チューリングの考えるキカイ

チューリング ノ カンガエル キカイ

人工知能の父に学ぶコンピュータ・サイエンスの基礎

チューリングの考えるキカイの表紙
コンピュータサイエンス / アルゴリズム
著者:
阿部彩芽 / 笠井琢美(アベ, アヤメ / カサイ, タクミ)
出版社:
技術評論社
出版日:
2018年05月
ISBN:
9784774196893
在庫:
在庫あり
2.5(2 件 / 楽天ブックス)
初級者向け
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言及数
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書籍紹介

アラン・チューリングが産んだコンピュータの歴史を紐解きながら、考えるキカイの原点と原理を探る。コンピュータ・サイエンスの入門書。

技書の森解説

『チューリングの考えるキカイ』 (阿部彩芽、笠井琢美 著、技術評論社、2018 年 4 月刊) は、アラン・チューリングの理論をもとに、コンピューターの原理としくみから人工知能までを説明するコンピューター・サイエンスの入門書です。副題は「人工知能の父に学ぶコンピュータ・サイエンスの基礎」で、版元は、難しい専門用語を避け、イラストを多く用いて説明する本として案内しています。著者の笠井琢美は電気通信大学名誉教授で、阿部彩芽はグラフィックデザイナー、イラストレーター、Web デザイナーとして活動していると版元の著者紹介にあります。

全 13 章の構成、自己言及のパラドックスから実数と計算可能性まで

目次は Chapter 1「究極の人工知能とそれを実現する機械」から始まり、Chapter 2「自己言及のパラドックスと対角線論法」、Chapter 3「数学帰納法と数」、Chapter 4「計算モデル」と続きます。Chapter 5 では思考を while プログラムで書き表すことを扱い、Chapter 6「論理とプログラム」、Chapter 7「配列とデータ型」、Chapter 8「プログラム内蔵方式と万能プログラム」へ進みます。後半は Chapter 9「計算可能性」、Chapter 10「計算できない問題」、Chapter 11「チューリング機械と計数機」、Chapter 12「計算可能性をこえて」と並び、Chapter 13「実数と計算可能性」で全 13 章を閉じます。版元の概要は、チューリングを、論文の執筆やチューリングテストの考案を通じて人工知能の父とも呼ばれる人物として紹介しています。

チューリング機械と計算可能性という考え方の背景

チューリングは 1936 年の論文で、紙の上の記号を読み書きしながら手順を進める人の作業を抽象化し、有限個の状態と、記号を書き込めるテープだけを持つ機械のモデルを示しました。この機械で実行できる手順を計算できるものと定めると、アルゴリズム という直観的な言葉に数学的な輪郭が与えられます。チューリング機械、while による繰り返しだけを持つ単純なプログラム、数を増減させるだけの計数機は、見かけは大きく違っても計算できる関数の範囲が一致することが知られており、計算可能性が特定の機械ではなく計算そのものの性質として扱える根拠になっています。

さらに、どのプログラムについても止まるかどうかを判定する万能の手順は作れないという停止問題の結論は、自分自身を入力に与えたときの振る舞いを逆手に取る対角線論法で示されます。機械の記述をデータとして読み込み、その動作を再現する万能チューリング機械の考え方は、プログラムをデータと同じ記憶に置くプログラム内蔵方式とも通じます。対角線論法、プログラム内蔵方式、計算できない問題はいずれも本書の章題に置かれている語で、プログラミング言語や検証の道具がどこまで原理的に可能かを考えるときの コンピュータサイエンス の土台です。

版元が挙げる読者と、目次に無い範囲

版元が挙げる読者は、情報工学の初学者、コンピューターのしくみを知りたい人、人工知能に関心のある人、チューリングを知りたい人です。目次には機械学習の手法や特定のプログラミング言語の実装手順を扱う章はありません。

本書は、チューリングが示した計算の考え方を、自己言及のパラドックスと対角線論法から実数と計算可能性までの全 13 章に収めています。

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