量子アニーリングの基礎の表紙

量子アニーリングの基礎(リョウシアニーリングノキソ)

著者:
西森 秀稔/大関 真之/須藤 彰三/岡 真(ニシモリ ヒデトシ/オオゼキ マサユキ/ストウ ショウゾウ/オカ マコト)
出版社:
共立出版
出版日:
2018年05月19日頃
ISBN:
9784320035386
シリーズ:
基本法則から読み解く物理学最前線 18
在庫:
在庫あり
0
中級者向け
量子コンピュータ量子アニーリングイジングモデル組み合わせ最適化問題D-Wave量子ビット量子アルゴリズム磁性体最適化問題量子ゲート方式

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書籍紹介

カナダのベンチャー企業,D-Wave Systems によって「量子コンピュータ」が開発・発売され,反響を呼んでいる。
量子コンピュータは,1994 年に因数分解を高速で行う量子アルゴリズムが発見されたことを契機に,研究が一気に加速した。当初提案されたのは「量子ゲート方式」と呼ばれるタイプであった。この方式の強みは,量子力学系のシミュレーションなどのいくつかの計算が,通常のコンピュータより大幅に効率よく実行できることにある。しかし,大規模な回路を構成して安定的に演算を実行する技術の開発は途上である。

一方,これとはまったく異なるアプローチとして「量子アニーリング」が着目され,D-Wave 社がハードウェアの動作原理として実装して世に出すに至った。量子アニーリングは,当初は磁性体のイジング模型の基底状態を,量子力学的なゆらぎを利用して探索する方法として考案された。基本素子として量子ビットを使うという点では量子ゲート方式と同じだが,当面の目的やその実現方法は異なっている。量子アニーリングは,巡回セールスマン問題などの「組み合わせ最適化問題」に特化したアルゴリズムなのである。

本書は,量子アニーリングの計算原理の発案者による,日本語で書かれた唯一の解説書である。量子アニーリングの基本的な定式化や動作原理の説明だけでなく,機械学習への応用やベンチマークテストの例,さらには D-Wave マシンのユーザーインターフェイスの解説まで幅広く取り上げている。

技書の森解説

量子アニーリングは、組合せ最適化問題を量子力学的なゆらぎを利用して解くアプローチで、 D-Wave マシンの登場以降、実用化への関心が高まっている分野です。本書は量子アニーリングの提案者の一人である西森秀稔氏を含む著者陣が、理論的な基礎から応用例までを体系的にまとめた専門書です。共立出版の物理系テキストらしく、統計力学とイジングモデルの知識を土台に、量子揺らぎの効果やシミュレーテッドアニーリングとの違いを定式化して論じます。

読者として想定されているのは、物理学または情報科学の大学院生、あるいは量子技術の基礎を研究レベルで理解したいエンジニアです。学部レベルの量子力学と統計力学の素養は前提になっており、数式の密度は高いです。「量子コンピュータに興味がある」という一般的な関心だけでは難しいと感じる可能性が高く、背景知識を確認した上で取り組む類いの本です。

その分、読み通せばアニーリング方式の原理を数理的に説明でき、古典計算との性能比較を定量的に議論できる水準に到達します。量子計算の応用研究を始める前の理論武装として、提案者自身の記述に触れられる点にこの本ならではの価値があります。

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