超デジタル世界

チョウデジタルセカイ

DX,メタバースのゆくえ

超デジタル世界の表紙
セキュリティ
著者:
西垣 通(ニシガキ トオル)
出版社:
岩波書店
出版日:
2023年01月24日
ISBN:
9784004319566
シリーズ:
岩波新書 新赤版 1956
在庫:
在庫あり
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中級者向け
DXメタバースAI集合知サイバーセキュリティデジタル化ポストモダニズム新実在論ネオ・サイバネティクスオートポイエーシス

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書籍紹介

誹謗中傷やフェイクニュースがあふれ、詐欺やサイバー犯罪で脅かされる場となりつつあるインターネット。DX やメタバースがこの傾向を助長することはないのか。AI は解決の切り札になるのか。日本がデジタル後進国となってしまった原因は? インターネットを健全な集合知のうまれる場とする道筋を考え、日本のとるべき道を探る。
はじめに

第一章 DX とはオープンネット化
デジタル敗戦

行政デジタル化の挫折

DX の本質

オープンネットの弱点

デジタル庁の役割

第二章 メタバースの核心
超世界のなかの AI

AI ユートピア

シンギュラリティと超人間主義

AI ディストピア

メタバースと意味の不在

ソサエティ 5・0

第三章 ネット集合知をうむオートポイエーシス
インターネットの分権思想

集合知を問い直す

ポストモダニズムとデータ科学の矛盾

新実在論の限界線

主観が客観をつくる

ネオ・サイバネティクスと閉鎖性

オートポイエーシスから基礎情報学へ

第四章 分断深めるデジタル大国アメリカ
トランプ現象と Q アノン

集合知シミュレーションの教訓

デジタルな魔術的支配

多文化主義の陥穽

没落する中間層

ポスト・アメリカニズムへの渇望

第五章 日本はデジタル化できるのか
輸入される知

トップダウン DX の危うさ

オモテナシの裏側

内むきの完璧主義

日本人とロボット

安心サブネットと情報教育深化

主要引用参照文献
図表出典一覧

技書の森解説

インターネットは健全な集合知が生まれる場になりうるのか、それとも誹謗中傷やフェイクニュース、詐欺やサイバー犯罪の温床になっていくのか。『超デジタル世界』は、情報学者の西垣 通が DX やメタバース、AI をこの問いの側から読み直し、日本のとるべき道を探った新書です。岩波書店の岩波新書 (新赤版 1956) として 2023 年 1 月 24 日に発売され、副題は「DX、メタバースのゆくえ」です。刊行時の著者プロフィールによると、著者は東京大学工学部計数工学科を卒業した工学博士で、日立製作所の主任研究員、明治大学教授、東京大学大学院情報学環教授、東京経済大学コミュニケーション学部教授を歴任し、東京大学名誉教授を務めています。専攻は情報学とメディア論です。

全 5 章の構成、デジタル敗戦から日本の選択まで

版元の紹介文は、DX やメタバースがネットの荒廃を助長することはないのか、AI は解決の切り札になるのか、日本がデジタル後進国となった原因は何かという 3 つの問いを掲げています。目次は「はじめに」に続く全 5 章で、第一章「DX とはオープンネット化」は「デジタル敗戦」「行政デジタル化の挫折」から「デジタル庁の役割」までを並べます。第二章「メタバースの核心」には「AI ユートピア」「シンギュラリティと超人間主義」「AI ディストピア」「ソサエティ 5・0」などの節が入ります。第三章「ネット集合知をうむオートポイエーシス」が理論の柱で、第四章「分断深めるデジタル大国アメリカ」は「トランプ現象と Q アノン」「没落する中間層」などの節でアメリカ社会を扱います。第五章「日本はデジタル化できるのか」は「輸入される知」「トップダウン DX の危うさ」「日本人とロボット」を経て、「安心サブネットと情報教育深化」で閉じます。巻末には主要引用参照文献と図表出典一覧が付きます。

集合知とオートポイエーシスを読む前の技術背景

本書の中心にある集合知は、多くの人の判断を集めると一人の専門家より良い答えに近づくことがある、という考え方です。ただしこの効果は、参加者がばらばらの情報をもとに独立して判断するという条件のもとで働きます。互いの意見が即座に見え、似た意見が増幅される場では、独立性が崩れて判断が一方向へ雪崩を打ちやすくなります。ネットの言論空間が分断や炎上を生みやすい理由の一つがここにあります。データを大量に集めて統計的なパターンを見いだす AI も、どの判断を集めたデータなのかという出発点の偏りからは逃れられません。もう一つの鍵語であるオートポイエーシスは、生物学者のマトゥラーナとヴァレラが生命を説明するために提唱した概念で、自分の構成要素を自分で作り出し続ける、外から閉じたシステムを指します。目次では、第三章は「インターネットの分権思想」と「集合知を問い直す」の節から始まり、「ネオ・サイバネティクスと閉鎖性」を経て「オートポイエーシスから基礎情報学へ」で終わり、その間に主観と客観の関係を論じる節も置かれています。

実装の手引きではなく、DX の掛け声を問い直したい人へ

岩波新書の一般向けの読み物であり、システムの作り方や DX 推進の進め方を手順として学ぶ本ではありません。ツール選定や移行計画の具体策を求める人には向きません。一方で、第三章の節の題には「ポストモダニズムとデータ科学の矛盾」「新実在論の限界線」のように思想の語彙が並びます。2023 年 1 月の刊行で、議論はその時点の技術と社会の状況を前提にしています。行政のデジタル化については、第一章が「行政デジタル化の挫折」と「デジタル庁の役割」を、第五章が「トップダウン DX の危うさ」と「内むきの完璧主義」を節の題に掲げています。巻末の主要引用参照文献を手がかりに、関心を持った論点をさらに深く追うこともできます。

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