すごいHaskellたのしく学ぼう!の表紙

すごい Haskell たのしく学ぼう!(スゴイハスケルタノシクマナボウ)

プログラミング
著者:
Miran Lipovaca/田中 英行/村主 崇行(ミラン リポヴァチャ/タナカ ヒデユキ/ムラヌシ タカユキ)
出版社:
オーム社
出版日:
2012年05月25日頃
ISBN:
9784274068850
在庫:
在庫あり
4.73(12 件 / 楽天ブックス)
初級者向け
Haskellプログラミング言語関数型プログラミング入門書型システム遅延評価モナド教育用イラスト付き学習ガイド

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書籍紹介

Haskell の達人たちが推薦する楽しい入門書
丁寧な解説とポップな例題で本物の Haskell プログラミングを習得できる入門書。

原書の"Learn You a Haskell for Great Good!"は、型、遅延評価、モナドといった難しい概念にも自然に慣れていけるよう工夫された構成、他の言語経験者への配慮に加え、原著者による楽しいイラストによって、もっとも分かりやすい Haskell 本として、高く評価されています。

技書の森解説

Haskell 入門書の定番として長く読まれ、日本の技術コミュニティで「すごい H 本」の通称を持つのが『すごい Haskell たのしく学ぼう!』 (Miran Lipova č a 著、田中英行・村主崇行 訳、オーム社、 2012 年 5 月刊) です。原著は "Learn You a Haskell for Great Good!" で、型・遅延評価・モナドという Haskell 特有の難所へ自然に慣れていけるよう工夫された構成と、原著者自身によるポップなイラスト、ユーモアを織り込んだ語り口で、分かりやすい Haskell 本として高い評価を得てきました。関数型プログラミングを一度きちんと学びたい他言語経験者が、最初の一冊として手に取る位置づけの本です。

純粋関数型という発想の違い

Haskell は 純粋関数型言語 と呼ばれ、変数の再代入やその場での副作用という手続き型の常識が通用しません。関数は同じ入力に必ず同じ出力を返し、画面出力やファイル入出力のような副作用は IO という型で明示的に区別されます。さらに遅延評価 (必要になるまで式を計算しない) や強力な型推論など、主流の言語と発想の違う仕組みが揃っており、この「常識が通じない」ことこそが学ぶ価値の源泉です。制約の強い環境で設計を考え直す経験は、普段使う言語での副作用の扱いや型設計への視点を確実に変えます。

型クラスからモナドへ登る構成が読みどころ

本書の学習曲線の核心は、型クラスという抽象化の仕組みを土台に、ファンクター、アプリカティブファンクター、モノイド、そしてモナドへと段階的に登っていく道筋にあります。モナドは Haskell 学習の最大の壁として有名で、世に「モナドはブリトーのようなもの」式の比喩あふれる解説が量産されてきましたが、本書は比喩への逃げ場を作らず、その手前の章で型クラスとファンクターの感覚を丁寧に育ててから、コード例の積み上げでモナドに到達させる構成を取ります。初読で詰まっても前の章に戻って 再読 すると進める、と語られることが多いのはこの積み上げ構造ゆえです。プログラミング自体の初心者向けではなく、何らかの言語を書ける読者を想定した本である点は先に押さえておきましょう。

2012 年刊ならではの注意点

一方で、 2012 年刊という時点は正直に位置づける必要があります。言語の核 (純粋性・型クラス・モナド) の説明は古びていませんが、開発環境やエコシステムの記述は当時の GHC とツール事情が前提です。刊行後の Haskell では、 2015 年に Applicative が Monad の前提となる言語仕様の変更があったため、自作モナドを定義する種類のコード例は現行の GHC ではそのままコンパイルが通らない場合があり、ビルドツールも Stack や GHCup といった本書刊行後に普及したものが主流になりました。写経中にエラーが出たら「本が間違っている」のではなく仕様変更を疑う、という心構えと多少の検索を許容できるなら、学習価値は 2026 年 8 月時点でも損なわれていません。

向いている読者・向かない読者

Haskell の求人に直結する実務スキルを最短で得たい人や、動くアプリケーションを早く作る体験を求める人には、本書は遠回りに感じられるはずです。逆に、 TypeScriptRustScala で map ・ flatMap ・ Option ・ Result といった道具を使ううちに、その背後にある考え方を本家で理解したくなった人には、これほど条件の合う本はあまりありません。 async/await やエラー処理の型表現など、主流言語に輸入され続けている概念の源流がモナドの周辺にあり、本書を読み終えると、それらを「使えるが説明できない道具」から「原理ごと説明できる道具」に変えられます。日本語でこの原著を通読できるのは本書だけであり、関数型の思考法を一生ものの資産として身につけたい他言語経験者にとって、投資に見合う一冊です。

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