人が増えても速くならない 〜変化を抱擁せよ〜
ヒトガフエテモハヤクナラナイヘンカヲホウヨウセヨ
- 著者:
- 倉貫 義人(クラヌキ ヨシヒト)
- 出版社:
- 技術評論社
- 出版日:
- 2023年06月10日
- ISBN:
- 9784297135652
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
ユーザー数が伸びるにつれて多くの要望が出てきても、新しい機能をスピーディーに追加できなくなってきた。
ちょっとした修正のはずなのに、ものすごく時間がかかる。
ーーそのようなことが起こる原因は、ソフトウェアが変化に適応できないから。
プログラミングを学んでも理解できないソフトウェアの本質を、プログラマーとして 12 年、経営者として 12 年の経験を持つ著者の集大成。
・完成しても終わりではない
・人が増えても速くならない
・たくさん作っても生産性が高いとは言えない
・人に依存せず同じ品質にはできない
・プレッシャーをかけても生産性は上がらない
・見積もりを求めるほど絶望感は増す
・一度に大きく作ると得に見えて損をする
・工程で分担しても効率化につながらない
これからの事業の成長に欠かせない思考法がわかる。
技書の森解説
ユーザー数が伸びて要望が増えても、新しい機能をすばやく追加できなくなる。小さな修正のはずが、ひどく時間がかかる。『人が増えても速くならない 〜変化を抱擁せよ〜』 (倉貫義人 著、技術評論社、2023 年 6 月 10 日発売) は、こうした事態の原因を、ソフトウェアが変化に適応できないことに求める本です。版元の紹介文は、プログラミングを学んでも理解できないソフトウェアの本質を、プログラマーとして 12 年、経営者として 12 年の経験を持つ著者が集大成したものと案内しており、版元が挙げる読者は起業家、経営者、事業責任者、マネージャーです。
完成後の改善から工程の分業まで、全 8 章の命題
本文は「はじめに」と「おわりに」の間に 8 章が置かれ、章題は紹介文が挙げる 8 つの命題とほぼ同じ言葉です。1 章「完成しても、終わりではない」、2 章「人を増やしても速く作れるわけではない」、3 章「たくさん作っても生産性が高いとは言えない」、4 章「人に依存せず同じ品質で作ることはできない」、5 章「プレッシャーをかけても生産性は上がらない」、6 章「見積もりを求めるほどに絶望感は増す」、7 章「一度に大きく作れば得に見えて損をする」、8 章「工程を分業しても、効率化につながらない」です。節題には、1 章の「プロジェクトからプロダクトの考え方に変える」、2 章の「速く作ることはできないが、速く作れるチームは作れる」、6 章の「事業側と開発側が"協働"の関係を築く」、7 章の「小さくすれば不確実さを下げられる」などが並びます。
増員と見積もり、負債をめぐるソフトウェア開発の背景
2 章には「遅れているプロジェクトに人を追加するのはやめて」という節があります。遅れたソフトウェア開発に要員を足すとさらに遅れるという経験則は、フレデリック・ブルックスの『人月の神話』で広く知られるようになり、ブルックスの法則と呼ばれています。新しく加わった人が既存の仕組みを理解するまでの教育の手間がかかるうえ、人数が n 人になると意思疎通の経路は n (n-1)/2 本に増えるためです。同じ章の節題にある銀の弾丸は、ブルックスが 1986 年の論文で、ソフトウェア開発の生産性を一挙に桁違いに高める単一の技術や手法は無いと論じた時の比喩です。2 章の節題には「チームの哲学や文化が揃っていることが大事」もあります。複数人で 1 つのソフトウェアを作る チーム開発 では、設計の考え方や品質の基準がそろっていないと、メンバーの書いたコードの間で手戻りが生じます。
5 章には「一時的な妥協は、永遠の負債になる」という節があります。技術的負債 は、短期の都合で妥協した設計や実装が、後の変更にかかる手間を利子のように膨らませていく状態を指す言葉で、ウォード・カニンガムが 1992 年に使った比喩に由来します。見積もりの難しさも、作る前の段階では要件の解釈や既存の仕組みとの関係に未知の部分が多く、作業が進んで初めて見通しの幅が狭まるという性質から来ています。6 章は「なぜ、正確な見積もりが出せないのか」から始まり、「見積もりと約束が"受発注"の関係を作ってしまう」を経て、「「納品」をなくせばうまくいく」で終わります。
起業家や経営者に向けた著者の立場と経歴
刊行時の版元の著者紹介では、倉貫義人は株式会社ソニックガーデンの創業者で代表取締役社長です。大手システム会社に入社したのち、アジャイル 開発を日本に普及させる活動を個人的に始め、社内ベンチャーの立ち上げを経て独立し、ソニックガーデンでは月額定額の顧問サービスとして「納品のない受託開発」を展開したと紹介されています。著書には『管理ゼロで成果はあがる』 (技術評論社) などがあります。本書は起業家、経営者、事業責任者、マネージャーに向けて、完成後の改善、増員、作る量と生産性、属人化と品質、プレッシャー、見積もり、規模、分業という 8 つの命題を、全 8 章に 1 つずつ割り当てています。
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