動かして学ぶ! はじめてのテキストマイニング

ウゴカシテマナブハジメテノテキストマイニング

フリー・ソフトウェアを用いた自由記述の計量テキスト分析

動かして学ぶ! はじめてのテキストマイニングの表紙
デザイン / グラフィックス
著者:
樋口 耕一 / 中村 康則 / 周 景龍(ヒグチ コウイチ / ナカムラ ヤスノリ / シュウ ケイリュウ)
出版社:
ナカニシヤ出版
出版日:
2022年03月15日頃
ISBN:
9784779516399
シリーズ:
KH Coder オフィシャルブック
在庫:
在庫あり
4.5(3 件 / 楽天ブックス)
初級者向け
データ分析統計テキストマイニング社会調査データサイエンス自然言語処理KH Coderフリーソフトウェア定量分析研究手法

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書籍紹介

ネット上のクチコミ, SNS での評判, 自由回答のアンケート…どのように分析しますか?

学術論文や企業などで幅広く使われている定評あるフリーソフト「KH Coder」を使ったテキストマイニングを, 開発者自らがやさしく解説。事例を手順を追って解説することで, 誰でもテキスト分析ができるようになるやさしい入門書。

本書では, フリー・ソフトウェア KH Coder を使ってテキストマイニングを行なう手順を, はじめての人にもわかりやすく, それでいて使いこなすためのポイントも含めてご紹介します。テキストマイニングとは, クチコミのようなテキスト (文章) について個人の感想や印象で語るのではなく, 統計を使って正確かつ客観的に分析する方法です。(「まえがき」より)

●著者紹介

樋口 耕一 (ひぐち こういち)
立命館大学産業社会学部教授。

大阪大学大学院人間科学研究科 博士後期課程修了, 博士 (人間科学)。

社会調査法研究の一環として KH Coder を開発・公開。著書に『ネット社会と民主主義』 (有斐閣, 2021 年, 共著),『いまを生きるための社会学』 (丸善出版, 2021 年, 共編著),『社会調査のための計量テキスト分析 第 2 版』 (ナカニシヤ出版, 2020 年) など。

中村 康則 (なかむら やすのり)
(株) SCREEN アドバンストシステムソリューションズ 執行役員。

早稲田大学大学院人間科学研究科 博士後期課程修了, 博士 (人間科学)。

専門は, 成人教育 (大人の学び),心理学を基礎としたインストラクショナル・デザイン (教えることのデザイン)。「KH Coder を用いた計量テキスト分析実践セミナー」講師を務める。主な所属学会は, 日本教育工学会, 日本教育心理学会, 日本行動計量学会, コンピューター利用教育学会。

ホームページ: https: / / researchmap.jp/yasunori.nakamura

周 景龍 (しゅう けいりゅう)
(株) SCREEN アドバンストシステムソリューションズ 第二開発部 副参事。

同志社大学大学院工学研究科 修士課程修了, 修士 (知識工学)。

入社後, 主に産業機器の稼働データ分析に関するシステム開発に従事。現在,「KH Coder サポートパッケージ」オペレーション責任者, KH Coder 用プラグイン「文錦 R シリーズ」開発リーダー,「KH Coder を用いた計量テキスト分析実践セミナー」講師を務める。

ホームページ: https: / / www.screen.co.jp/as/solution/idea

技書の森解説

『動かして学ぶ! はじめてのテキストマイニング』 (樋口耕一 / 中村康則 / 周景龍 著、ナカニシヤ出版、2022 年 3 月刊) は、副題「フリー・ソフトウェアを用いた自由記述の計量テキスト分析」が示すとおり、フリーソフトの KH Coder を使ってテキストマイニングを行う手順を、はじめての人向けに解説する入門書です。KH Coder オフィシャルブックのシリーズに属し、著者の一人である樋口耕一は版元の著者紹介によれば立命館大学産業社会学部教授で、社会調査法研究の一環として KH Coder を開発 / 公開してきた人物です。版元はこの点を「開発者自らがやさしく解説」と表現しています。まえがきからの引用として掲げられる定義では、テキストマイニングとは、クチコミのようなテキストについて個人の感想や印象で語るのではなく、統計を使って正確かつ客観的に分析する方法だと位置づけられています。

全 14 章と 2 部構成、仮想クチコミデータで進む第 1 部

構成は全 14 章で、第 1 部「入門テキストマイニング」 (第 1 章から第 11 章) と、入門を超える内容を扱う第 2 部 (第 12 章から第 14 章) の 2 部に分かれます。第 1 部は仮想クチコミデータを題材に、第 1 章のプロローグで分析のねらいを絞り、第 2 章で計量テキスト分析の利点と KH Coder の開発と公開、3 つの機能を押さえた後、第 3 章でコピー & ペーストによる分析用ファイルの準備、KH Coder の起動、プロジェクトの作成、前処理、共起ネットワークによる概観という一連の操作を通します。第 4 章は「あの言葉がない!」というときの対処として強制抽出、頻出語や未知語のチェック、複合語の検出を扱い、第 5 章と第 8 章が共起ネットワーク (その 1 とその 2)、第 6 章が外部変数を使うための Excel でのデータ準備、第 7 章が対応分析、第 9 章がコーディングルール作成、第 10 章がクロス集計とバブルプロットに当たります。第 2 部では、第 12 章でアンケート自由記述 / インタビュー逐語録 / レポート / 作業記録 / 特許文書 / 新聞記事といったデータの準備、第 13 章で対応分析によるプロットのしくみと結果の読みとり方、第 14 章でよくある質問 Q1 から Q19 (必要なテキスト量、セキュリティ、表記ゆれのまとめ方、Jaccard 係数、文献リストへの記載方法など) を扱います。第 1 章から第 10 章の末尾には「この章で分かったこと」の節が置かれ、章に対応する Tips (形態素解析とは、集計単位とは、最小スパニング・ツリーなど) の一覧、文献、索引が付きます。

計量テキスト分析の考え方、共起ネットワークと対応分析が答える問い

自由記述やクチコミのようなテキストは、目で読んで要約すると読み手の印象に左右され、別の人が同じ結論に達するとは限りません。計量テキスト分析は、語の出現を数えて 統計学 の手法で扱うことで、データの探索と結果の信頼性の向上を両立させようとする考え方で、第 2 章の「もし目で読むだけだと」から始まる節の並びがこの動機を説明しています。日本語のテキストは単語の区切りが明示されないため、まず形態素解析で語に分割する前処理が必要になり、辞書に無い語や複合語が意図どおりに切り出されない問題が起こります。第 4 章の強制抽出はこの問題への実務的な対処です。共起ネットワークは、同じ文書の中で一緒に現れやすい語どうしを線で結んだ図で、データ全体にどんな話題があるかを俯瞰するのに向き、共起の強さの尺度である Jaccard 係数については第 14 章の質問で扱われます。対応分析は、性別や年齢層といった外部変数の値ごとに特徴的な語をプロット上の位置関係で比較する手法で、第 13 章がその計算のしくみを 2 カテゴリー / 3 カテゴリー / 4 カテゴリー以上の順に解きほぐします。コーディングルールは、複数の語をまとめて一つのコンセプトとして定義する仕組みで、クロス集計と組み合わせることで、探索で見つけた話題を外部変数と突き合わせて確かめられます。目次の順序は、探索的な手法で全体を眺めた後にコンセプトを定義して集計する流れになっており、自然言語処理 の理論よりも、社会調査の データ分析 としてテキストを扱う手順に重心があります。

前提知識は「はじめての人」向け、開発者とサポート担当者による解説

前提知識について、まえがきの引用は「はじめての人にもわかりやすく, それでいて使いこなすためのポイントも含めて」と述べており、統計やプログラミングの専門知識を前提としない書き方と読めます。データの準備は Excel やコピー & ペーストで行い、分析は KH Coder のメニュー操作で進みます。共著者の中村康則と周景龍は版元の著者紹介によれば SCREEN アドバンストシステムソリューションズに所属し、KH Coder を用いた計量テキスト分析実践セミナーの講師や KH Coder サポートパッケージのオペレーション責任者、KH Coder 用プラグインの開発リーダーを務めており、利用者からの疑問に答える立場にあります。第 14 章「よくある質問」の 19 問は、その立場を反映した章と読めます。KH Coder の対応バージョンは版元ページに記載がなく、本書の画面と手順は 2022 年 3 月の刊行時点のものとして読む必要があります。一方で、Python や R で自分のコードを書いて前処理や分析を組みたい人、機械学習による言語モデルの解説を求める人には向きません。目次に見るかぎり、本書はプログラミングを伴わない手順書として一貫しています。

アンケートの自由記述やクチコミのデータを抱え、目で読んで要約する以上の根拠を報告書や論文に示したい人には、仮想データで一連の手順を通してから自分のデータに置き換えられる本書の構成が向いています。同じ樋口の著書として版元の著者紹介に挙がる『社会調査のための計量テキスト分析 第 2 版』 (ナカニシヤ出版、2020 年) に対して、本書は KH Coder の操作手順を追う入り口に位置づけられる一冊で、KH Coder を初めて起動する人が最初に手元に置く本として投じた時間を早く回収できます。

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