推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来

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推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来の表紙
その他
著者:
中山 淳雄(ナカヤマアツオ)
出版社:
日経 BP
出版日:
2021年10月15日頃
ISBN:
9784296000357
在庫:
在庫あり
3.84(26 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
エンタメ経済オタク経済圏コンテンツ戦略デジタルマーケティングゲーム産業アニメ産業バトルロワイヤルゲームファンユザー行動メディアリテラシー産業変革

なぜ注目されているか

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書籍紹介

「すべてのエンタメプロデューサーが、今を知るためにまずは読むべき、唯一の教科書」
ーー佐渡島庸平氏

「メガヒットのルールが変わった。新しいリテラシーを得た者が、地殻変動後の覇権を握る」
ーー尾原和啓氏

鬼滅、ウマ娘、Fortnite、荒野行動、半沢…
ゲーム、アニメ、動画の経済圏を支配するのは、

世界が絶賛する日本の「オタク経済圏」か、

攻勢を強める米中の「ハリウッド経済圏」か?

◎目次
第 1 章 メガヒットの裏側で進む地殻変動

『鬼滅』が「日本の時代錯誤」に突きつけた刃

フォートナイトが見せつけたゲーム空間によるエンタメ市場の侵食

半沢「劇場」が見せたテレビ業界の未来

オンラインキャバクラが物語るライブエンタメの「むき出しの価値」

産業カテゴリーの大変革

第 2 章 「萌え」から「推し」へ、ファンの変化からみる「風の時代」
しがらみなく夢中になれる共体験がエンタメになる

タムパ重視で動くユーザーにとっての価値最大化

なぜ必死になってコンテンツを見るのか?

なぜバトルロワイヤルゲームだけが流行るのか?

『ウマ娘』ブーム大爆発が物語る美少女キャラの新ステージ

受信リテラシーから発信リテラシーへ

コナンとシンエヴァ、100 億円を創り出す物語

第 3 章 エンタメの地政学
米中エンタメ覇権競争と日本唯一の挑戦者ソニー

宮崎駿の新作なしで成長するジブリを支える中国の驚異

ハリウッド経済圏とオタク経済圏

戦いの終着点

第 4 章 推しエコノミーの確立へ
キャラクターと貨幣の類似性

世界観の欧米と、キャラクターの日本

日本のエンタメは誰が救うのか?

「推す」は希少な時間資源の投下によって行われる。基本的には、未来永劫それが続く前提で、有限な時間資源を投じていきたい。『推しが武道館いってくれたら死ぬ』というアニメもあるが、実は推しが武道館にいくことを避けたいと思うファン心理も同時に存在する。(中略) 安パイなコンテンツを求める人が増えると、新奇なものが展開されづらくなる。ある程度ブランドがあり、約束されたコンテンツに人々は群がるようになる。大ヒットがさらに大ヒットするという現象は今後さらに強くなるだろう。(中略) 浮動ユーザーを味方につけるためにファンが必要であり、インフルエンサーが必要になる。「このコンテンツは安パイだよ。時間を費やしても、その体験は無駄にはならないよ」という信号をブランドとして送る必要がある。(第 2 章より)

技書の森解説

『推しエコノミー 「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』 (中山淳雄 著、日経 BP、2021 年 10 月刊) は、ゲーム、アニメ、動画の経済圏で起きている変化を、ファンの推しという行動と、日本の「オタク経済圏」と米中の「ハリウッド経済圏」の競争という 2 つの軸から読み解くエンタメ産業論です。版元の紹介文は鬼滅、ウマ娘、Fortnite、荒野行動、半沢を例に挙げ、これらの経済圏を支配するのはどちらなのかと問いかけています。ヒット作の裏で産業の構造がどう組み替わっているのかを、事例を手がかりに整理したい人に向いた一冊です。

全 4 章の構成、メガヒットの地殻変動から推しエコノミーの確立へ

目次は全 4 章です。第 1 章「メガヒットの裏側で進む地殻変動」は、「『鬼滅』が「日本の時代錯誤」に突きつけた刃」の節に始まり、フォートナイト、半沢「劇場」、オンラインキャバクラを取り上げる節を経て、「産業カテゴリーの大変革」で閉じます。第 2 章は「萌え」から「推し」へという題のとおりファンの側の変化に目を向け、節題には「タムパ重視で動くユーザーにとっての価値最大化」や「なぜバトルロワイヤルゲームだけが流行るのか?」が並びます。第 3 章「エンタメの地政学」は「米中エンタメ覇権競争と日本唯一の挑戦者ソニー」や「ハリウッド経済圏とオタク経済圏」を論じます。第 4 章「推しエコノミーの確立へ」は「キャラクターと貨幣の類似性」と「世界観の欧米と、キャラクターの日本」を経て、「日本のエンタメは誰が救うのか?」という節で締めくくられます。

推しを時間資源の投下として見る第 2 章の視点

版元が第 2 章から引く一節は、「推す」は希少な時間資源の投下によって行われるという見方を示しています。ファンは有限な時間を投じる先として安心できるコンテンツを選びがちで、その結果、ある程度ブランドがあり約束されたコンテンツに人々が群がり、大ヒットがさらに大ヒットする現象が強まるという論です。浮動ユーザーを味方につけるためにファンやインフルエンサーが必要になり、時間を費やしても無駄にならないという信号をブランドとして送る必要がある、と抜粋は続きます。お金よりも時間の奪い合いとしてエンタメを捉えると、ゲームとアニメと動画が同じ時間を取り合う相手として並ぶことになります。

ゲーム空間が市場を広げる仕組みを技術の側から読む

第 1 章には「フォートナイトが見せつけたゲーム空間によるエンタメ市場の侵食」という節があります。オンラインのゲームは、遊ぶための場であると同時に、多数の利用者が同じ時間に同じ空間へ集まる場でもあります。運営側がサーバー上の空間に新しい催しや期間限定の要素を足していけば、遊び以外の体験もその場で提供できるため、ライブや映像の公開といった他のエンタメの役割を取り込む余地が生まれます。ゲーム開発 の現場では、配信の後も内容を更新し続ける運営型の作り方が広がっており、利用者の時間を継続して集めることが収益の源泉になります。推薦や順位づけによって目に入る作品が偏り、すでに多くの人が見ている作品ほどさらに人を集める仕組みは、配信サービスやゲームの運営に関わるエンジニアにとって身近な話題であり、本書が描く大ヒットの集中を技術の側から考える手がかりになります。

エンタメ産業論を IT の側から読む人へ

本書は産業と市場の構造を論じるビジネス書で、データ分析の手法やシステムの作り方を学ぶ本ではありません。刊行は 2021 年 10 月で、取り上げる事例は刊行時点までの作品と市場の動きなので、その後の変化は時点を踏まえて読み足す必要があります。版元の紹介文には佐渡島庸平氏による「すべてのエンタメプロデューサーが、今を知るためにまずは読むべき、唯一の教科書」という推薦文が掲げられ、刊行後には日本経済新聞と東京新聞 / 中日新聞の朝刊に書評が掲載されました。

コンテンツの企画やプロデュースに関わる人はもちろん、配信サービスやゲームの運営、課金や会員の仕組みといった IT の側からエンタメに関わるエンジニアにとって、本書は自分の作るシステムがファンの時間をめぐるどんな競争の舞台になっているのかを知る材料になります。ヒット作を個別の偶然ではなく産業の構造の変化として捉え直したい人に向く一冊です。

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