ゲームで学ぶ探索アルゴリズム実践入門〜木探索とメタヒューリスティクスの表紙

ゲームで学ぶ探索アルゴリズム実践入門〜木探索とメタヒューリスティクス(ゲームデマナブタンサクアルゴリズムジッセンニュウモン キタンサクトメタヒューリスティクス)

ハードウェア
著者:
青木 栄太(アオキ エイタ)
出版社:
技術評論社
出版日:
2023年02月18日
ISBN:
9784297133603
在庫:
在庫あり
0
中級者向け
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書籍紹介

ゲーム AI の技術要素には大きく分けて「ルール」「探索」「機械学習」の 3 つがあります。近年話題になることの多い機械学習ですが、機械学習だけでは遠い将来の状況を正確に読むことは難しく、特に探索がなければ真に強い AI は生まれません。また、ゲーム AI の技術を競う各種コンテストなどでは使用できるメモリ量やファイルの容量に制限が課され、機械学習を利用することが現実的ではないケースもあります。これは実務においても同様で、与えられた要件によっては今も探索技術が主要素となり得ます。本書は、この探索技術とそれを支えるアルゴリズムにフォーカスを当て、ゲーム AI を題材にその重要性と魅力を楽しく学ぶための入門書です。さまざまなゲームの種別に対応した探索アルゴリズムについて、動作のしくみと実装方法を丁寧に解説します。

技書の森解説

『ゲームで学ぶ探索アルゴリズム実践入門 ~木探索とメタヒューリスティクス』は、青木栄太が 2023 年 2 月に技術評論社から刊行した、ゲーム AI を題材とする探索アルゴリズムの入門書です (B5 変形・ 280 ページ) 。著者は 2019 年から HEROZ 株式会社でゲーム AI 開発に従事し、ハンドルネーム「 thunder 」で知られる開発者で、国際学会 IEEE Conference on Games のゲーム AI コンペティションで 7 回優勝、うち Fighting Game AI Competition では四連覇という実績が版元プロフィールに記載されています。 Qiita で公開されたゲーム木探索入門の記事が本書の前身です。

探索を主役に据える問題意識

本書の問題意識は明快です。ゲーム AI の技術要素は「ルール」「探索」「機械学習」の 3 つに大別され、機械学習に注目が集まりがちな一方で、先の局面を正確に読むには探索が不可欠であり、コンテストや実務のようにメモリやファイル容量へ制限が課される場面では探索技術こそが主役になり得る、という立場です (版元概要) 。抽象論に終始しがちな探索の教科書と違い、「数字集め迷路」というシンプルな自作ゲームの変種を各章の題材に据え、動くコードで確かめながら進む構成をとっています。

ゲームの種類でアルゴリズムを選ぶ構成

構成の軸は「ゲームの種類でアルゴリズムを選ぶ」という整理です。手順の文脈がある一人ゲームには貪欲法・ビームサーチ・ Chokudai サーチ (第 3 章) 、文脈のない一人ゲーム、つまり解の形を直接探す問題には山登り法・焼きなまし法 (第 4 章) 、交互着手の二人ゲームには MiniMax 法・ AlphaBeta 法・反復深化・原始モンテカルロ法・ MCTS (モンテカルロ木探索) ・著者のハンドルネームを冠した Thunder サーチ (第 5 章) 、同時着手の二人ゲームには DUCT (第 6 章) と、問題の性質と手法の対応が章立てそのものになっています。終盤は評価関数の設計・多様性の確保・高速化という実戦テクニック (第 7 章) を経て、コネクトフォーをプレイする AI の実装 (第 8 章) で締めます。開発環境は WSL を使い、第 2 章で構築手順から説明されます。

MCTS やビームサーチの技術背景

技術背景を補うと、 MiniMax 法や AlphaBeta 法は二人零和ゲームの古典ですが、盤面評価が難しいゲームでこれを補う形で 2000 年代に登場した MCTS は、囲碁 AI の躍進を支えた木探索の中核手法です。一方、ビームサーチや焼きなまし法は、厳密解が現実的な時間で求められない組合せ最適化に近似解で挑むための定番で、AtCoder のヒューリスティック型コンテストのような「制限時間内でどれだけ良い解を出すか」を競う場では基本装備になります。古典から、 Chokudai サーチのような競技コミュニティ発の手法までを一続きの体系として実装込みで学べる構成は、この分野の和書では貴重です。

向いている読者と学習の推進力

版元の想定読者は、アルゴリズムやゲーム AI の仕組みに興味がある人、機械学習以外の視点から AI を見つめ直したい人、コンテストで競う地力をつけたい人、対戦ゲームの CPU プレイヤーの作り方を知りたい個人開発者です。計算量理論や証明を積み上げる教科書 ではないので、理論的な厳密さを求める人には別の専門書が向きます。逆に、探索を「手を動かして体で覚えたい」人にとっては、ゲームという題材の楽しさがそのまま学習の推進力になる一冊で、ヒューリスティックコンテスト参戦や自作ゲームの AI 実装という具体的な目標がある人ほど投資が回収しやすい内容です。

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