デジタル・フォレンジックの基礎と実践
デジタルフォレンジックノキソトジッセン
- 著者:
- 佐々木 良一 / 上原 哲太郎 / 櫻庭 信之 / 白濱 直哉 / 野崎 周作 / 八槇 博史(ササキ リョウイチ / ウエハラ テツタロウ / サクラバ ノブユキ / シラハマ ナオヤ / ノザキ シュウヘイ / ヤマキ ヒロシ)
- 出版社:
- 東京電機大学出版局
- 出版日:
- 2017年03月10日頃
- ISBN:
- 9784501555603
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
デジタル・フォレンジックとは、事件や事故発生時に、捜査や裁判の証拠などに用いられる電磁的記録データを解析する技術やその手法をいう。本書はデジタル・フォレンジックに携わる情報処理技術者や警察・検察、金融関係者、弁護士向けにまとめられた実践に役立つ教科書。どのような技術なのか、といった基礎的事項から、実際に用いる簡単なツールの使い方や OS およびファイルシステムの解説、さらには法律や法廷対話といった実践的・応用的事項までを記載し、包括的に学べるようにまとめた。
技書の森解説
不正アクセスや情報漏洩、社内不正が起きたあとに、コンピューターやスマートフォンに残った記録を証拠として扱える形で集め、解析する技術がデジタル・フォレンジックです。『デジタル・フォレンジックの基礎と実践』 (佐々木 良一 編著、上原 哲太郎、櫻庭 信之、白濱 直哉、野﨑 周作、八槇 博史、山本 清子 著、東京電機大学出版局、2017 年 3 月刊) は、この分野の基礎的事項から、簡単なツールの使い方、OS とファイルシステムの解説、さらに法律や法廷対話までを一冊で学べるようにまとめた教科書です。版元は対象を、デジタル・フォレンジックに携わる情報処理技術者や警察 / 検察、金融関係者、弁護士と案内しています。
全 11 章の構成、入門から歴史と今後の展開まで
本書は第 1 章「デジタル・フォレンジック入門」から第 11 章「デジタル・フォレンジックの歴史と今後の展開」までの全 11 章に、ミニテストと解答、索引が続きます。第 1 章で手順の分類や必要となる技術の概要、民事訴訟法と刑事訴訟法における証拠としての有効性を見渡したあと、第 2 章でハードディスクの構造とファイルシステム、第 3 章でフォレンジックのための OS の基礎を固めます。中心となるのは「フォレンジック作業の実際」と題した 3 つの章で、第 4 章がデータの収集、第 5 章がデータの復元、第 6 章がデータの分析を受け持ちます。第 6 章では Windows レジストリやタイムライン分析、メールやインターネットアクセス履歴の調査に加えて、「データ解析ソフトウェア (Autopsy) の使用方法」の節が置かれています。
証拠の完全性を守る手順と Chain of Custody
フォレンジックで難しいのは、データを読み出す技術そのものよりも、読み出した結果が後から疑われない状態を保つことです。調査のために電源を入れたりファイルを開いたりするだけで、最終アクセス日時やログは書き換わります。そこで原本には触れずに複製を取り、複製の ハッシュ値 を記録して改変されていないことを示し、誰がいつ証拠を扱ったかを途切れなく記録する、という手順が技術と同じ重さで求められます。本書の第 4 章にも「Evidence Information と Chain of Custody」の節があり、メモリなどの揮発性情報やモバイル端末、外部記録媒体の収集も同じ章で扱われます。揮発性の高いものから先に取るという順序の判断も、電源を落とすと消える情報がある以上、現場での初動を左右します。
スマートフォンとネットワーク、訴訟へ広がる調査対象
第 7 章はスマートフォンなどのフォレンジックで、iOS 端末と Android 端末それぞれのデータ収集方法やアプリのデータ構造、PLIST と SQLite の解析を扱います。第 8 章のネットワーク・フォレンジックでは、端末の中ではなく通信の側に残る痕跡が対象になり、ネットワークログの収集ポイントと取得 / 管理の在り方、パケットキャプチャ、標的型攻撃と SIEM が取り上げられます。インシデントの後で調べられるのは事前に残しておいた記録だけなので、この章は調査担当者だけでなく、平時の ロギング の設計を担う人にも関わる内容です。第 9 章は民間の調査事例や省庁の犯則事件調査、「訴訟に対応するための e ディスカバリにおける事例」へ進み、第 10 章では営業秘密の不正取得を題材に、裁判の仕組みや証拠調べ、民事訴訟法の証拠保全、証人尋問の実際までを解説しています。
技術の章と法律の章、2017 年 3 月の刊行時点
技術の章と法律の章を同じ一冊に収めています。情報処理技術者にとっては第 10 章の訴訟手続きの用語が新しく、弁護士や捜査の担当者にとっては第 2 章と第 3 章の記憶装置や OS の説明が新しい部分になります。一方で本書は 2017 年 3 月の刊行で、OS や端末、ツールの具体的な画面は当時の環境を前提としています。第 11 章では SSD の普及とフォレンジックの関係が論じられています。
本書は、証拠の収集から法廷での扱いまでの流れを一冊に収め、巻末にミニテストと解答を置いています。ほかのセキュリティ分野の本の選び方は セキュリティ技術書の選び方 で整理しています。
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