AI原論 神の支配と人間の自由の表紙

AI 原論 神の支配と人間の自由(エーアイゲンロンAI カミノシハイトニンゲンノジユウ)

著者:
西垣 通(ニシガキ トオル)
出版社:
講談社
出版日:
2018年04月10日頃
ISBN:
9784062586757
シリーズ:
講談社選書メチエ
在庫:
在庫あり
★★★★☆4(12 件)
中級者向け
人工知能シンギュラリティAI倫理AIの未来技術特異点AIと社会AI哲学AI応用AI進化AI研究

なぜ注目されているか

総合
651
16 ランクダウン1 件の言及
言及数
961

書籍紹介

第三次ブームを迎えた AI の進化は、われわれの生活を避けようもなく変えつつある。自動運転、投資相談、医療診断など、以前では想像もできなかった領域に AI が入り込んでいく中で、 30 年以内に AI の知性が人間を超越する、という「シンギュラリティ (技術特異点) 」仮説を唱える専門家さえいる。われわれを待っているのは「薔薇色の未来」なのか? 半世紀にわたって AI を間近で見てきた第一人者が投げかける大切な問い。

ここのところ「スマートスピーカー」の宣伝をよく目にします。名だたる企業が競うように発売し、これを導入すると、どれほど生活が便利になるかを伝えています。スマートスピーカーは「 AI スピーカー」とも呼ばれるように、 AI (人工知能) が搭載されています。囲碁や将棋で AI がプロに勝った、というニュースを聞くようになってから、もうずいぶん経ちますが、今や自動運転、投資相談、医療診断など、以前では想像もできなかった領域に AI は進出しつつあります。そして、 30 年以内に AI の知性が人間を超越する、という「シンギュラリティ (技術特異点) 」仮説を唱える専門家さえ出てきています。
そこに待っているのは「薔薇色の未来」でしょうか? 便利さ、というものに目を奪われて、しっかり考えることなく、さまざまな判断をコンピュータに委ねてしまうことになって、だいじょうぶなのでしょうか?

本書は、半世紀近くにわたって AI の栄枯盛衰を間近で見てきた第一人者からの提案の書です。──先に進む前に、いったん立ち止まって、きちんと考えてみませんか?

現在の AI ブームとも呼ぶべき状況は、 1950 〜 60 年代の第一次ブーム、 1980 年代の第二次ブームに続く三度目のものになります。本書は、それらの歴史を振り返り、それぞれの時期に何が可能になったのか、何が不可能であることが分かったのか、そしてそれは今日に至って解決されたのか、といった点を分かりやすく整理します。

その上で、今、世界中で注目されるフランスの哲学者カンタン・メイヤスーの議論を手がかりにして、 AI が目指しているのはどんな世界なのかを探っていきます。そこで明らかになるもの、それは「絶対知をもつ神に人間が近づいていく壮大なストーリー」にほかなりません。もしもそのストーリーが現実のものになったとしたら、「自由意思」や「責任」といったものはどうなるのでしょう?

AI とよく付き合うために、本書は大切な問いを投げかけます。

【本書の内容】
まえがき

第一章 機械に心はあるのか

第二章 汎用 AI ネットワーク

第三章 思弁的実在論

第四章 生命と AI がつくる未来

第五章 AI と一神教

技書の森解説

人工知能が人間を超えるという言説が飛び交う中で、「そもそも知能とは何か」「機械が意味を理解するとはどういうことか」を正面から問い直す本です。著者の西垣通氏は基礎情報学の提唱者として知られ、本書では AI を技術の進歩としてではなく、西洋思想史における「神の全知」への憧れの系譜として位置づけます。講談社選書メチエから 2018 年に刊行された本書は、 AI の社会実装が加速する時代に立ち止まって思考するための足場を提供します。

本書の核心は、チューリング以来の計算機科学が暗黙に前提としてきた「形式化可能な知」と、人間が身体と文脈の中で営む「生命的な知」の断絶を示すことにあります。統計的パターン認識の精度がいくら上がっても、そこに意味の理解は生じないという論点は、大規模言語モデルが普及した状況でむしろ切実さを増しています。技術の仕組みを知るための本ではなく、技術が解決しない問いを言語化するための本です。

エンジニアリングの実務から離れた内容ですが、 AI を使う側として「この技術に何を委ね、何を委ねてはならないか」を判断する軸を持ちたいとき、実装マニュアルでは手に入らない視座を与えてくれます。技術と人間の関係を思想的に掘り下げたい読者に向いた一冊です。

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