ハッカーと画家

ハッカー ト ガカ

コンピュータ時代の創造者たち

ハッカーと画家の表紙
エンジニアのキャリア / 思考
著者:
ポール・グレアム / 川合史朗(グレアム, ポール / カワイ, シロウ)
出版社:
オーム社
出版日:
2005年01月
ISBN:
9784274065972
在庫:
在庫あり
4.15(125 件 / 楽天ブックス)
中級者向け
LISPハッカー文化ソフトウェア開発起業クリエイティブ思考ビジネス戦略アイデア発想技術とビジネスの融合個人的な成功物語ソフトウェアエンジニアリング

なぜ注目されているか

言及数
43位
総合130位 ↓ 9 ランクダウン 言及 59 件・うち記事 44 件を掲載
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書籍紹介

普通のやつらの上を行け。天才 LISP ハッカーにして、ソフトウェアベンチャーを成功させた筆者が、ものつくりのセンス、成功するビジネスの秘密、発想を刺激するアイディアを語る。

技書の森解説

プログラミングの技法ではなく、ソフトウェアを作る人がどう考え、何を大切にすべきかを論じたエッセイ集です。『ハッカーと画家』 (Paul Graham 著、川合 史朗 監訳、オーム社、2005 年 1 月発売) は、副題をコンピューター時代の創造者たちとし、原書 Hackers and Painters (O'Reilly Media、2004 年) の日本語版にあたります。版元の紹介によれば、著者のポール・グレアムは LISP プログラミングの達人であると同時に、後の Yahoo!Store となるソフトウェアを作り、ベンチャー創業者として成功を収めた人物で、本書はインターネット上で公開されたエッセイを書籍化したものです。

第 0 章から第 16 章まで、ものを創る人としてのハッカー論

主要目次は第 0 章から第 16 章までの 17 本のエッセイで構成されています。第 0 章「メイド・イン・USA」 と第 1 章「どうしてオタクはもてないか」で始まり、表題作の第 2 章「ハッカーと画家」では、ハッカーを画家や建築家、作家と同じものを創る人々として位置づけます。第 3 章「口にできないこと」、第 4 章「天邪鬼の価値」と、異端の考えやルールを破ることの意味を扱った後、第 5 章「もうひとつの未来への道」、第 6 章「富の創りかた」、第 7 章「格差を考える」で、Web ベースのソフトウェアとベンチャー企業、富と収入の分布を論じます。第 8 章「スパムへの対策」、第 9 章「ものつくりのセンス」を挟み、第 10 章「プログラミング言語入門」から第 14 章「夢の言語」まではプログラミング言語をめぐる議論が続き、第 15 章「デザインとリサーチ」、第 16 章「素晴らしきハッカー」で締めくくられます。巻頭には日本語版への序文、巻末には用語解説と監訳者あとがき、索引が付いています。

Web ベースのソフトウェアと言語選択、スパム判定の技術背景

本書の技術的な主張を読むうえで押さえておきたいのは、ソフトウェアをパッケージとして配る時代から、サーバーの上で動かしてブラウザーから使ってもらう時代への転換です。Web アプリケーション では、利用者の手元で動くのはブラウザーだけなので、開発者はサーバー側で使う言語を自由に選べます。第 12 章「普通のやつらの上を行け」は、版元の要旨文によれば、Web ベースのアプリケーションでは自分の使いたい言語を使え、ライバルも同様だという点から始まる章で、表現力の高い言語を選ぶことが競争上の武器になるという議論と読めます。第 8 章「スパムへの対策」は、専門家の多くがスパムフィルターは成功しないと考えていた状況を変えた提案を扱うと要旨文は説明しています。一般に統計的なスパムフィルターは、メールに含まれる単語ごとにスパムらしさの確率を学習させ、それを組み合わせて判定する方式で、人手で規則を書き足していく方式に比べて、利用者ごとのメールに合わせて精度を上げやすい点が特徴です。

2004 年の原著を読むときの前提、合う読者

原著は 2004 年の刊行で、例に挙がる企業や製品、言語の状況はその時点のものです。言語の優劣や収入の格差についての主張は著者の見解として書かれたエッセイであり、検証済みの結論として受け取るより、自分の経験と突き合わせながら考える材料として読むのが合っています。版元はおすすめの読者として技術者、起業家、ビジネスマン、アーティスト、学生などを挙げており、特定の言語やフレームワークの使い方を身につけたい人には目的が合いません。

一方で、ものを創る人としてハッカーをどう捉えるか、富はどこから生まれるのか、良い言語とは何かといった問いを、自分の仕事に引きつけて考えたい開発者や、ものづくりとしてのプログラミングに改めて向き合いたい人にとって、本書は思考の足場になる一冊です。古い技術書をどう読めば得るものが大きいかについては、技術書の古典を読む意味 もあわせて参考になります。

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