現代暗号技術入門
ゲンダイアンゴウギジュツニュウモン
- 著者:
- 】デイビット・ウォン / 高橋 聡(デイビットウォン / タカハシサトシ)
- 出版社:
- 日経 BP
- 出版日:
- 2022年07月01日頃
- ISBN:
- 9784296080199
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
社会で役立つ「暗号のしくみ」と、いま知るべき「応用暗号学」を
暗号学 & 暗号通貨の専門家がやさしく教えます。
暗号の基本から、暗号通貨、ハードウェア暗号、耐量子暗号、次世代技術までをこの 1 冊でカバー。
仮想通貨、Web3 が注目される今だからこそ、それらを支える暗号技術の真髄を伝えます。
【本書の対象読者】
・現実世界で使われている暗号のしくみに興味があって、その基本を知りたいー
・各製品で実装されたり利用されている暗号学に関する実用的な本がほしいー
・暗号通貨やハードウェア暗号、耐量子暗号など、最新の応用暗号学を押さえたいー
こうした学生、ビジネスパーソン、開発者、コンサルタント、セキュリティエンジニアの方々。
第 0 章 はじめに
第 1 部 プリミティブ: 暗号の構成要素
第 1 章 暗号とは何か
第 2 章 ハッシュ関数
第 3 章 メッセージ認証コード
第 4 章 認証付き暗号
第 5 章 鍵交換
第 6 章 非対称暗号とハイブリッド暗号
第 7 章 署名とゼロ知識証明
第 8 章 ランダム性と秘密
第 2 部 プロトコル: 暗号を使うレシピ
第 9 章 セキュアトランスポート
第 10 章 エンドツーエンド暗号化
第 11 章 ユーザー認証
第 12 章 暗号が通貨になる?
第 13 章 ハードウェア暗号
第 14 章 耐量子暗号
第 15 章 次世代の暗号技術
第 16 章 暗号が破綻するとき
技書の森解説
暗号を数式の理論としてではなく、製品やプロトコルの中で実際に使われている部品として学びたい人に向けた本です。『現代暗号技術入門』 (デイビット・ウォン 著、高橋 聡 訳、日経 BP、2022 年 7 月 1 日発売) は、原書 Real-World Cryptography の日本語版で、版元の紹介によると、社会で役立つ暗号のしくみと応用暗号学を、暗号の基本から暗号通貨、ハードウェア暗号、耐量子暗号、次世代技術まで 1 冊で扱います。対象読者には学生、ビジネスパーソン、開発者、コンサルタント、セキュリティエンジニアが挙げられています。著者は刊行時の紹介で、O (1) Labs のシニア暗号エンジニアとされ、以前は Novi で暗号通貨ディエムのセキュリティリードを、その前は NCC Group で暗号サービスを担当し、OpenSSL や Let's Encrypt の監査にも参加した経歴が示されています。
第 1 部のプリミティブ、ハッシュ関数からランダム性と秘密まで
目次は第 0 章「はじめに」と 2 部 16 章です。第 1 部「プリミティブ: 暗号の構成要素」は、第 1 章「暗号とは何か」から、第 2 章「ハッシュ関数」、第 3 章「メッセージ認証コード」、第 4 章「認証付き暗号」、第 5 章「鍵交換」、第 6 章「非対称暗号とハイブリッド暗号」、第 7 章「署名とゼロ知識証明」、第 8 章「ランダム性と秘密」と続きます。どれも単独では役に立たず、組み合わせて初めて安全な通信や保存が成り立つ部品で、たとえば ハッシュ関数 と鍵を組み合わせると改ざん検知のメッセージ認証コードになり、暗号化と認証を一体で扱うのが認証付き暗号です。公開鍵による鍵交換で共有した鍵を高速な共通鍵暗号に渡すハイブリッド暗号の考え方まで押さえると、ふだん使っている通信の保護がどの部品の組み合わせでできているのかを分解して見られるようになります。ランダム性と秘密を独立した章にしているのは、部品が正しくても乱数や鍵の生成と保管が弱ければ全体が崩れるという、実装の現場でつまずきやすい点を重く見た構成と読めます。
第 2 部のプロトコル、通信の保護から暗号が破綻するときまで
第 2 部「プロトコル: 暗号を使うレシピ」は、第 9 章「セキュアトランスポート」、第 10 章「エンドツーエンド暗号化」、第 11 章「ユーザー認証」、第 12 章「暗号が通貨になる?」、第 13 章「ハードウェア暗号」、第 14 章「耐量子暗号」、第 15 章「次世代の暗号技術」、第 16 章「暗号が破綻するとき」と、部品を組み合わせた応用へ進みます。通信路の保護は Web では TLS が代表で、サーバーまでの経路を守るものですが、エンドツーエンド暗号化は中継するサーバー自身にも中身を読ませない点で守る範囲が異なります。耐量子暗号は、大規模な 量子コンピューター が実現すると RSA や楕円曲線暗号が破られうるという脅威への備えで、本書の刊行後の 2024 年 8 月に米国の NIST が最初の標準 (FIPS 203、204、205) を公表しています。第 14 章は 2022 年時点の検討状況として読み、採用された方式の名称や製品での対応状況は別途確かめるのが安全です。
暗号を部品として使う開発者の前提知識と選び方
章の並びは、部品の性質を押さえてからプロトコルへ積み上げる形で、暗号ライブラリを呼び出すコードを書く開発者や、設計レビューで暗号の使い方を判断するセキュリティエンジニアにとって、どの部品を何のために使うのかを整理する地図になります。一方で、数論や安全性の証明を中心に暗号理論そのものを体系的に学びたい人は、数学寄りの教科書を併読するほうが目的に合い、Web アプリケーションの脆弱性対策を手早く知りたい人は、セキュリティ技術書の選び方 から別の本を選ぶのが近道です。
ハッシュや署名、鍵交換といった語を聞いたことはあっても、それぞれが何を保証し、何を保証しないのかを説明できずにいる人、暗号通貨やハードウェア暗号、耐量子暗号まで含めて応用暗号学の全体像を 1 冊でつかみたい人にとって、部品からプロトコルまでを順に追える本書は、暗号を正しく選んで使うための判断力を養う一冊です。
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