えたのかを、研究史の文脈で理解できることにあります。

前提知識なしで読める選書、 2015 年 3 月時点という読み方

前提知識は要りません。ライブラリの使い方や実装手順を学ぶ本ではなく、人工知能という分野の考え方の変遷を追う読み物として、選書の体裁で書かれています。そのため、モデルを実装したい人や数式で理論を追いたい人には目的が違う本で、そうした読者は原理や実装を扱う別系統の本へ進むほうが早道です。刊行は 2015 年 3 月ですから、記述はその時点までの研究状況と見通しを前提にしており、以後の技術動向を知る目的で手に取る本ではありません。むしろ、当時の第一線の研究者がどこを難所と見て、何をこれから越えるべき課題と考えていたかを知る資料として読むのが、刊行から時間が経った本書の正しい使い方です。

『人工知能は人間を超えるか』で元が取れる人、次に読む本

本書で得られるのは、人工知能という言葉の中身を研究史の流れの中で整理し、ディープラーニングがその流れのどこに位置づくかを自分の言葉で説明できるようになることです。実装本に入る前に、なぜこの手法が重要かの見取り図を持ちたいエンジニア、企画や経営の立場で人工知能の議論に参加するための語彙を短時間で押さえたい人、そして 2015 年時点の見立てと照らして自分の理解を検証したい人には、投じた時間の回収が早い一冊です。次の一冊を選ぶなら、ディープラーニング本の選び方 で原理・理論・実装・数学の系統を確かめ、機械学習・ディープラーニング本ガイド から手を動かす本へ進む道筋が自然です。人工知能の全体像を、断片的な用語ではなく歴史の筋として手に入れたい人に、本書は出発点として堅実な選択です。

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