監視資本主義
カンシシホンシュギ
人類の未来を賭けた闘い
- 著者:
- ショシャナ・ズボフ / 野中 香方子(ショシャナ ズボフ / ノナカ キョウコ)
- 出版社:
- 東洋経済新報社
- 出版日:
- 2021年06月25日頃
- ISBN:
- 9784492503317
- 在庫:
- 在庫あり
なぜ注目されているか
書籍紹介
監視資本主義という言葉を生み出した
ハーバード・ビジネススクール名誉教授が示す、
資本主義と人類の未来のビッグピクチャー
原書は 2019 年に刊行され、世界的な話題書に。
『ニューヨーク・タイムズ』ノータブルブック・オブ・ザ・イヤー選出
『フィナンシャル・タイムズ』ベストブック・オブ・ザ・イヤー選出
『サンデータイムズ (UK)』ベストビジネスブック・オブ・ザ・イヤー選出
『ガーディアン』が選ぶ 21 世紀のベストブックの一冊に選出
バラク・オバマ元大統領が選ぶ 2019 年ベストブックの一冊に選出
フィナンシャル・タイムズ & マッキンゼーが選ぶブック・オブ・ザ・イヤー最終選考選出
この本は現代の『資本論』であるーーゼイディ・スミス (『ホワイト・ティース』著者)
稀に見る大胆な仮説、美しい筆致、深刻な警告を併せ持つマスターピースーーロバート・ライシュ (『最後の資本主義』著者)
デジタル時代の自己防衛を必要とする全ての人が読むべき本ーーナオミ・クライン (『ショック・ドクトリン』著者)
序論 最初の地図
第 1 章 デジタルの未来におけるホームか追放か
第 1 部 監視資本主義の基盤
第 2 章 2011 年 8 月 9 日 監視資本主義の舞台の設定
第 3 章 行動余剰の発見
第 4 章 城を囲む濠
第 5 章 監視資本主義の巧妙な罠
第 6 章 乗っ取られて
第 2 部 監視資本主義の発展
第 7 章 リアリティ・ビジネス
第 8 章 経験からデータへ
第 9 章 深層からのレンディション
第 10 章 彼らを踊らせろ
第 11 章 未来に対する権利
第 3 部 第 3 の近代のための道具主義の力
第 12 章 2 種の力
第 13 章 ビッグ・アザーと道具主義者の台頭
第 14 章 確実なユートピア
第 15 章 集団としての道具主義者
第 16 章 巣の中の生活
第 17 章 聖域を持つ権利
結論 私たちの権利
第 18 章 上からのクーデター
技書の森解説
『監視資本主義 人類の未来を賭けた闘い』 (ショシャナ・ズボフ 著、野中香方子 訳、東洋経済新報社、2021 年 6 月発売) は、技術書ではありません。ハーバードビジネススクール名誉教授である著者が、人々の行動データを収集して収益に変える経済の仕組みに「監視資本主義」という名を与え、その成り立ちと行き先を論じた社会科学の大著です。原題は THE AGE OF SURVEILLANCE CAPITALISM で、原書は 2019 年に刊行されました。版元は著者を「監視資本主義」という言葉を生み出した人物として紹介しており、この一冊はその概念の原典にあたります。IT 技術書を扱う本サイトで取り上げるのは、行動ログ、広告配信、レコメンドといった技術者が日々つくっているものが、まさに本書の分析対象だからです。
序論から結論まで、3 部 18 章の見取り図
構成は序論「最初の地図」と第 1 章「デジタルの未来におけるホームか追放か」で問題を提示し、3 部 18 章で論を積み上げます。第 1 部「監視資本主義の基盤」 (第 2〜6 章) は「2011 年 8 月 9 日 監視資本主義の舞台の設定」「行動余剰の発見」「城を囲む濠」「監視資本主義の巧妙な罠」「乗っ取られて」と、この経済様式がどのように生まれたかを追います。第 2 部「監視資本主義の発展」 (第 7〜11 章) は「リアリティ・ビジネス」「経験からデータへ」「深層からのレンディション」「彼らを踊らせろ」「未来に対する権利」と、データ化の対象が広がっていく過程を扱います。第 3 部「第 3 の近代のための道具主義の力」 (第 12〜17 章) では「2 種の力」「ビッグ・アザーと道具主義者の台頭」「確実なユートピア」「集団としての道具主義者」「巣の中の生活」「聖域を持つ権利」と、著者が道具主義と呼ぶ権力のかたちを論じ、結論「私たちの権利」の第 18 章「上からのクーデター」で閉じます。巻末には文献一覧と索引があります。
行動余剰と予測、IT エンジニアにとっての接点
本書の中心概念は第 3 章の章題にもなっている「行動余剰」です。著者は、サービスの提供や改善に必要な範囲を超えて収集される行動データをこう呼び、それが利用者の将来の行動を予測し、さらには誘導するための商品の原料になっていると論じます。技術の側から見ると、この議論は日常の実装と直結しています。Web の行動追跡は Cookie や端末識別子で閲覧履歴を一人の利用者に束ねる技術に支えられ、集めたデータから 機械学習 でクリックや購買の確率を推定し、その推定値をもとに広告枠を売買する仕組みが 2010 年代を通じて広告産業の標準になりました。ログ設計、レコメンドの精度改善、A/B テストによる行動の最適化は、エンジニアにとってはごく普通の業務ですが、著者の枠組みではこれらがひとつの経済様式を構成する部品として位置づけられます。自分の仕事が全体のどこに組み込まれているかを、当事者の外側から描いた地図として読めるのが本書の効き目です。なお著者の主張は経済と社会に対する一つの解釈であり、本書はそれを事実として押しつけるのではなく、膨大な文献と事例を積んで論証する形式をとっています。
前提知識と読み方、大部を読み切るための構え
プログラミングや統計の知識は要りません。代わりに必要なのは、資本主義、近代、権力といった社会科学の語彙を読み進める根気です。A5 判の上製本で、文献一覧と索引を備えた大部の一冊なので、通読には相応の時間がかかります。まず序論「最初の地図」を読んで全体の問いを押さえ、第 1 部で概念の成立を追ってから、関心に応じて第 2 部 (データ化の拡大) や第 3 部 (権力の性質) へ進む読み方が現実的です。訳者の野中香方子氏は翻訳家で、版元プロフィールによれば『隷属なき道』や『China 2049』など多くの訳書を手がけています。
版元紹介文によれば、原書は『ニューヨーク・タイムズ』のノータブルブック・オブ・ザ・イヤー、『フィナンシャル・タイムズ』のベストブック・オブ・ザ・イヤー、『ガーディアン』が選ぶ 21 世紀のベストブックの一冊、バラク・オバマ元大統領が選ぶ 2019 年ベストブックの一冊などに選出され、『ホワイト・ティース』の著者ゼイディ・スミスは「この本は現代の『資本論』である」と評しています。買って元が取れるのは、行動ログや広告、レコメンドを扱うエンジニア、データ活用を企画するプロダクト責任者、プライバシー設計や利用規約の判断に関わる人です。自分が扱うデータの意味を、技術の外側の言葉で説明できるようになることが、この本のペイオフです。逆に、個人データ保護の実務手順や具体的な法規制の解説、あるいは短時間で要点だけを知りたいという目的には向きません。長い本ですが、データを扱う仕事を続けるなら一度は読んでおきたい、判断の土台になる一冊です。
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