人工知能

ジンコウチノウ

機械といかに向き合うか

人工知能の表紙
AI / 機械学習
著者:
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部(ダイヤモンドハーバード・ビジネス・レビューヘン)
出版社:
ダイヤモンド社
出版日:
2016年09月30日頃
ISBN:
9784478100905
在庫:
在庫あり
3.5(10 件 / 楽天ブックス)
上級者向け
人工知能論文研究最先先端技術学術研究ビジネス応用機械学習ディープラーニングデータサイエンス専門書知識統合

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言及数
28位
総合230位 ↑ 45 ランクアップ 言及 70 件・うち記事 56 件を掲載
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書籍紹介

AI の権威による 8 本の論文を掲載! 世界と日本の知を結集した最先端の論文集。『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』で売り切れの人気特集「人工知能」に関連論文 2 本を加えた決定版。

技書の森解説

『人工知能 機械といかに向き合うか』 (DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 編訳、ダイヤモンド社、2016 年 9 月刊) は、IT 技術書ではなく、経営誌『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』の特集「人工知能」に関連論文 2 本を加えて書籍化した、経営者とマネジャー向けの論文集です。シリーズ名に Harvard Business Review を冠する書籍群の一冊で、全 8 章のうち 7 章が論文、第 8 章がインタビューという構成をとり、機械学習のアルゴリズムや実装は扱いません。それでも本サイトで取り上げるのは、2016 年時点で経営層がどのような言葉で 人工知能 を事業の問題として捉えていたかを、トーマス・H・ダベンポート、安宅和人、松尾豊、エリック・ブリニョルフソンといった書き手の論考で読める資料であり、技術を経営側へ説明する立場のエンジニアにとって相手側の語彙を知る近道になるからです。

全 8 章の構成、オーグメンテーション論から第二の機械時代まで

第 1 章はダベンポートとジュリア・カービーによるオーグメンテーション論で、自動化で仕事は奪われるのかという問いに対し、人と機械が互いを補い合う道筋を検討すべき 5 つのアプローチとして整理します。第 2 章では安宅和人 (刊行時はヤフーのチーフストラテジーオフィサー) が、歴史的変曲点をもたらす 3 つの変化、AI が代替する業務、AI と人間の棲み分け、AI が事業に与える 5 つの影響を論じます。第 3 章のステファン・トムクとジム・マンジィはビジネスの仮説を実験で高速に検証する組織の作り方を扱い、第 4 章の松尾豊 (刊行時は東京大学大学院准教授) が三度目のブームを迎えた人工知能と、機械がみずから特徴量をつくり出すディープラーニングの技術発展を読み解いて日本のモノづくりの復権を論じます。第 5 章はボストン コンサルティング グループのマーティン・リーブスらによるアリババの戦略とアルゴリズムの関係、第 6 章は人がアルゴリズムやロボットをいつ信頼し、いつ信頼しないかを扱う論考、第 7 章はデイビッド・A・ガービンが、マネジャーに価値はあるのかという問いから 8 つの行動リストへ至ったグーグルのデータによる組織変革を描きます。締めの第 8 章はブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィーへのインタビューで、第二の機械時代の転換点における勝者と敗者、企業の対応を語ります。

2016 年という時点、ディープラーニングが経営の議題になった理由

本書が編まれた 2016 年は、画像認識で ディープラーニング が従来手法を大きく上回る精度を示してから数年が経ち、囲碁で人工知能がトップ棋士に勝利したことが広く報じられた年でもあります。それ以前の機械学習では、データのどこに注目するかという特徴量の設計を人が担っていましたが、多層のニューラルネットワークが特徴量そのものを学習するようになったことで、人が言語化できない判断を機械に任せられる範囲が急に広がりました。松尾論文が三度目のブームと呼び、機械がみずから特徴量をつくり出す時代と位置づけるのはこの転換です。同時に、経営の議題になった理由は精度の向上だけではありません。予測や判別が安価になると、それを前提に業務や事業をどう組み替えるかが問題になり、ダベンポートのオーグメンテーション論も、安宅論文の代替される業務と棲み分けの議論も、トムクの実験文化の話も、この組み替えを扱っています。技術者が本書から得られるのは、自分が実装しているモデルが経営側ではどの問いに接続されているのかという地図です。

経営誌の論文集をエンジニアが読む意味と、向かない読み方

本書には数式もコードも、特定のフレームワークの解説もありません。機械学習を学ぶ目的なら、機械学習やディープラーニングの技術書の選び方 で扱うような技術書を選ぶべきで、本書はその代わりにはなりません。向いているのは、AI 導入の企画を経営層に説明する立場になったエンジニア、データ分析やモデル開発の成果が事業でどう評価されるのかを知りたい人、そして技術の話を 非エンジニアの上司に伝える 際に相手が読んでいる文脈を押さえたい人です。収録論文はいずれも 2016 年以前の事例と見通しに基づいているため、刊行から時間が経ってから読む場合は、当時の見立てのどこが的を射ていたかを検証する読み方ができます。一方、社内導入の手順書や特定のツールの比較を求める人には、経営論として書かれた収録論文の抽象度は高く、期待とは違う本になります。

機械学習の実装を担う人が、投資判断をする側の思考の枠組みを短い分量で俯瞰できる資料として、本書には固有の価値があります。安宅論文と松尾論文は日本の事業環境を前提に書かれているため、海外論文の翻訳だけでは埋まらない距離も縮めてくれます。会議で人工知能への投資や人の配置を議論する場に技術側として座る人にとって、相手の前提を短時間で共有するための実用的な一冊です。

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