計算論的思考ってなに?の表紙

計算論的思考ってなに?(ケイサンロンテキシコウッテナニ)

コンピュータサイエンティストのように考える

プログラミング
著者:
中島秀之(ナカシマヒデユキ)
出版社:
公立はこだて未来大学出版会
出版日:
2022年01月28日頃
ISBN:
9784764955578
在庫:
在庫あり
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書籍紹介

21 世紀のリテラシー、 Computational Thinking 初の解説書

本書は,2017 年に公立はこだて未来大学で開催された「計算論的思考コロキウム」をもとに執筆されました。
世界では、計算論的思考 (computational thinking) の教育の重点化が進んでいますが、日本では「プログラミング的思考」と誤訳され、矮小化されて取り入れられてしまっています。計算論的思考はプログラミング的思考を超えて、抽象化、仮想化、メタ認知など、より広い思考法に及びます。あたかもコンピュータサイエンティストのように考える思考法は、コンピュータの登場とともに進化し、世の中に広く浸透してきました。いまや、あらゆる分野領域のリテラシーとして重要であり、日常生活をも賢く過ごす術となります。巻末には原点となったジャネット・ウィンのエッセイ (邦訳) も再掲。 21 世紀のリテラシーと言える計算論的思考について改めて議論を深め、その重要性を問い直します。

1 章 計算論的思考がわかると何がうれしいかっていうと

2 章 計算論的思考という新しい考え方

3 章 分野を超えた計算論的思考の教育

4 章 計算論的思考の実践

5 章 メタ

6 章 生活と計算論的思考

付録 Computational Thinking 計算論的思考

「計算論的思考コロキウム@公立はこだて未来大学」の記録

技書の森解説

学校教育の文脈で「プログラミング的思考」という言葉を目にするたびに、その正体が気になっていた人へ正面から答えるのが『計算論的思考ってなに? コンピュータサイエンティストのように考える』です。公立はこだて未来大学出版会から 2022 年 1 月に刊行され (発売は近代科学社) 、中島秀之氏を筆頭に平田圭二、南部美砂子、 Michael Vallance 、片桐恭弘、美馬のゆりの各氏、計 6 名が名を連ねる共著です。 2017 年に公立はこだて未来大学で開かれた「計算論的思考コロキウム」での議論が母体になっています。

「プログラミング的思考」との違いを正面から問う

日本では 2020 年度から小学校でプログラミング教育が必修化され、「プログラミング的思考」という言葉が広く使われるようになりました。一方で版元の紹介文は、この言葉が computational thinking の訳として本来の射程を狭めてしまっているという問題意識を掲げています。本書が論じる計算論的思考は、コードを書く技能の手前にある、抽象化・仮想化・メタ認知までを含む思考法です。問題を計算可能な形に切り出し、解く手順を アルゴリズム として組み立てる発想は コンピューターサイエンス の根幹ですが、本書はそれを特定の職業技能ではなく、あらゆる分野に効くリテラシーとして描き直します。概念の原点としては、計算機科学者ジャネット・ウィングが 2006 年に Communications of the ACM 誌へ寄せたエッセイ Computational Thinking が広く知られており、本書の巻末にはその邦訳が再掲されています。

全 6 章の構成、動機づけから日常生活への応用まで

構成は全 6 章です。版元の内容紹介によれば、計算論的思考が分かると何がうれしいのかという動機づけから始まり、新しい考え方としての輪郭、分野を超えた教育、実践、メタという視点と進み、最後は生活と計算論的思考に至ります。巻末には前述のエッセイ邦訳に加えて、母体となったコロキウムの記録も収められており、概念の由来と日本での議論の現場を一冊で追える構成です。

前提はプログラミング経験より、概念を腰を据えて追う読書体力

プログラミング経験は前提になっていません。必要なのは、抽象度の高い議論を丁寧に追う読書体力のほうです。その意味で本書は、手を動かして文法を学ぶ入門書とは役割がまったく違います。技術書というより思想と教育の本であり、「なぜ学ぶのか」「何を学んでいることになるのか」という一段上の問いに答えるための本です。実習型の学習と併読すれば、日々の練習が思考法のどの部分を鍛えているのかを自分の言葉で説明できるようになります。

プログラミング教育に関わる人ほど得るものが大きい一冊

プログラミング教育に携わる教員や教材づくりの関係者、子どもに学ぶ意味を説明したい保護者にとって、本書は流行語の輪郭を確かめ、指導や声かけの軸を作るための判断材料になります。研修や授業設計で「プログラミング的思考」という言葉を使う立場なら、その語の背景にある議論を押さえておく価値は十分にあります。逆に、特定言語の文法やツールの操作をすぐ身につけたい人には向きません。その場合は実習型の入門書が先です。概念の由来から日常への応用までを一続きに見通したい人にとって、コロキウムの議論と原点のエッセイを一冊で手にできる本書は、 2022 年時点の日本におけるこのテーマの見取り図として手元に置く価値があります。

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